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国民健康保険の保険基盤安定負担金の交付が不当と認められるもの


(169)(170) 国民健康保険の保険基盤安定負担金の交付が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計  (組織)厚生本省  (項)国民健康保険助成費
部局等の名称 厚生本省(交付決定庁)
三重県(支出庁)
交付の根拠 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)
交付先 津市ほか1町(保険者)
保険基盤安定負担金の概要 市町村等が実施する国民健康保険の被保険者の保険料(又は保険税)の負担の緩和を図るとともに、国民健康保険の財政基盤の安定に資することを目的として交付するもの
上記に対する国庫負担金交付額の合計 129,917,264円 (平成元年度〜4年度)
不当と認める国庫負担金交付額 42,086,864円 (平成元年度〜4年度)
 上記の2市町において、保険料減額を行っていないのに行ったことにするなどして交付申請を行っていたこと、及びこれに対する県の審査が十分でなかったことなどのため、保険基盤安定負担金42,086,864円が過大に交付されていて不当と認められる。

1 保険基盤安定負担金の概要

(保険料の賦課及び減額)

 市町村は、国民健康保険事業に要する費用に充てるため、被保険者の属する世帯の世帯主から保険料(保険税を含む。以下同じ。)徴収しなければならないこととされている。
 保険料は、〔1〕 被保険者1人当たりの一定額(被保険者均等割額)、〔2〕 1世帯当たりの一定額(世帯別平等割額)、〔3〕 所得に応じた額(所得割額)、〔4〕 資産に応じた額(資産割額)のうちから、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)等に基づき、市町村が条例で定めることとなっている。
 そして、市町村は、低所得者層に対する保険料の負担の軽減を図るため、当該世帯の被保険者(世帯主を含む。)の所得の合算額(以下「世帯の所得」という。)が一定額以下の場合には、上記の〔1〕 被保険者均等割額及び〔2〕 世帯別平等割額を減額して保険料を賦課することとなっており、この減額の基準は次のようになっている(以下、この基準による減額を「保険料減額」という。)。

〔1〕 世帯の所得が、地方税法(昭和25年法律第226号)第314条の2第2項に規定する基礎控除額以下の世帯については、被保険者均等割額、世帯別平等割額のそれぞれ10分の6相当額を減額(以下、この減額を「6割減額」という)する。

〔2〕 世帯の所得が、基礎控除額に当該世帯の被保険者(世帯主を除く。)1人につき別に定める額を加算した額以下の世帯(〔1〕 に該当する世帯を除く。)については、被保険者均等割額、世帯別平等割額のそれぞれ10分の4相当額を減額(以下、この減額を「4割減額」という。)する。

(保険基盤安定負担金)

 市町村は、国民健康保険法第72条の2等の規定に基づき、次の〔1〕 、〔2〕 により算定された一般被保険者(全被保険者から退職被保険者及びその被扶養者を除いた被保険者。以下同じ。)の属する世帯に係る保険料減額の総額を、当該市町村の一般会計から国民健康保険事業特別会計に繰り入れることとされている。

〔1〕 6割減額の対象となる世帯の一般被保険者数、4割減額の対象となる世帯の一般被保険者数に、1人当たりの被保険者均等割額の10分の6相当額、10分の4相当額をそれぞれ乗じて得た額

〔2〕 6割減額の対象となる世帯数、4割減額の対象となる世帯数に、1世帯当たりの世帯別平等割額の10分の6相当額、10分の4相当額をそれぞれ乗じて得た額 国は、国民健康保険の財政基盤の安定に資することを目的として、上記繰入額を国庫負担対象額として、その2分の1に相当する額を保険基盤安定負担金(以下「国庫負担金」という。)として交付することとなっている。

 そして、国庫負担対象額の算定の対象となる世帯は、申請年度の保険料の賦課期日(4月1日)現在の一般被保険者の属する世帯のうち、1該市町村が10月20日までに所得を把握した世帯とされており、同日までに所得の把握されていない世帯は算定の対象にはならないこととなっている。

(交付手続)

 国庫負担金の交付手続は、〔1〕 交付を受けようとする市町村は都道府県に交付申請書を提出し、〔2〕 交付申請書を受理した都道府県は、その内容を添付書類により、また、必要に応じて現地調査を行うことにより審査のうえ、これを厚生省に提出し、〔3〕 厚生省はこれに基づき交付決定を行い交付することとなっている。

2 検査の結果

 国庫負担金の交付について検査した結果、津市ほか1町において、国庫負担金42,086,864円が過大に交付されていて不当と認められる。
 これは、上記の2市町において、保険料減額を行っていないのに行ったことにするなどして交付申請を行っていたこと、及びこれに対する県の審査が十分でなかったことなどのため、国庫負担金が過大に交付されていたものである。

 これを市町別に示すと次のとおりである。

県名 交付先
(保険者)
年度 国庫負担対象額 左に対する国庫負担金 不当と認める国庫負担対象 不当と認める国庫負担金

(169)

三重県

津市

3
千円
93,826
千円
46,913
千円
7,434
千円
3,717
4 96,564 48,282 7,296 3,648
小計 190,391 95,195 14,730 7,365
 津市では、被保険者均等割額(1人当たり19,200円)を賦課している(世帯別平等割額は賦課していない。)。そして、平成3年度及び4年度の国庫負担金の算定に当たり、6割減額の対象となる世帯の一般被保険者数を3年度7,174人、4年度7,397人、4割減額の対象となる世帯の一般被保険者数を3年度1,456人、4年度1,478人としていた。これらを基に両年度の国庫負担金の交付申請を行い、計95,195,520円の交付を受けていた。
 しかし、同市では、上記の一般被保険者数に、所得が把握されておらず、保険料減額が行われていない世帯の一般被保険者数を含めていた。
 したがって、6割減額の対象となる世帯の適正な一般被保険者数3年度6,680人、4年度6,889人、4割減額の対象となる世帯の適正な一般被保険者数3年度1,229人、4年度1,290人により国庫負担金を算定すると、適正な交付額は、3年度及び4年度で計87,830,400円となり、計7,365,120円が過大に交付されていた。
 
(170) 三重県 度会郡南島町 37,759 18,879 37,759 18,879
2 31,684 15,842 31,684 15,842
小計 69,443 34,721 69,443 34,721
 南島町では、被保険者均等割額(1人当たり19,560円)及び世帯別平等割額(1世帯当たり37,200円)を賦課している。そして、平成元年度及び2年度の国庫負担金の算定に当たり、被保険者均等割額に係る6割減額の対象となる世帯の一般被保険者数を元年度1,369人、2年度1,175人、4割減額の対象となる所帯の一般被保険者数を元年度434人、2年度372人としていた。また、世帯別平等割額に係る6割減額の世帯数を元年度639世帯、2年度598世帯、4割減額の世帯数を元年度123世帯、2年度110世帯としていた。これらを基に両年度の国庫負担金の交付申請を行い、計34,721,744円の交付を受けていた。
 しかし、同町では、上記の一般被保険者及び世帯について、実際には保険料減額を行っていなかった。
 したがって、元年度及び2年度の国庫負担金計34,721,744円は交付することができなかったものである。
 
(169)(170) の計 259,834 129,917 84,173 42,086