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  • 平成10年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 農林水産省|
  • 平成9年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

林業構造改善事業等による施設の設置及び運営について


(2) 林業構造改善事業等による施設の設置及び運営について

(平成9年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 林野庁では、林業の安定的な発展を図り、林業従事者の所得を増大して経済的・社会的地位の向上に資するために必要な施策の一環として、林業・山村地域の活性化、特用林産の振興等を図るため、林業構造改善事業及び特用林産振興対策事業(以下「林業構造改善事業等」という。)を国庫補助事業として実施している。
 林業構造改善事業等において、市町村、森林組合等の事業主体では、収入で支出を賄うことを原則とした製材加工施設、きのこ等生産・販売施設等の整備事業等を実施している。
 上記施設の設置及び運営について検査したところ、損失額が多額に上っていることにより、遊休したままで事業の継続が困難な状況となっていたり、健全な経営が困難な状況となっていたりしていて、事業の効果が十分発現していないと認められるものが見受けられた。
 このような事態が生じているのは、事業主体において、事業の計画段階における企業経営的な観点からの分析、検討が十分でなかったり、施設の管理・運営が適切でなかったり、また、都道府県及び林野庁において、事業計画の認定に当たり、企業経営的な観点からの審査等が十分でなかったり、事業計画の達成状況報告が正確な収支等の実績を報告するものとなっていなかったりなどしていることによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 上記施設の設置及び運営について、事業の効果が発現するよう、次のとおり、林野庁長官に対し平成10年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

(ア) 事業計画の樹立に当たっては、事業主体等に、施設の規模及び内容、事業主体の技術力、経営能力等について、専門家による企業経営的な観点からの経営診断等を受けさせ、その診断結果等の意見を反映させることとし、また、都道府県に審査を徹底させること

(イ) 事業計画の達成状況報告を、都道府県及び林野庁が正確な収支等の実績について把握できるものとすること

(ウ) 正確な収支等の実績を把握した結果、経営が不振となっていると判明した場合には、事業主体に経営改善計画を策定させ、これを都道府県が審査して、その実施状況を経営が改善するまで都道府県を通じて報告させるとともに、健全な経営とするための情報提供、経営診断、経営管理指導等を行えるよう体制を強化すること

2 当局が講じた是正改善の処置

 林野庁では、本院指摘の趣旨に沿い、11年4月に通達を改正するなどして、事業の効果が発現するよう、次のような処置を講じた。

(ア) 都道府県を通じて、事業主体等に対し、事業計画の樹立に当たって、専門家による企業経営的な観点からの経営診断等を受けさせ、その診断結果等の意見を反映させるよう指導した。また、都道府県に対しては、審査を徹底させるよう会議等において指導した。

(イ) 事業計画の達成状況報告を、都道府県及び林野庁が正確な収支等の実績について把握できるものとした。

(ウ) 経営が不振となっていると判明した場合には、事業主体に経営改善計画を策定させ、これを都道府県が審査して、その実施状況を経営が改善するまで都道府県を通じて報告させるとともに、健全な経営とするための情報提供等を行えるよう体制を強化した。