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  • 平成9年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 第5 農林水産省|
  • 不当事項

補助金


(202) 県営農地保全整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったためボックスカルバートの所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農地等保全管理事業費
部局等の名称 九州農政局
補助の根拠 土地改良法(昭和24年法律第195号)
事業主体 鹿児島県
補助事業 県営農地保全整備
補助事業の概要 排水路を新設するため、平成9年度に、ボックスカルバート等を施工するもの
事業費 36,840,000円
上記に対する国庫補助金交付額 20,262,000円
不当と認める事業費 10,202,666円
不当と認める国庫補助金交付額 5,611,466円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、鹿児島県が、県営農地保全整備事業の一環として、川辺郡知覧町松山地区において、排水路を新設するため、平成9年度に、ボックスカルバート(以下「カルバート」という。)の築造、盛土等を工事費36,840,000円(国庫補助金20,262,000円)で実施したものである。
 このうちカルバートは、排水路が既設の町道と交差する箇所に築造するもので、延長30.3m、内空断面が幅2.5m、高さ1.4mの鉄筋コンクリート構造となっている。そして、その頂版(厚さ30cm)の下面側及び底版(厚さ30cm)の上面側の横断方向の主鉄筋については、いずれも径13mmの鉄筋を15cm間隔に配置することとして設計し、これにより施工していた(参考図参照)

 この主鉄筋の設計に当たっては、カルバートに作用する鉛直土圧、輪荷重等を計算し、それを基に主鉄筋に生ずる引張応力度(注1) (常時)(注2) の計算を行った結果、いずれも許容引張応力度(注1) (常時)を下回っていることから、応力計算上安全であるとしていた。

2 検査の結果

 検査したところ、鉛直土圧の計算に当たり、本件カルバートの上に盛土される土の1m3 当たりの重量を、正しくは1.9tfとすべきであるのに、誤って、1.0tfとしていたため、盛土による鉛直土圧が1.0m2 当たり6.555tf となるところ、3.450tf と過小に計算されていた。
 そこで、正しい鉛直土圧により改めて本件主鉄筋に生ずる引張応力度(常時)を計算すると、頂版の下面側で2,482kgf/cm2 、底版の上面側で2,568kgf/cm2 となり、許容引張応力度(常時)1,800kgf/cm2 を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
 したがって、本件カルバート(工事費相当額10,202,666円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額5,611,466円が不当と認められる。

(注1)  引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。

(注2)  常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。

(参考図)

(参考図)

補助金の図3

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