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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 農林水産省|
  • 平成6年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

沿岸漁業構造改善事業による施設の設置及び運営について


(1) 沿岸漁業構造改善事業による施設の設置及び運営について

(平成6年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

 (検査結果の概要)

 水産庁では、沿岸漁業の近代化を促進し、沿岸漁業者及び漁業従事者の所得の向上を図ることなどを目的として、新沿岸漁業構造改善事業(前期対策)、同(後期対策)、資源管理型漁業定着化推進事業等の事業を国庫補助事業として実施している。

 上記の各事業において、漁業協同組合等の事業主体では、増養殖用種苗生産施設、水産物簡易加工処理施設、水産廃棄物等処理施設等多くの施設の整備等を行っている。
 これらの施設の中には、漁業協同組合等がこれを運営することにより、漁家の漁業経費の節減や所得の向上を図ることなどを目的とする施設がある。

 上記施設の設置及び運営について調査したところ、施設の運営経費が、施設の設置、運営に伴う効果として具体的な数値で表された漁業経費の節減額、漁家所得の向上額等(以下、これらを「直接的効果」という。)を上回っていたり、収支が赤字になっていて施設の運営を継続することが困難になっていたりなどしていて、事業効果が十分発現していないものが見受けられた。
 このような事態が生じていたのは、事業主体等において、施設の運営経費と直接的効果との関連性等企業経営的な観点からの分析、検討が十分でなく、また、情勢の変化を的確に把握し、運営経費と効果等を検討する体制が十分でなかったことなどによると認められた。

 (検査結果により要求した是正改善の処置)

 上記施設の設置及び運営について、これらの事業を企業経営的観点に立ち、効果的に実施できるよう、次のとおり、水産庁長官に対し平成7年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

(ア) 経費と効果との関連性などを検討できるようにするとともに十分審査を行い、また、事業効果等を的確に把握し、必要な処置を講ずる。

(イ) 都道府県、市町村に対し、事業の内容について十分検討させ、また、施設の運営による効果の発現状況等を十分把握するとともに、効果が発現していないものなどについては、その対応策を適時、適切に検討する体制を整備するよう指導する。

(ウ) 事業主体等に対し、施設の運営経費と直接的効果との関連性等について十分検討させ、また、運営経費と効果等を把握し、適時、適切な対応がとれる体制を確立するよう指導する。

2 当局が講じた是正改善の処置

 水産庁では、本院指摘の趣旨に沿い、8年6月に通達を発するなどして、これらの事業を効果的に実施するため、次のような処置を講じた。

(ア) 経費と効果との関連性などを検討できるようにするとともにその審査を十分行い、また、事業効果等について報告させてこれを的確に把握し、必要な処置が執れるよう体制を整備した。

(イ) 都道府県等に対し、事業実施計画を策定するに当たっては事業の内容を十分に検討させ、事業実施後においても効果の発現状況等を十分把握するとともに、所期の効果が発現していないものなどについてはその対応策を適時、適切に検討する体制を整備するよう、会議等において指導した。

(ウ) 事業主体等に対し、事業の計画段階において、施設の運営経費と直接的効果などについて十分検討させ、事業の実施及び施設の運営に当たっては、効果の発現状況等を十分把握し、適時、適切な対応がとれる体制の確立を図るよう、都道府県等を通じて指導した。