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  • 平成3年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

業務委託契約に係る労災保険料及び自動車保険料の積算を、割引等の実態が反映されたものとなるよう改善させたもの


(1) 業務委託契約に係る労災保険料及び自動車保険料の積算を、割引等の実態が反映されたものとなるよう改善させたもの

科目 (項)高速道路建設費ほか8科目
部局等の名称 札幌建設局ほか9建設局、仙台管理局ほか8管理局、試験所
契約名 道央自動車道及び札樽自動車道料金収受業務ほか105契約
契約の概要 高速道路等において、料金収受、巡回車による巡回、業務用自動車の運転等を行う業務
契約金額 85,518,200,036円
契約の相手方 北海道ハイウェイ・サービス株式会社ほか37会社
契約 平成3年5月〜4年3月 随意契約
契約期間 平成3年4月〜4年3月
過大積算額 9640万円

<検査の結果>

 上記の各委託業務において、労災保険料及び自動車保険料の積算(積算額4億9909万余円)が適切でなかったため、積算額が約9640万円過大になっていた。

 このような事態が生じていたのは、労災保険率及び自動車保険料について割引等が広く行われているのに、その実態が積算の基準に反映されていなかったことによるもので、実態を勘案して適切に積算する要があると認められた。

<当局が講じた改善の処置>

 本院の指摘に基づき、日本道路公団では、平成4年10月に、労災保険率及び自動車保険料が、割引等を受けている実態を反映したものとなるよう4事業年度の積算の基準を定め、同年度以降の委託契約にこれを適用することとする処置を講じた。

1 契約の概要

(委託契約の概要)

 日本道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路等の維持管理業務等の一環として、料金収受業務、交通管理業務、車両管理等業務等を毎年継続して委託している。 そして、札幌建設局ほか9建設局、仙台管理局ほか8管理局及び試験所(注1) (以下「建設局等」という。)では、平成3事業年度に、随意契約により、これら業務について、38会社と106契約(総額855億1820万余円)を締結している。

 そして、上記の各契約では、委託を受けた各会社(以下「受託会社」という。)が所定の職員及び自動車を各所に配置するなどして、業務を継続的に行うこととしている。

(委託業務費の積算)

 建設局等では、これら契約に係る委託業務費の積算に当たり、公団本社において業務別に定めた3事業年度の積算基準等(注2) に基づき、職員の人件費は従事する職種に応じて定められた基本給及び諸手当等のほか労災保険料を、また、自動車の経費は車両維持費等のほか自動車保険料を積算している。

 このうち、労災保険料及び自動車保険料は、次の(ア)及び(イ)により、計4億9909万余円と算定していた。

(ア) 労災保険料の積算については、積算基準等により、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則(昭和47年労働省令第8号)で事業の種類ごとに定められた労災保険率(以下「基本労災保険率」という。)のうち、「その他の各種事業」の1000分の6又は「交通運輸事業」の1000分の7を採用している。

 そして、前記の106契約については、当該契約に係る前記の基本給及び諸手当等の合計額に、上記の保険率をそれぞれ乗じて、労災保険料を計3億7078万余円としていた。

(イ) 自動車保険料の積算については、積算基準等により、任意自動車保険のうち一般自動車保険の保険料を見込むものとし、各業務に配置する自動車は対人賠償保険(保険金額5000万円)及び対物賠償保険(保険金額100万円)に、さらに車両管理等業務に配置する自動車は車両保険にも加入することとしている。これら3保険に係る保険料としては、損害保険料率算出団体に関する法律(昭和23年法律第193号)に基づき大蔵大臣の認可を受けた保険料(以下「基本自動車保険料」という。)を採用している。

 そして、前記106契約のうち、自動車保険料を積算している101契約計1,256台については、対人賠償保険及び対物賠償保険に係る保険料を、さらに21契約計599台については、車両保険に係る保険料をそれぞれ算出し、自動車保険料を計1億2830万余円としていた。

2 本院の検査結果

(調査の観点)

 労災保険料及び自動車保険料については割引等が広く行われており、公団は本件委託契約を受託会社と毎年継続して締結していることから、積算基準等において、上記のとおり、基本労災保険率及び基本自動車保険料を採用していることが適切かを調査した。

(割引等の実態)

(ア) 労災保険料の徴収については、過去3年間について労働者数が一定規模以上の事業で、個々の事業ごとに収支率(注3) に応じて基本労災保険率を引き上げ又は引き下げた率を適用する制度(以下「メリット制」という。)が採用されている。

 そして、本件受託会社38会社においては、メリット制の適用を受ける34会社のうち27会社で引き下げられた労災保険率が適用されていた。また、労働者災害補償保険事業年報(労働省労働基準局発行)によれば、本件委託業務と同種の事業に該当する「その他の各種事業」及び「交通運輸事業」において平均的に適用されている労災保険率は、基本労災保険率に対しそれぞれ1000分の1程度ずつ引き下げられていると認められた。

(イ) 自動車保険料の算定については、大蔵大臣の認可により、自動車保険を継続して契約する場合、前契約における事故の有無に応じて、基本自動車保険料に対し所定の割増し又は割引を行う制度が採用されている。

 そして、前記の101契約に係る受託会社38会社の自動車計1,256台のうち1,245台(99.1%)は割引を受けており、また、関係団体の資料によれば、全国の自動車保険に係る保険料の割引率は基本自動車保険料に対し平均で40%程度と認められた。

(不適切な事態)

 労災保険率及び自動車保険料については、委託契約を毎年継続して締結している受託会社では、メリット制などの適用によって引下げ又は割引を受けていることから、基本労災保険率や基本自動車保険料をそのまま採用して積算するのは適切でなく、割引等の実態を勘案して適切に積算する要があると認められた。

(低減できた積算額)

 いま、本件各委託契約について、上記の(ア)及び(イ)による平均的な引下げ又は割引率に即してそれぞれ積算したとすれば、次のとおり、積算額を合計で約9640万円低減できたと認められた。

(ア) 労災保険料については、メリット制の適用を受ける受託会社について基本労災保険率をそれぞれ1000分の1ずつ引き下げた率を採用して計算すると、前記の各契約に係る労災保険料は3億1580万余円となり、積算額3億7078万余円を約5490万円低減できた。

(イ) 自動車保険料については、基本自動車保険料に対する割引率40%を採用して計算すると、近年の加入状況に即し、保険金額を対人賠償保険は無制限に、対物賠償保険は300万円にそれぞれ引き上げたとしても、前記の各契約に係る自動車保険料は8683万余円となり、積算額1億2830万余円を約4140万円低減できた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、公団では、4年10月に、労災保険率及び自動車保険料が、引下げ又は割引を受けている実態を反映したものとなるよう4事業年度の積算基準等を定め、同年度以降の委託契約にこれを適用することとする処置を講じた。

(注1) 札幌建設局ほか9建設局、仙台管理局ほか8管理局及び試験所  札幌、仙台、東京第一、東京第二、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡各建設局、仙台、東京第一、東京第二、東京第三、金沢、名古屋、大阪、広島、福岡各管理局、試験所
(注2) 積算基準等  料金収受業務委託実施基準、交通管理に関する業務委託実施基準、車両管理等業務委託積算基準、料金収受機械等保守整備業務委託実施基準、車両制限令等違反車両の取締りに関する業務委託実施基準
(注3) 収支率  過去3年間の保険料額(通勤災害に係る保険料額を除く。)に対する業務災害に係る保険給付額等の割合をいう。