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  • 平成3年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 建設省|
  • 不当事項

補助金


(203) 緊急地方道路整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったためボックスカルバートが不安定な状態になっているもの

会計名及び科目 道路整備特別会計 (項)地方道路整備臨時交付金
部局等の名称 千葉県
補助の根拠 道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号)
事業主体 野田市
補助事業 野田市市道今上八幡前山崎線緊急地方道路整備
補助事業の概要 道路を拡幅するため、平成3年度に、ボックスカルバート工等を施工するもの
事業費 87,550,000円
上記に対する国庫補助金交付額 48,152,500円
不当と認める事業費 25,311,000円
不当と認める国庫補助金交付額 13,921,050円
 上記の補助事業において、ボックスカルバートの設計が適切でなかったため不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額13,921,050円が不当と認められる。

1 補助事業の概要

 この補助事業は、野田市が、一般市道今上八幡前山崎線の緊急地方道路整備事業の一環として、野田市山崎字松ノニ地区において、道路を拡幅するため、平成3年度に、ボックスカルバート(以下「カルバート」という。)の築造等を工事費87,550,000円(国庫補助金48,152,500円)で実施したものである。

 本件カルバートは、排水施設として設置するもので、延長102.9mを3ブロック(B−3〜B−5)に分け、現場打ちコンクリートで施工することとし、B−3カルバート(延長33.0m)、B−4カルバート(延長31.7m)については、設計計算書、配筋図等において次のように設計すれば応力計算上安全であるとして、これにより施工していた。

 すなわち、内空断面を幅4.0m、高さ1.5m、頂版厚300mm、側壁厚200mm、底版厚300mmとし、頂版の下面側及び底版の上面側に配置する主鉄筋については径19mmの鉄筋を、側壁の外側に配置する主鉄筋については径10mmの鉄筋を、それぞれ12.5cm間隔に配置する(参考図参照)

2 検査の結果

 検査したところ、同市は、本件カルバートの設計に当たり、当初、工場等で製作するコンクリート強度の強いプレキャスト製のカルバートにより施工することを前提として上記の応力計算を行っていたものの、経済比較を行った結果、現場打ちコンクリートで施工することに変更していた。しかし、このような場合には、改めて現場打ちコンクリートによることとして応力計算を行うべきであったのに、これを行わないまま上記の配筋図等を作成していた。

 この結果、現場打ちコンクリートによることとして応力計算を行うと、側壁のコンクリートに生ずる曲げ圧縮応力度(常時)(注1) は119.5kg/cm2 となり、許容曲げ圧縮応力度70kg/cm2 を大幅に上回っている。また、頂版、側壁及び底版の主鉄筋に生ずる引張応力度(注2) (常時)は、2,243kg/cm2 、3,415kg/cm2 、1,929kg/cm2 となり、いずれも許容引張応力度(注2) 1,600kg/cm2 を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。

 したがって、本件カルバートのうちB−3カルバート及びB−4カルバート(工事費相当額25,311,000円)は、設計が適切でなかったため不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額13,921,050円が不当と認められる。

(注1) 常時  地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。
(注2) 引張応力度・許容引張応力度  「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。

(参考図)

ボックスカルバート概念図

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