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  • 平成10年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

給汽業務の部外委託に係る予定価格の算定方法を適切なものにするよう改善させたもの


(1) 給汽業務の部外委託に係る予定価格の算定方法を適切なものにするよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)防衛本庁 (項)防衛本庁
部局等の名称 航空自衛隊第1補給処東京支処
契約名 給汽業務の部外委託(熊谷基地)ほか4契約
契約の概要 ボイラーの運転、監視、点検・保守等を行うもの
契約の相手方 日立湘南電子株式会社
契約 平成10年4月〜5月 随意契約
契約金額 2億7447万余円
低減できた積算額 5530万円

1 調達の概要

(契約の概要)

 航空自衛隊第1補給処東京支処(以下「東京支処」という。)では、平成10年度に随意契約により熊谷基地ほか4基地(注) に係る給汽業務を、日立湘南電子株式会社に契約金額計2億7447万余円で委託している。

(給汽業務の概要)

 この給汽業務は、厨房、浴室等で使用する蒸気を発生させることを目的としてボイラーの運転、監視、点検・保守等を行うものである。

(予定価格の算定方法)

 東京支処では、予定価格の算定は防衛庁が制定した「調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令」(昭和37年防衛庁訓令第35号)等に基づいて実施している。同訓令によると予定価格の決定の基準となる計算価格の算定については、次のように定められている。

(1) 計算の要素となる数値について適当と認められる標準資料のある場合は、契約相手方及び当該業種における実情並びに調達物品等の数量、納期等を考慮の上、当該業種について適当と認められる数値を適用して計算価格を計算するものとする。

(2) 計算の要素となる数値について適当と認められる標準資料のない場合は、契約相手方から提出された見積資料を審査の上、調達物品等の数量、納期等を考慮して適当と認められる数値を適用して計算価格を計算することができる。

 そして、東京支処では、本件契約に係る予定価格の算定に当たって、計算の要素となる数値について適当と認められる標準資料がない場合に該当するとして、仕様書等で指定するなどした作業時間数に前記の会社から提出された見積資料を審査し算出した作業時間当たりの労務単価を乗じるなどして、予定価格を計2億7447万余円と算定していた。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 給汽業務は、他省庁、公共機関及び民間において広く実施されている業務であることから、本件契約に係る予定価格の算定方法が適切なものとなっているかに着眼して検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、給汽業務の部外委託に係る予定価格の算定について、次のような事態となっていた。
 防衛庁では、給汽業務を含む建築物の保全業務に関し、建設省から「建築保全業務積算基準」(以下「積算基準」という。)及び「建築保全業務積算基準に係る労務単価について(通知)」(以下「労務単価通知」という。)の通知を受けており、下部機関にも周知するよう要請されていた。積算基準及び労務単価通知は、国の建築物及びその附帯施設について、運転監視等の保全業務に対応した標準的な歩掛かり及び労務単価を定めたものである。
 したがって、予定価格の算定に当たっては、積算基準及び労務単価通知に基づいて算定することが可能であったと認められた。

(低減できた積算額)

 上記により本件給汽業務の予定価格を修正計算すると、熊谷基地ほか4基地分の予定価格計2億7447万余円は計2億1913万余円となり、約5530万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じているのは、東京支処において予定価格の算定方法についての検討が十分でなかったことにもよるが、航空幕僚監部において東京支処に対し積算基準及び労務単価通知の適用について十分周知していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、給汽業務に係る経費の節減を図るため、航空幕僚監部が11年10月に東京支処に対して文書を発し、東京支処では同年11月以降の給汽業務の部外委託契約について、予定価格の基礎となる計算価格の算定は積算基準及び労務単価通知を適用する処置を講じた。

(注)  熊谷基地ほか4基地  熊谷、木更津、小牧、岐阜、奈良各基地