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コンテナホーム新設工事の施行に当たり、コンクリート舗装工の施工が設計と著しく相違していて、工事の目的を達していないもの


(186) コンテナホーム新設工事の施行に当たり、コンクリート舗装工の施工が設計と著しく相違していて、工事の目的を達していないもの

科目 (項)用地対策費
部局等の名称 関東支社
工事名 水戸駅(基)梅香貨物ホームてっ去他
工事の概要 既設の貨物ホームを撤去し、コンテナホーム(2,148.4m2 )等を新設する工事
工事費 67,373,924円(当初契約額24,500,000円)
請負人 東急建設株式会社
契約 昭和63年12月 指名競争契約
しゅん功検査 平成元年11月
支払 平成元年4月、12月 2回
目的を達していない工事の額 19,996,096円

 この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、コンテナホームのコンクリート舗装工2,148.4m2 (工事費相当額19,996,096円)の施工が設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達していないと認められる。

1 工事の概要

 (工事の内容)

 この工事は、日本国有鉄道清算事業団所有の土地をさら地化するため、水戸駅構内にある水郡線の列車留置線等を他地区へ移転するのに伴い、移転先において既設の貨物ホームの一部等が支障となることから、これらを撤去し、その代替設備としてコンクリート舗装によりコンテナホーム(2,148.4m2 )等を新設したものである。

 (設計の内容)

 コンテナホームのコンクリート舗装工の設計については、設計図書によると、次のとおりとなっている。(参考図参照)

(ア) 粒度調整砕石(注1) により路盤(厚さ20cm)を築造する。その上にコンクリート(厚さ20cm)を打設する。

(イ) 舗装完了後のコンクリート版に、き裂が発生した際にコンクリート版の破損の進行を防止し耐久性を確保するため、鉄網(径6mm、網目15cm×15cm)を表面から6cmの位置に埋め込む。

(ウ) コンクリートの乾燥に伴う収縮や温度湿度の変化による伸縮に対応するため、コンクリート版に縦横の目地(標準間隔4m×8.05m、深さ6cm)等を設ける。

 (施工計画書による施工方法)

 上記の設計に基づき、請負人から提出された施工計画書によれば本件工事の施工方法は、次のようになっていた。

(ア) 上記の鉄網を所定の位置に埋め込むため、スペーサーブロック(注2) 等を用いて路盤上からの高さを確保しながら鉄網を敷き並べた後、人力施工によりコンクリートを1層で打設する。鉄網にたわみが生じた場合には、その都度人力で持ち上げながら打設する。

(イ) 目地部の切削等は、コンクリートが完全に硬化しない養生期間中の適切な時期に、コンクリートカッタで所定の幅及び深さに切込みを行う。その後、目地内を圧縮空気等で清掃し目地材を注入する。

2 検査の結果

 コンテナホームのコンクリート舗装工の施工状況等を調査したところ、次のように適切とは認められない施工となっていた。

(ア) コンクリートの打設に当たり、請負人はスペーサーブロック等をほとんど使用せずに鉄網を敷き並べコンクリートを打設していた。

(イ) 目地部の切削は、コンクリート打設時から起算して3日間から6日間経過後に施工しており、本件の場合、適切な切削時期(通常はコンクリート打設後、約1日程度とされている。)から遅れていたと認められる。

 このため、コンクリート版表面にはき裂が発生していた。そこで、き裂部等からコアを採取して鉄網の位置及びき裂の深さ等を調査したところ、いずれも、鉄網は所定の位置に比べ著しく下部に埋め込まれていて、ほぼ路盤に密着している状況であった。また、き裂はコンクリート版底面まで達していて、コンクリート版の破損が進行しており舗装の耐久性が著しく低下している状況であった。

 上記のように、本件コンクリート舗装工(工事費相当額19,996,096円)は、その施工が粗雑で設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達していないと認められる。

 (注1)  粒度調整砕石 粒径別にふるい分けられた砕石を一定比率で混合したもの

 (注2)  スペーサーブロック コンクリート打設時に鉄筋、鉄網の位置を確保するためのモルタル製の固定具

(参考図)

(参考図)