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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 厚生省|
  • 平成6年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

在宅福祉事業費補助金(ホームヘルプサービス事業分)の精算について


 在宅福祉事業費補助金(ホームヘルプサービス事業分)の精算について

(平成6年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

 (検査結果の概要)

 厚生省では、老人福祉法(昭和38年法律第133号)等に基づき、在宅の介護を要する老人等(以下「老人等」という。)の福祉の推進を図ることを目的として、ホームヘルプサービス事業、デイサービス事業等の在宅福祉事業を行う市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対し、在宅福祉事業費補助金を交付している。そして、このうちホームヘルプサービス事業に係る補助金(以下「補助金」という。)の交付額については、老人等の家庭に対してホームヘルパーを実際に派遣しホームヘルプサービス活動を行った実績により算定することにしている。この補助金の精算が適正に行われているかを調査したところ、379市町村において、ホームヘルプサービス活動の実績が全くないか又は著しく低い常勤のホームヘルパーについて、その活動の実績を考慮することなく、一律に給料等の月額により補助対象事業費を計上していたため、補助金が過大に交付されていると認められた。
 このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められた。

(1) 都道府県及び市町村において、補助金は活動の実績に応じて交付されるものであるとの理解が不足していること、また、都道府県における実績報告の内容の審査が十分でないこと

(2) 厚生省において、都道府県及び市町村に対して、常勤のホームヘルパーの活動の実績がない月や著しく低い月の具体的な取扱いについて、明確な基準を示しておらず、また、指導も十分でないため、十分周知徹底していないこと、さらに、実績報告の内容の審査も十分でないこと

 (検査結果により要求した是正改善の処置)

 ホームヘルプサービス事業を効率的に運営し、ホームヘルパーの派遣回数の増加を図るため、補助金の適正な精算が行われるよう、次のとおり、厚生大臣に対し平成7年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

(1) 都道府県及び市町村に対して、補助金の趣旨に沿った活動延べ月数の計算等についての具体的な取扱いの基準を明確に示し、その周知徹底を図ること、また、都道府県に対して実績報告の審査を十分行うよう指導すること

(2) 交付要綱における実績報告書の様式を改めるなどして、その内容を審査する体制を整備すること

2 当局が講じた是正改善の処置

 厚生省では、本院指摘の趣旨に沿い、補助金の適正な精算が行われるよう、8年度以降に交付する補助金について次のような処置を講じた。

(1) 8年3月に、都道府県に対し、常勤のホームヘルパーの活動延べ月数の計算等について具体的な取扱いの基準を明確に示し、市町村を含めその周知徹底を図るとともに、実績報告の審査を十分行うよう指導した。

(2) 同年5月に、交付要綱を改正し、活動実績の著しく低い常勤のホームヘルパーの取扱いの基準を明記するとともに、審査体制の整備を図るため、実績報告書の様式に活動実績を明確に示す事項を追加した。