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  • 平成11年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第8 農畜産業振興事業団|
  • 不当事項|
  • 補助金

畜産廃棄物有効活用体制整備事業に係る助成金が過大に交付されていて、不当と認める国庫補助金交付額と認められるもの


(244)畜産廃棄物有効活用体制整備事業に係る助成金が過大に交付されていて、不当と認められるもの

科目 (助成勘定) (項)助成事業費
部局等の名称 農畜産業振興事業団(平成8年9月30日以前は「畜産振興事業団」)
補助の根拠 農畜産業振興事業団法(平成8年法律第53号)(平成8年9月30日以前は「畜産物の価格安定等に関する法律」(昭和36年法律第183号))
事業主体 社団法人日本畜産副生物協会(平成11年6月28日以降は社団法人日本畜産副産物協会)
助成先 岩手県化製油脂協同組合
助成の事業 畜産廃棄物有効活用体制整備(需給安定体制整備)
事業の概要 動物油脂等の適正な需給を確保するため、組合等が動物油脂の保管施設等を整備する場合に、社団法人日本畜産副生物協会が農畜産業振興事業団の補助を受けて当該組合等に経費を助成するもの
事業費 227,900,000円 (平成8年度)
上記に対する協会の助成金交付額 75,966,000円 (平成8年度)
上記に対する事業団の補助金相当額 75,966,000円
不当と認める事業費 132,072,081円 (平成8年度)
不当と認める協会の助成金交付額 44,023,680円 (平成8年度)
不当と認める事業団の補助金相当額 44,023,680円

1 事業の概要

 農畜産業振興事業団(以下「事業団」という。)では、農畜産業振興事業団法(平成8年法律第53号)に基づき、社団法人日本畜産副生物協会(以下「協会」という。)に対して補助金を交付している。そして、協会では、この補助金を財源として造成した基金により、食肉の処理・加工段階において発生する畜産廃棄物を加熱等することにより生じる動物油脂等の適正な需給を確保するため、中小企業等協同組合、商工組合等(以下「組合等」という。)が動物油脂の保管施設等を整備する畜産廃棄物有効活用体制整備事業(需給安定体制整備事業)に対して助成金を交付している。
 この助成金の対象となる施設の要件は、〔1〕当該施設を継続して利用できると認められる数量の動物油脂の生産及び流通があること、〔2〕当該施設が組合等の直接又は間接の構成員により生産された動物油脂を協同で保管・貯蔵するための施設であること、〔3〕当該施設が、動物油脂の需給調整に資すると認められるものであること、とされている。また、助成金の交付額は助成対象事業費の3分の1以内となっている。そして、助成金の交付を受けた組合等は、事業実施後に実績報告書を協会に提出し、協会はこれに基づいて事業の成果が助成金の交付の決定の内容等に適合するものであるかどうか調査することになっている。
 岩手県化製油脂協同組合(以下「組合」という。)では、平成8年度に、動物油脂を保管するためのタンク設備(保管容量1,540t)、動物油脂の温度低下による固形化を防止するためのボイラー設備等を設置していた。組合では、協会に対し、これらの施設を事業費227,900,000円で設置したとして実績報告書を提出し、協会は組合に対して助成金75,966,000円(事業団の補助金相当額 同額)を交付していた。

2 検査の結果

 検査したところ、組合では、助成金の交付決定後に上記タンク設備の材質をステンレスからタンク設備の材質としては一般的である鉄へ変更することなどにより、上記事業費より低額な98,702,756円で実施していた。このため、協会からの適正な助成金は31,942,320円となり、前記交付額75,966,000円との差額44,023,680円が過大な交付となっている。
 したがって、これに対する事業団の補助金相当額44,023,680円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、組合において補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、協会において組合からの実績報告書が適正かどうか関係書類による確認が十分でなかったこと、及び事業団において協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。