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  • 平成6年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

道路建設工事における路床面の整形工費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの


道路建設工事における路床面の整形工費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの

科目 (項)高速道路建設費 (項)一般有料道路建設費
(項)受託等業務費 (項)社会資本整備事業費
部局等の名称 札幌、仙台、東京第二、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡各建設局
工事名 北海道縦貫自動車道富野工事ほか144工事
工事の概要 高速道路等の建設工事の一環として、切土、盛土等を行う工事
工事費 428,937,320,000円
請負人 日本国土開発株式会社・日本鋼管工事株式会社北海道縦貫自動車道富野工事共同企業体ほか137共同企業体及び株式会社フジタほか6会社
契約 平成3年5月〜7年3月 一般競争契約、指名競争契約、随意契約
過大積算額 1億0400万円
 
<検査の結果>
 上記の各工事において、切土部で地質が軟岩である箇所の路床面の整形工費(積算額計3億6391万余円)の積算が適切でなかったため、積算額が約1億0400万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっていたのは、近年、性能の向上したモータグレーダが普及し、これを主体とした機械により路床面の整形が効率的に行われているのに、この実態を積算に反映するための配慮が十分でなかったことによると認められた。
 
<当局が講じた改善の処置>
 本院の指摘に基づき、日本道路公団では、平成7年11月に、路床面の整形工費の積算が施工の実態に適合したものとなるよう積算の基準を改正し、同年12月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。

1 工事の概要

 (工事の内容)

 日本道路公団(以下「公団」という。)の札幌建設局ほか8建設局(注1) では、平成6年度に、高速道路等の建設工事の一環として、切土、盛土等を行う工事を145工事(工事費総額4289億3732万円)施行している。
 そして、これらの工事では、切土部において地山を路床面まで掘削したり、盛土部において路床を築造したりした後、舗装に先立って、路床面の高低をならし所定の高さに平たんに仕上げる整形工を施工している(参考図参照)

 (路床面の整形工費の積算)

 公団では、路床面の整形工費は、公団制定の「土木工事積算要領」(以下「積算要領」という。)に基づいて積算することとしている。この積算要領によると、盛土部の場合及び切土部で路床の地質が土砂の場合はモータグレーダ(注2) により、また、切土部で路床の地質が軟岩及び硬岩の場合は人力により整形するものとして積算することとなっている。
 そして、本件各工事においては、この積算要領に基づき、切土部のうち路床の地質が軟岩である箇所計1,249,245m2 について、人力により整形することとし、その整形工費を総額3億6391万余円と積算していた。

2 検査の結果

 (調査の観点)

 建設工事における土工については、近年、機械の作業性や能力の向上に伴い機械化が進み、大部分の作業が機械により施工されるようになってきている。
 そこで、積算要領において、人力で施工することを前提としている上記切土部の路床面の整形工費の積算が施工の実態に即したものとなっているかという観点から、本件各工事の施工の実態等を調査した。

 (調査の結果)

 調査したところ、切土部のうち路床の地質が軟岩である箇所については、機械の作業性の関係から機械施工が困難な法尻部等を除き、モータグレーダを主体とし、これに補助的作業を行うブルドーザ等を組み合わせて、効率的に施工している状況であった。
 このように、機械により施工されているのは、整形工の主体であるモータグレーダにおいて、近年、その車体構造が改良され施工中の車体の安定をより確保できるようになったこと、馬力が増強され牽引力が向上したことなどから、地質が土砂より堅い軟岩の場合でも効率的に整形を行うことが可能となったことによるものである。
 したがって、路床の地質が軟岩の場合の整形工費の積算に当たっては、上記の施工の実態に即して、機械により施工することとして積算する要があると認められた。

 (低減できた積算額)

 本件各工事について、路床の地質が軟岩である箇所の整形工費を上記の施工の実態に即して修正計算すると、総額2億5966万余円となり、積算額3億6391万余円を約1億0400万円低減できたと認められた。

 (発生原因)

 このような事態が生じていたのは、近年、性能の向上したモータグレーダが普及し、これを主体とした機械により路床面の整形が効率的に行われているのに、この実態を積算に反映するための配慮が十分でなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、公団では、7年11月に、路床面の整形工費の積算が施工の実態に適合したものとなるよう積算要領を改正し、同年12月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。

  (注1)  札幌建設局ほか8建設局 札幌、仙台、東京第二、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡各建設局

  (注2)  モータグレーダ 道路の路床面などを平滑に切削したり、敷きならしたりして整形することを主な目的とした車輪式建設機械(下図参照)

(参考図)

(参考図)