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  • 平成2年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 貸付金

総合施設資金等の貸付けが不当と認められるもの


(224)−(230) 総合施設資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 関東、長野、近畿、宮崎、鹿児島各支店
受託金融機関 栃木県信用農業協同組合連合会ほか4金融機関
貸付けの根拠 農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)
貸付金の種類 総合施設資金、農林漁業構造改善事業推進資金、農林漁業施設資金
貸付けの内容 農林漁業者に対する総合施設資金等の貸付け
貸付件数 7件
貸付金の合計額 356,240,000円
不当貸付金額 51,422,443円

 上記の5支店で行った7件356,240,000円の貸付けにおいて、51,422,443円の貸付けがその目的に沿わない結果になっていて、不当と認められる。

1 貸付金の概要

 農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)は、農林漁業者に対して、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 このうち、公庫が直接貸付けを行う場合は、公庫が借入申込書類を審査して、所定の条件を満たしていると認めたものに対して貸し付け、事業の完成状況、事業費の支払状況等によって貸付金の使途などを確認することとしている。また、公庫が金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類の審査を行い、一部の資金については公庫が貸付決定を行うこととしているが、そのほかの資金については受託金融機関が公庫の直接貸付けの場合に準じて貸付け等の事務を行うこととしている。

2 検査の結果

 公庫の貸付けについて調査したところ、7件356,240,000円の貸付けにおいて、51,422,443円の貸付けが不当と認められる。これらの資金の借入者からは、事実と相違した内容の借入申込みや事業完成報告がされていた。しかし、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付金額を過大に算定するなどしていた。
 これを貸付先別に示すと次のとおりである。

支店名
(受託金融機関名)
貸付先
(所在地)
貸付対象 貸付年月
(貸付利率)
貸付対象事業費 左に対する貸付金額 貸付金額のうち不当と認める額 摘要
千円 千円 千円
(総合施設資金)
(224) 関東支店 農業者 鶏舎の新築等 元.9
(年4.2%)
169,056 135,240 6,848 低額実施
栃木県信用農業協同組合連合会 栃木県下都賀郡大平町
 この貸付けは、鶏舎5棟(4,108.5m2 )の新築及び育雛(すう)舎2棟(882m2 )の改造に必要な資金169,056,010円の一部として、135,240,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、鶏舎新築及び育雛舎改造工事を細分して多数の業者に請け負わせ自らその施工管理を行うなどして、これより低額な142,657,117円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると128,391,405円となるので、本件貸付金額との差額6,848,595円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成3年8月に繰上償還された。
(225) 長野支店 農業者 えのき茸(たけ)栽培舎の増築 元.9
(年4.2%)
54,375 48,000 7,059 低額実施
長野県信用農業協同組合連合会 長野県小県郡丸子町
 この貸付けは、えのき茸(たけ)栽培舎1棟(2階建て延べ431.9m2 )の増築に必要な資金54,375,000円の一部として、48,000,000円を貸し付けたものである。
借入者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、えのき茸栽培舎の増築工事を細分して多数の業者に請け負わせ自らその施工管理を行うなどして、これより低額な45,489,737円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると40,940,763円となるので、本件貸付金額との差額7,059,237円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成3年10月までに繰上償還された。
(226) 近畿支店 農業者 鶏舎等の新築 63.11
(年4.05%)
50,376 45,000 4,819 低額実施
兵庫県信用農業協同組合連合会 兵庫県氷上郡春日町
 この貸付けは、鶏舎1棟(617.7m2 )、集卵室1棟(60m2 )及び鶏糞(ふん)堆積場1棟(72m2 )の新築に必要な資金50,376,000円の一部として、45,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、鶏舎等の新築工事を細分して多数の業者に請け負わせ自らその施工管理を行うなどして、これより低額な44,644,525円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると40,180,072円となるので、本件貸付金額との差額4,819,928円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成3年4月に繰上償還された。
(227) 宮崎支店 農業者 鶏舎の新築等 元.5
(年4.2%)
51,830 46,000 4,920 低額実施及び事業の一部不実施
株式会社宮崎銀行 宮崎県西諸県郡野尻町
 この貸付けは、鶏舎4棟(3,280m2 )、倉庫等の新築及び自動給餌(じ)機の設置等に必要な資金51,830,000円の一部として、46,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、このうち、自動給餌機の設置等(貸付対象事業費15,222,000円)については多数の業者に請け負わせ自らその施工管理を行うなどして11,443,339円で実施し、倉庫等の新築(貸付対象事業費2,408,000円)については実施していなかった。その結果、借入者はこの事業を45,643,339円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると41,079,005円となるので、本件貸付金額との差額4,920,995円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成3年6月に繰上償還された。
(農林漁業構造改善事業推進資金)
(228) 長野支店 農業協同組合 鶏舎の新築 2.5
(年3.5%)
28,468 22,000 10,127 低額実施
長野県信用農業協同組合連合会 転貸先農業者転貸先所在地松本市
 この貸付けは、鶏舎1棟(897m2 )の新築に必要な資金28,468,170円の一部として、22,000,000円を貸し付けたものである。転借者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、自ら資材を購入して施工するなどして、これより低額な14,840,582円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると11,872,465円となるので、本件貸付金額との差額10,127,535円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成3年10月に繰上償還された。
(農林漁業施設資金)
(229) 鹿児島支店 農業者
(鹿児島市)
鶏舎の新築 62.8
(年4.05%)
60,000 48,000 12,870 低額実施
株式会社鹿児島銀行
 この貸付けは、鶏舎2棟(1,526.4m2 )の新築に必要な資金60,000,000円の一部として、48,00,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を61,000,000円で実施したとしていたが、実際は、鶏舎の新築工事を細分して多数の業者に請け負わせ自らその施工管理を行うなどして、これより低額な43,912,037円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると35,129,629円となるので、本件貸付金額との差額12、870,371円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高12,016,274円については、平成3年10月に繰上償還された。
(230) 近畿支店 林業者 貯木場の整備等 元.10
(年5.1%)
15,014 12,000 4,775 低額実施
兵庫県養父郡八鹿町
 この貸付けは、貯木場(650m2 )の整備及びトラック1台の購入に必要な資金15,014,128円の一部として、12,000,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、自ら資材を購入して施工するなどして、これより低額な9,030,273円で実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると7,224,218円となるので、本件貸付金額との差額4,775,782円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、平成3年10月までに繰上償還された。
(224)-(230) の計 429,119 356,240 51,422