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老人福祉施設保護費負担金の経理が不当と認められるもの


(61)-(98) 老人福祉施設保護費負担金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生本省 (項)老人福祉費
部局等の名称 山形県ほか16府県
国庫負担の根拠 老人福祉法(昭和38年法律第133号)
事業主体 市32、町6、計38事業主体
国庫負担対象事業 老人福祉施設保護事業
国庫負担対象事業の概要 老人の健康保持等のため、平成7年度に養護を必要とする老人を特別養護老人ホーム等に入所させ養護するもの
上記に対する国庫負担金交付額の合計 23,787,335,562円
不当と認める国庫負担金交付額 38,714,617円
 上記の補助事業において、国庫負担の対象となる費用の額から差し引くことになっている老人やその扶養義務者からの徴収金の額を過小に算定していたり、徴収金の額の集計を誤っていたりなどしていたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていて国庫負担金38,741,617円が不当と認められる。

1 負担金の概要

 老人福祉施設保護費負担金は、老人の健康の保持及び生活の安定を図り老人の福祉に資するため、市町村(特別区を含む。)が、身体上又は精神上の理由等により居宅において必要な養護を受けることが困難な老人を特別養護老人ホーム又は養護老人ホーム(以下「老人ホーム」という。)に入所させ養護する場合に、その費用の一部を国が負担するものである。

 そして、この負担金の各事業主体に対する交付額は、次により算定することとなっている。

そして、この負担金の各事業主体に対する交付額は、次により算定することとなっている。

 この費用の額及び徴収金の額は、それぞれ次により算定することとなっている。

(ア) 費用の額は、老人ホームを運営するための事務費(老人ホームの所在地域、入所定員等の別に応じて入所した老人1人当たり月額で定められている。)と入所した老人の生活費(地域別に1人当たり月額で定められている。)とを加えた額に入所人員を乗じて年間の施設ごとの額を算出し、これに移送費等を加えて算定する。

(イ) 徴収金の額は、入所した老人の前年の収入から租税、社会保険料、医療費等の必要経費を控除したもの(以下「対象収入」という。)に応じて定められている額と、その老人の主たる扶養義務者の前年分の所得税額等に応じて定められている額とを加えて算定する。

 ただし、4月から6月までの徴収金の額の算定については、入所した老人の前々年の対象収入、主たる扶養義務者の前々年分の所得税額等に応じて定められている額による。

2 検査の結果

 検査の結果、山形県酒田市ほか37事業主体では、対象収入等の認定に当たって調査が十分でなく、老人の収入を誤認するなどして対象収入を過小に算定したり、主たる扶養義務者の所得税額等を誤認して実際の額より少ないとしたり、徴収金の額の集計を誤ったりなどして、徴収金の額を過小に算定していた。このため国庫負担対象事業費が過大に精算されていて、国庫負担金38,741,617円が不当と認められる。

 上記の徴収金の額を過小に算定していた事態について一例を示すと次のとおりである。

<事例>  老人の対象収入を過小に算定していたもの

 A事業主体では、平成7年度に、特別養護老人ホームに入所している老人Bについて、同人の6年の対象収入は、国民年金392,016円から、医療費等の必要経費20,420円を控除した371,596円とし、7年7月から8年3月までの徴収金の額を67,500円と算定していた。そして、7年4月から6月までの徴収金の額については、5年の対象収入により、17,400円と算定し、7年度分の徴収金の額を合計84,900円と算定していた。

 しかし、実際は、6年の対象収入は、不動産の売却に伴う所得が11,529,100円あるので、これを加えた11,900,696円であった。これにより7年7月から8年3月までの徴収金の額を計算すると2,160,000円となる。したがって、7年度分の徴収金の額は7年4月から6月までの徴収金の額17,400円との合計2,177,400円となり、差し引き2,092,500円過小となっていた。

 また、これを府県別に示すと次のとおりである。

府県名 事業主体 年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金

摘要

千円 千円 千円 千円
(61) 山形県 酒田市 7 808,236 404,118 1,200 600 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(62)  同 鶴岡市 7 987,786 493,893 1,416 708
(63) 福島県 会津若松市 807,873 403,936 3,107 1,553
(64) 茨城県 日立市 7 593,458 296,729 1,522 761
(65)  同 土浦市 7 505,322 252,661 1,643 821
(66)  同 常陸太田市 7 240,442 120,221 2,170 1,085
(67)  同 取手市 7 293,527 146,763  2,908 1,454
(68) 栃木県 宇都宮市 7 1,479,341 739,670 4,017 2,008
(69)  同 足利市 7 669,724 334,862 2,727 1,363
(70)  同 鹿沼市 7 595,801 297,900 2,276 1,138
(71)  同 壬生町 7 120,532 60,266 2,594 1,297 老人の対象収入を過小に算定していたもの
(72)  同 西那須野町 7 191,512 95,756 1,408 704 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(73) 神奈川県 横浜市 7 9,636,027 4,818,013 2,268 1,134 老人の対象収入を過小に算定していたもの
(74) 新潟県 長岡市 7 968,138 484,069 1,704 852 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(75)  同 六日町 7 250,604 125,302 1,192 596

(76) 静岡県 静岡市 7 2,260,217 1,130,108 1,354 677

(77)  同 沼津市 7 857,616 428,808 3,387 1,693
(78) 愛知県 犬山市 7  230,921 115,460  1,367 683
(79) 三重県 四日市市 7 1,392,508 696,254 2,464 1,232
(80) 三重県 亀山市 7 237,958 118,979 1,060 530 徴収金の額の集計を誤っていたものなど
(81) 京都府 京都市 7 7,140,057 3,570,028 1,421 710 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(82)  同 福知山市 7 542,063 271,031 1,405 702
(83)  同 宇治市 7 505,577 252,788 1,691 845
(84) 兵庫県 尼崎市 7 2,233,851 1,116,925 4,235 2,117
(85)  同 伊丹市 7 503,131 251,565 1,158 579 徴収金の額の集計を誤っていたものなど
(86)  同 加古川市 7 490,995 245,497 3,073 1,536 主たる扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど
(87) 鳥取県 米子市 7 667,809 333,904 2,716 1,358 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(88) 広島県 広島市 7 5,170,762 2,585,381 3,584 1,792
(89)  同 呉市 7 1,757,769 878,884 2,189 1,094
(90)  同 尾道市 7 620,359 310,179 1,044 522 主たる扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど
(91) 愛媛県 一本松町 7 98,397 49,198 1,172 586 徴収金の額の集計を誤っていたもの
(92) 長崎県 長与町 7 178,010 89,005 1,512 756 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(93)  同 加津佐町 7 172,011 86,005 1,139 569
(94) 熊本県 八代市 7 802,138 401,069 956 478
(95)  同 菊池市 7 390,146 195,073 1,026 513 主たる扶養義務者の認定を誤っていたものなど
(96) 沖縄県 那覇市 7 1,965,136 982,568 2,071 1,035 老人の対象収入を過小に算定していたものなど
(97)  同 浦添市 7 465,998 232,999 1,548 774
(98)  同 沖縄市 7 742,898 371,449 3,741 1,870
(61)-(98)の計 47,574,671 23,787,335 77,483 38,741