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労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(225)労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(徴収勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働基準局ほか16労働基準局及び北海道ほか10都府県(平成11年度以前)
北海道労働局ほか9労働局(平成12年度)
保険料納付義務者 徴収不足があった事業主数 398事業主
徴収過大があった事業主数 176事業主
徴収過不足額 徴収不足額  248,172,179円 (平成9年度〜12年度)
徴収過大額  59,361,079円 (平成9年度〜12年度)

1 保険料の概要

(労働保険)

 労働保険は、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するものである。このうち、〔1〕労災保険は、労働者の業務上の事由又は通勤による負傷、疾病等に対する療養補償給付等を行う保険であり、原則として、事業所に使用されるすべての労働者が対象となる。また、〔2〕雇用保険は、労働者の失業等に対する失業等給付、雇用安定事業等を行う保険であり、常時雇用される労働者のほか、いわゆるパートタイマー、アルバイト等や国又は地方公共団体で雇用される非常勤職員のうち1週間の所定労働時間が20時間以上で引き続き1年以上雇用されることが見込まれる等の要件を満たす労働者などが被保険者となる。

(保険料の徴収)

 保険料は、〔1〕労災保険分については事業主が負担し、〔2〕雇用保険分については、失業等給付に充てる部分を労働者と事業主とが折半して負担し、雇用安定事業等に充てる部分を事業主が負担して、〔1〕と〔2〕のいずれも事業主が納付することとなっている。
 保険料の納付は、原則として次のとおり行われることとなっている。
(ア) 毎年度の初めに、事業主は、都道府県労働基準局又は都道府県(平成11年度まで。都道府県は雇用保険のみ適用の事業主等が対象。12年度以降はすべて都道府県労働局。以下同じ。)に対し、その年度の労働者に支払う賃金総額の見込額に保険料率(注) を乗じて算定した概算保険料を申告し、納付する。
(イ) 次の年度の初めに、事業主は、都道府県労働基準局又は都道府県に対し、前年度に実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書を提出する。
(ウ) 都道府県労働基準局又は都道府県は、この申告書の記載内容を審査し、その結果に基づき保険料の過不足分が精算される。

(注) 保険料率 労災保険率と雇用保険率に分かれており、それぞれ次のとおりである。
〔1〕 労災保険率は、労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定められており、事業の種類ごとに平成11年度の場合は最低1000分の6から最高1000分の134となっている。
〔2〕 雇用保険率は、失業等給付、雇用安定事業等に要する費用を考慮して定められており、平成11年度の場合は1000分の11.5(ただし、農林、水産等の事業は1000分の13.5、建設の事業は1000分の14.5)となっている。

2 検査の結果

(検査の対象)

 近年、企業で雇用されるいわゆるパートタイマー、アルバイト等や国又は地方公共団体で雇用される非常勤職員が増加していることから、北海道労働基準局ほか16労働基準局及び北海道ほか13都府県並びに北海道労働局ほか9労働局管内の事業主のうち、主としてこれらの労働者を使用している割合の高い事業主や国又は地方公共団体の事業主など891事業主を選定して、都道府県労働基準局等において9年度から12年度までの間における保険料の徴収の適否を検査した。

(徴収過不足の事態)

 検査したところ、北海道労働基準局ほか16労働基準局及び北海道ほか10都府県並びに北海道労働局ほか9労働局において、875事業主のうち398事業主について徴収額が248,172,179円不足しており、176事業主について徴収額が59,361,079円過大になっていた。
 このような事態が生じていたのは、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、制度を十分理解していなかったり、計算誤りをしたりしていて、賃金総額の記載が次のように事実と相違しているなどしていたのに、上記の都道府県労働基準局等において、これに対する調査確認が十分でなかったことによるものである。
(ア) 雇用保険の加入要件を満たすパートタイマー、アルバイト等や非常勤職員を保険加入させていなかったため、賃金が算入漏れとなっていた。
(イ) 実際に支払った賃金の一部が算入漏れとなっていた。
 なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。
 これらの徴収不足額及び徴収過大額を都道府県労働基準局等ごとに示すと次のとおりである。

労働基準局等名 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数
徴収過大があった事業主数
徴収不足額
徴収過大額(△)
      千円
北海道労働基準局
北海道
北海道労働局
76 37
20
10,448
△ 3,537
宮城労働基準局 32 18
9
4,962
△ 2,165
茨城労働基準局
茨城県
茨城労働局
34 15
5
37,202
△  806
栃木労働基準局 20 9
3
2,328
△ 1,992
埼玉労働基準局 33 14
4
4,454
△ 1,529
千葉労働基準局
千葉県
千葉労働局
69 31
6
30,957
△ 3,362
東京労働基準局
東京都
東京労働局
163 85
42
75,280
△17,070
神奈川労働基準局
神奈川県
神奈川労働局
68 18
13
8,616
△ 4,167
石川労働基準局 18 13
3
6,618
△  642
愛知労働基準局
愛知県
愛知労働局
53 31
13
11,299
△  750
大阪労働基準局
大阪府
大阪労働局
63 21
20
5,690
△ 9,682
兵庫労働基準局 18 8
7
3,397
△ 1,285
広島労働基準局 40 19
7
11,581
△ 1,942
香川労働基準局
香川県
香川労働局
42 11
2
1,578
△  150
愛媛県 7 4
1
2,771
△  21
福岡労働基準局
福岡県
福岡労働局
55 18
10
4,658
△ 7,455
佐賀県
佐賀労働局
10 4
2
457
△  55
熊本労働基準局 31 13
5
5,488
△ 1,380
沖縄労働基準局 43 29
4
20,378
△ 1,360

17労働基準局
11都道府県
10労働局
875 398
176
248,172
△59,361