ページトップ
  • 平成8年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 農林水産省|
  • 不当事項

補助金


(208)−(211) 林業改善資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)林野庁 (項)林業振興費
部局等の名称 林野庁
助成の根拠 林業改善資金助成法(昭和51年法律第42号)
事業主体 北海道ほか2県
事業の内容 林業従事者等に対する無利子の林業改善資金の貸付け
貸付先 4林業従事者等
貸付金額の合計 40,480,000円
(国庫補助金相当額26,986,665円)
不当貸付金額 19,385,600円
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 12,923,732円
 上記の3道県で4林業従事者等に対して行った林業改善資金40,480,000円の貸付けにおいて、19,385,600円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額12,923,732円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

1 補助金の概要

 林野庁では、林業従事者等の林業経営の改善等に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、当該貸付けに必要な資金の3分の2を林業改善資金造成費補助金として交付している。

 都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて林業改善資金として資金を造成し、林業経営の改善を促進するために必要な機械の購入又は施設の設置等を行う林業従事者等に対して、その必要な資金を無利子で貸し付けている。この林業改善資金の貸付限度額は、当該機械の取得に要する費用の100分の80などとなっており、償還期間は原則として10年以内となっている。

 林業改善資金の貸付けを受けようとする林業従事者等は、貸付申請書に事業計画書を添えて貸付申請を行い、都道府県はその内容を審査の上貸付けの適否を決定することとなっている。そして、借受者が貸付決定前に着工した事業については、貸付対象としないこととされている。また、借受者は事業完了後に事業実施報告書を提出し、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。

2 検査の結果

 この林業改善資金の貸付けについて調査したところ、4林業従事者等に対する40,480,000円の貸付けにおいて、借受者が、貸付決定前に既に設置していた機械を対象として貸付けを受けていたり、機械を貸付対象事業費より低額で設置したりしていた。このため、19,385,600円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額12,923,732円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

 これを道県別に示すと次のとおりである。

道県名 貸付先 貸付対象 貸付年月 貸付対象事業費(同上に対する貸付金額) 貸付対象として適切でない事業費(同上に対する貸付金相当額) 補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 摘要

(208)

北海道


林業を行う法人


油圧式ショベル等の購入

6.10
千円
23,100
(18,480)
千円
7,032
(5,625)
千円
3,750

低額実施

 この貸付けは、油圧式ショベル及びプロセッサ(注) 各1台の購入に必要な資金23,100,000円の一部として、18,480,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの機械を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、実際は、値引きを受けて、これより低額な16,068,000円で購入していた。

 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると12,854,400円となるので、本件貸付金額との差額5,625,600円が過大な貸付けとなっている。

(注)  プロセッサ 油圧式ショベルに取り付けて使用し、伐倒された木材の枝払い、切断及び集積作業を連続的に行う機械

(209)  同 林業を行う法人 油圧式ショベル等の購入 7.10 12,875
(10,000)
2,575
(1,760)
1,173 低額実施

 この貸付けは、油圧式ショベル及びグラップル(注) 各1台の購入に必要な資金12,875,000円の一部として、10,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの機械を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、実際は、値引きを受けて、これより低額な10,300,000円で購入していた。

 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると8,240,000円となるので、本件貸付金額との差額1,760,000円が過大な貸付けとなっている。

(注)  グラップル  油圧式ショベルに取り付けて使用し、伐倒された木材の集積作業を行う機械

(210) 千葉県 林業従事者 きのこ生産用自動包装機の設置 6.8 2,500
(2,000)
2,500
(2,000)
1,333 貸付対象外

 この貸付けは、きのこ生産用自動包装機1台の設置に必要な資金2,500,000円の一部として、2,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、この機械を平成6年9月に設置したとしているが、実際は、既に貸付決定より前の4年8月に設置していた。

 したがって、この事業は貸付対象にならないものである。

(211) 鹿児島県 木材製造業者 ログハウス材加工機の設置 6.8 12,500
(10,000)
12,500
(10,000)
6,666 貸付対象外

 この貸付けは、ログハウス材加工機1台の設置に必要な資金12,500,000円の一部として、10,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、この機械を平成6年9月に設置したとしているが、実際は、借受者は、この貸付けを受ける前の同年3月、中小企業金融公庫から、同機械を対象として長期資金10,000,000円を借り入れ、既に貸付決定より前の同年5月に設置していた。

 したがって、この事業は貸付対象にならないものである。

(208)−(211) の計 50,975
(40,480)
24,607
(19,385)
12,923

 

補助金 | 平成8年度決算検査報告 | 1

補助金 | 平成8年度決算検査報告 | 2

補助金 | 平成8年度決算検査報告 | 3

補助金 | 平成8年度決算検査報告 | 4

補助金 | 平成8年度決算検査報告 | 5

補助金 | 平成8年度決算検査報告 | 6

補助金 | 平成8年度決算検査報告 | 7

補助金 | 平成8年度決算検査報告 | 8

補助金 | 平成8年度決算検査報告 | 9