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  • 平成4年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第8 日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局おいて改善の処置を講じた事項

委託公衆電話の受託者に対して、公衆電話の通話料金の請求書を加入電話の請求書と一括して郵送することにより、郵便料金等の節減を図るよう改善させたもの


(2) 委託公衆電話の受託者に対して、公衆電話の通話料金の請求書を加入電話の請求書と一括して郵送することにより、郵便料金等の節減を図るよう改善させたもの

科目 営業費用
部局等の名称 日本電信電話株式会社
郵便物の概要 委託公衆電話及び加入電話に係る電話料金の請求書
郵便料金 26,462,779,468円 (平成4年度)
封筒代 2,624,677,786円 (平成4年度)
節減できたと認められる経費 郵便料金 2890万円 (平成4年度)
封筒代 290万円 (平成4年度)
3190万円

<検査の結果>

 上記の請求書を郵送するに当たり、加入電話のある公衆電話の受託者に対して、公衆電話の通話料金の請求書を加入電話の請求書と一括して郵送することにより、郵便料金等を約3190万円節減できたと認められた。
 このような事態が生じていたのは、加入電話のある公衆電話の受託者に対して一括送付の取扱いとする認識が十分でなかったり、コンピュータで一括送付とする処理を行う際の条件が適切に設定されていなかったりしていたことなどによると認められた。

<当局が講じた改善の処置>

 本院の指摘に基づき、日本電信電話株式会社では、平成5年10月に、各地域通信事業本部に対して一括送付の実施について周知徹底させるとともに、一括送付を実施するために必要なコンピュータの条件設定を適切なものとするよう指示した。

1 電話料金請求の概要

(電話料金等の請求)

 日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)では、東京情報システムサービスセンタほか14情報システムサービスセンタ(注) (以下「情報センタ」という。)において、NTTが扱う電話料金等の料金計算業務をコンピュータで処理し、作成した請求書を、毎月、加入電話契約者等に郵送している。平成4年度におけるこれら請求書の郵送通数は6億0621万余通となっており、これらに係る郵便料金は計264億6277万余円、また、封筒代は計26億2467万余円となっている。

(委託公衆電話の料金請求)

 NTTの231支店及び北海道公衆電話事業部(以下「支店等」という)では、卓上形街頭公衆電話及び店頭公衆電話について、電話機の設置場所の提供と料金(硬貨)の回収等の管理業務を内容とする公衆電話委託契約を、その管理を受託する者(以下「公衆電話受託者」という。)と締結している。これら委託公衆電話の施設数(硬貨を使用しないテレホンカード専用機を除く。)は、4年度末で579,515台となっている。
 そして、これらの公衆電話の利用者が支払った通話料金は、公衆電話受託者に対してNTTから支払われる委託手数料と相殺して、毎月1回、公衆電話受託者から口座振替等の方法により回収することとし、このための請求書を、上記の情報センタから公衆電話受託者に対し郵送している。

(請求書の郵送方法)

 情報センタでは、多額に上る請求書の郵送経費の節減を図るため、複数の加入電話や委託公衆電話のある者について、請求書の送付先、支払方法、支払期限等が一致する場合には、次の方法により、請求書を郵送することとしている。

(ア) 1枚の請求書に複数の委託公衆電話又は加入電話に係る電話料金を合算して記載するとともに、それらの内訳書を添付して封書で郵送する(以下「一括請求」という。)。ただし、この一括請求は、送付の相手方である公衆電話受託者又は加入電話契約者の同意があったものについて行うこととしている。

(イ) 委託公衆電話又は加入電話ごとに作成した請求書を一括して1通の封書で郵送する(以下「一括送付」という。)。

(一括送付を行うための処理)

 支店等では、公衆電話委託契約又は加入電話契約を締結したときは、公衆電話受託者又は加入電話契約者の住所、氏名、電話番号等の基本情報と請求書の送付先、支払方法、支払期限等の料金計算業務に必要な情報を、いずれも端末装置からコンピュータに入力している。
 そして、請求書の送付先、支払方法、支払期限(以下「送付先等」という。)が一致していて一括送付の取扱いが可能であるものについては、上記の情報とは別に、一括送付の取扱いとする旨を入力することとしている。また、情報センタで、一括送付が確実に行われるようにするため、コンピュータに人力されている情報を基に、定期的に名寄せを行って、支店等で一括送付の取扱いとしなかったものについても、送付先等が一致するものについて一括送付の処理を行うこととしている。

2 検査の結果

(調査の観点)

 公衆電話受託者が同時に加入電話も契約している場合において、委託公衆電話の請求書を加入電話の請求書と一括して郵送する処理が適切に行われて、郵送経費の節減が図られているかに着目して調査した。

(調査の対象)

 NTTの全232支店等の中から、地域的な偏在が生じないようにして78支店等を選定し、これら支店等管内の委託公衆電話に係る請求書のうち1箇月分180,422通について調査した。

(調査の結果)

 調査したところ、上記180,422通のうち、一括請求又は一括送付の方法により郵送されていたものは、それぞれ29,022通及び57,381通となっており、残りの94,019通については、個別に郵送されている状況であった。
 そして、この94,019通のうち58,740通については、次のとおり、委託公衆電話及び加入電話の請求書に係る送付先等が一致していて一括送付が可能であるのに、一括送付の処理が行われておらず、適切でないと認められた。

(ア) 支店等において、公衆電話受託者についての情報と加入電話契約の情報とを照合せず、一括送付の取扱いとする旨をコンピュータに入力していなかったこと、入力された請求書の送付先の表記の方法が異なっていて情報センタでのコンピュータ処理が適切に行われなかったことのため、一括送付がされていなかったもの 

46,626通

(イ) 情報センタでのコンピュータ処理において、一括送付の取扱いに必要のない振替先の口座番号を名寄せの条件に加えて設定していたことなどのため、一括送付がされていなかったもの 

12,114通

 そして、3、4両年度末における委託公衆電話の施設数は、ほぼ同水準にあることから毎月の請求書の郵送通数は、ほぼ同数で推移していると認められた。したがって、調査した78支店等の4年度における一括送付が可能と認められる郵送通数を計算すると、上記58,740通に12(月数)を乗じた約70万通となる。いま、これらを一括送付の方法により郵送したとすれば、郵便料金約2890万円、封筒代約290万円、計約3190万円が節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、支店等において、加入電話のある公衆電話受託者に対して一括送付の取扱いを行う認識が十分でなかったり、情報センタでのコンピュータ処理に当たっての条件設定が適切でなかったりしていたことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、NTTでは、次のとおり、委託公衆竃話と加入電話の請求書の一括送付の推進を図るための処置を講じた。

(ア) 5年10月に、本社から支店等及び情報センタを統轄する各地域通信事業本部に対して文書を発し、一括送付についてその実施手順を示すなどして周知徹底を図るとともに、請求書の送付先の表記の方法を統一し、また、一括送付の取扱いとするためのコンピュータの条件設定を適切に行うよう指示した。

(イ) 支店等及び情報センタでは、各地域通信事業本部の指示を受けて、一括送付が可能であるのにこれを行っていないものについて、一括送付の取扱いとする旨の情報を入力するなどして処理を行うとともに、コンピュータの条件設定を適切なものに改めることとした。

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