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  • 平成9年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 農林水産省|
  • 不当事項

補助金


(196) 山村振興等農林漁業特別対策事業の実施に当たり、建物の屋根部分の施工が設計と著しく相違していたため工事の目的を達していないもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農業振興費
部局等の名称 関東農政局
補助の根拠 予算補助
事業主体 山梨県南巨摩郡早川町
補助事業 山村振興等農林漁業特別対策
補助事業の概要 都市住民と地元住民との交流の促進を図るなどのため、平成8年度に、交流促進センターを建設するもの
事業費 25,000,000円
上記に対する国庫補助金交付額 12,500,000円
不当と認める事業費 25,000,000円
不当と認める国庫補助金交付額 12,500,000円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、山梨県南巨厚郡早川町が、山村振興等農林漁業特別対策事業の一環として、同町大原野地区に都市住民と地元住民の交流の促進を図るなどのため、平成8年度に、交流室、ホール、倉庫等として木造平屋建ての建物(床面積198.74m2 。以下「交流促進センター」という。)の建設を工事費25,000,000円(国庫補助金12,500,000円)で実施したものである。
 このうち交流室は、幅9.1m奥行き15.0mの部屋(床面積136.6m2 )であり、その屋根部分は、陸梁(ろくばり)、合掌等を用いたトラス梁(注1) を5本配置した構造としている(参考図参照)
 そして、この陸梁は、設計図書によると、この梁に強い引張力が作用することから室内幅に合わせて長さ約9.1mの平角材(米松(べいまつ)、幅12cm、高さ15cm)の一本物を使用して施工することとし、これにより、陸梁の引張力(注2) に対する引張強度(注2) は23.24tf となるとしていた。

2 検査の結果

 検査したところ、次のとおり陸梁の施工が設計と著しく相違していた。
 すなわち、設計では、陸梁は上記のとおり長さ約9.1mの一本物の平角材を使用することとしているのに、施工業者は、強い引張力が作用しない桁と同様の方法で施工できるとして、平角材3本(約3.8mを2本と約2mを1本)を木製の込栓で継ぎ合わせたものを陸梁としていた(参考図参照) 。このため、この継手部分の引張強度は3.39tf となり、設計上の陸梁の引張強度(23.24tf)に比べ著しく小さいものとなっていた。
 そして、しゅん功後、交流促進センターは10年1月の降雪により、陸梁が継手部分で破断(積雪により陛梁の継手部分に生じたと推定される引張力は6.98tf)し、交流室の屋根部分か崩壊していた。
 したがって、本件交流促進センター(工事費25,000,000円)は、陸梁の施工が設計と著しく相違し、その強度が設計に比べ著しく小さいものとなっていたために崩壊し使用できないものとなっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金12,500,000円が不当と認められる。

(注1)  トラス梁 部材が三角形を単位とした構造骨組(トラス)で構成される梁で、荷重が加わると各部材には軸方向力(引張及び圧縮力)だけが伝達される。

(注2)  引張力・引張強度 「引張力」とは材の内部に生ずる応力のうち、引き伸ばすように作用する力の大きさをいう。「引張強度」とは材が引張力を受けて破断するときの強さをいい、材の有効断面積に材料強度を乗じて算出される。

(参考図)

(参考図)

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