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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 通商産業省|
  • 不当事項|
  • 補助金

中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの


(159)−(162) 中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計(組織)中小企業庁(項)中小企業対策費
部局等の名称 関東、近畿両通商産業局
助成の根拠 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)
事業主体 東京都、和歌山県
事業の内容 中小企業者に対する無利子の設備近代化資金の貸付け
貸付先 4中小企業者
貸付金額の合計 57,108,000円
(国庫補助金相当額28,554,000円)
不当貸付金額 29,011,386円
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 14,505,693円
 上記の2都県で4中小企業者に対して行った57,108,000円の貸付けにおいて、29,011,386円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額14,505,693円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

1 補助金の概要

 中小企業庁では、中小企業者の設備の近代化に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、中小企業設備近代化補助金を交付している。
 都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要と認めた資金の額の2分の1以内の額を中小企業設備近代化資金として無利子で貸し付けている。その貸付金額は50万円以上4000万円以下(平成6年2月9日以前は50万円以上3000万円以下)、償還期間は原則として5年以内となっている。そして、借主は、設備を賃貸しようとする場合には都道府県知事の承認を受けることなどが貸付けの条件となっている。

2 検査の結果

 この事業の実施について調査したところ、4中小企業者に対する57,108,000円の貸付けにおいて、借主が、設備を貸付対象事業費より低額で設置したり、設備を都に無断で賃貸したり、設備の設置に必要な長期資金を金融機関から借り入れた後に重複して貸付けを受けたりしていた。このため、29,011,386円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額14,505,693円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

 これを都県別に示すと次のとおりである。

都県名 貸付先 貸付対象設備

貸付年月

貸付対象事業費
貸付対象として適切でない事業費 補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 摘要
同上に対する貸付金額 同上に対する貸付金相当額

(159)

東京都

運送業者

油圧式昇降装置


5.2

千円
28,150
(14,070)
千円
12,650
(6,320)
千円
3,160

低額設置
 この貸付けは、油圧式昇降装置一式の設置に必要な資金29,000,000円(うち貸付対象事業費分28,150,000円)の一部として、14,070,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を29,000,000円で設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は15,965,000円(うち貸付対象事業費分15,500,000円)で設置していた。
 したがって、この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると7,750,000円となるので、本件貸付金額との差額6,320,000円が過大な貸付けとなっている。
(160) 東京都 印刷及び製本業者 製版カメラ

5.12

21,190
(10,590)
21,190
(10,590)
5,295 目的外使用
 この貸付けは、製版カメラ1台の設置に必要な資金21,827,760円(うち貸付対象事業費分21,190,000円)の一部として、10,590,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を設置当初の平成5年5月から都に無断で賃貸していた。
 したがって、この設備に係る貸付金10,590,000円は、貸付けの目的を達成していない。
(161) 和歌山県 プラスチック製品製造業者 高速フライス盤ほか2

5.4

41,481
(18,688)
16,000
(5,450)
2,725 重複融資
 この貸付けは、高速フライス盤(注) 1台ほか2設備の設置に必要な資金43,590,600円(うち貸付対象事業費分41,481,000円)の一部として、18,688,000円を貸し付けたものである。しかし、借主は、この貸付けを受ける以前に、上記設備のうち高速フライス盤1台の設置に必要な資金16,995,000円を対象として中小企業金融公庫から長期資金16,000,000円を借り入れており、当該設備の設置について重複して貸付けを受けていた。
 したがって、これらの設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると13,238,000円となるので、本件貸付金額との差額5,450,000円が過大な貸付けとなっている。

 (注)  高速フライス盤 工作機械の一種で、コンピュータ制御により切削工具を回転させて金属等の加工を行うもの

(162) 和歌山県 鉄板加工業者 ガス切断機ほか3

5.11

30,591
(13,760)
16,373
(6,651)
3,325 低額設置
 この貸付けは、ガス切断機1台ほか3設備の設置に必要な資金39,449,000円(うち貸付対象事業費分30,591,000円)の一部として、13,760,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を39,449,000円で設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は18,334,000円(うち貸付対象事業費分14,217,228円)で設置していた。
 したがって、これらの設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると7,108,614円となるので、本件貸付金額との差額6,651,386円が過大な貸付けとなっている。
(159)-(162) の計 121,412
(57,108)
66,213
(29,011)
14,505