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  • 平成11年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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  • 不当事項|
  • 補助金

低公害車普及推進事業の実施に当たり、地方公共団体が特別会計を設けて事業を行う場合の消費税相当額の取扱いが適切でなかったため、補助金が過大に交付されているもの


(4)低公害車普及推進事業の実施に当たり、地方公共団体が特別会計を設けて事業を行う場合の消費税相当額の取扱いが適切でなかったため、補助金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)環境庁 (項)環境庁
部局等の名称 環境庁
補助の根拠 予算補助
補助事業者
(事業主体)
東京都
補助事業 低公害車普及推進
補助事業の概要 環境の保全等を図るため、平成8年度から11年度までに、低公害車を導入するとともに、低公害車用の燃料等供給施設を設置したもの
補助対象経費 1,161,185,486円
上記に対する国庫補助金交付額 580,590,000円
不当と認める補助対象経費 48,486,632円
不当と認める国庫補助金交付額 24,243,316円

1 補助事業の概要

(低公害車普及推進事業の概要)

 環境庁では、人の健康の保護並びに生活環境及び地球環境の保全を図ることを目的として、「低公害車普及推進事業費補助金交付要綱」(平成8年環大−第66号、環境事務次官通知。以下「交付要綱」という。)に基づき、低公害車及び当該低公害車用の燃料等供給施設の整備を行う地方公共団体に対し、低公害車普及推進事業費補助金を交付している。この補助金の交付額は、低公害車の購入額とこれと同種の一般車両の価格との差額及び燃料等供給施設の設置費を補助対象経費とし、これに補助率2分の1を乗じて得た額となっている。
 東京都では、平成8年度から11年度までに、この補助金の交付を受けて、交通局等に路線バス用の天然ガス自動車等の低公害車92台を導入するとともに、天然ガス充てん施設を3箇所設置している。
 そして、これらの補助対象経費を、消費税相当額(9年度以降は地方消費税相当額を含む。以下同じ。)計48,890,832円を含めて計1,161,185,486円とし、これにより国庫補助金計580,590,000円の交付申請を行い、また、その交付決定を受けて各年度とも3月に実績報告書を提出し、国庫補助金の額の確定を受けていた。
 なお、都では、環境保全局(12年4月以降は「環境局」)が、低公害車を導入する交通局等の各部局の分を取りまとめて、国庫補助金に係る交付申請や実績報告等の事務を行っていた。

(補助事業における消費税相当額の取扱い)

 消費税法(昭和63年法律第108号)等によれば、地方公共団体が特別会計を設けて事業を行う場合において、資産の譲渡等による売上高の合計額と補助金収入など売上高以外の収入(以下「特定収入」という。)の合計額を加算した金額のうち特定収入の合計額の占める割合(以下「特定収入割合」という。)が100分の5以下の場合には、課税売上高に対する消費税額から特定収入により賄われる課税仕入れに係る消費税額を控除することができることとなっている。
 そして、補助事業の事業主体は、交付要綱等により、補助金の交付申請又は実績報告を行うに当たって、補助対象経費に含まれる消費税相当額のうち課税仕入れに係る消費税額として控除できる部分の金額が明らかな場合には、この金額に補助率を乗じて得た金額(以下「補助金に係る消費税仕入控除税額」という。)を補助金額から減額した額により交付申請又は実績報告しなければならないこと、また、補助事業完了後に、消費税の申告により補助金に係る消費税仕入控除税額が確定した場合には、その金額等を速やかに報告するとともに、当該金額を返還しなければならないこととなっている。

2 検査の結果

 検査したところ、東京都では、補助金に係る消費税相当額の取扱いが次のとおり適切でなかった。
 すなわち、前記の天然ガス自動車等のうち86台及び天然ガス充てん施設3箇所の整備に係る補助対象経費計1,133,677,286円(うち消費税相当額48,486,632円)は、特別会計を設けて事業を行っている交通局の分であった。そして、交通局では、各年度とも補助金の交付申請及び実績報告の段階において、当該特別会計(交通事業会計)における特定収入割合が100分の5以下となることを見込んでいたため、環境保全局に対する提出書類において補助対象経費に消費税相当額を含めていなかった。また、毎年6月に確定申告を行った際、各年度の特定収入割合が100分の5以下となっていたことから、課税売上高から本件補助金により賄われる課税仕入れに係る消費税額の全額48,486,632円を控除していた。
 しかし、環境保全局は、8年度から11年度までの国庫補助金に係る交付申請及び実績報告を行うに当たり、この額を補助対象経費に含めて補助金額を算定していて、補助金に係る消費税仕入控除税額24,243,316円を減額していなかった。また、交通局の確定申告後も、当該金額を返還する手続を執っていなかった。
 このような事態が生じていたのは、東京都の取りまとめ部局において、特別会計に係る消費税法の特例措置に対する認識が十分でなかったこと、環境庁において、都に対する指導や補助金の交付申請及び実績報告に対する審査確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、交通局分の補助金に係る消費税仕入控除税額に相当する国庫補助金計24,243,316円が過大に交付されていて、不当と認められる。