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  • 平成11年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第10 日本中央競馬会|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

競馬場等の所在市町村の行う環境整備に対する助成事業の実施に当たり、事業費の算定等を適正に行うよう改善させたもの


競馬場等の所在市町村の行う環境整備に対する助成事業の実施に当たり、事業費の算定等を適正に行うよう改善させたもの

科目 競馬事業費
部局等の名称 日本中央競馬会本部
環境整備事業費の交付の根拠 日本中央競馬会環境整備実施要綱(昭和53年理事長達第1号)等
事業の概要 競馬の開催による交通の混雑、渋滞等を防止するなどのため、道路の整備等の環境整備を行う市町村に対し、その事業費の一部を助成するもの
環境整備事業費の交付先 市2、特別区1
上記に対する環境整備事業費の交付額の合計 11億5932万円 (平成7、8、9、11各年度)
減額調整を要した環境整備事業費の交付額 5900万円

1 事業の概要

(環境整備事業の概要)

 日本中央競馬会(以下「競馬会」という。)では、競馬の開催等に伴う交通の混雑、渋滞等を防止するとともに競馬場等の周辺の環境の改善を図るため、環境整備事業を実施している。
 この環境整備事業は、「日本中央競馬会環境整備実施要綱」(昭和53年理事長達第1号)等(以下「要綱」という。)に基づいて、競馬場、場外勝馬投票券発売所、トレーニング・センター等(以下、これらを「競馬場等」という。)の所在市町村(特別区を含む。以下同じ。)及び競馬場等から所定の距離にある周辺市町村(以下、これらを「所在市町村」という。)に対し、環境整備事業費を交付するものである。そして、環境整備事業費は、所在市町村が道路・交通安全施設等の新設及び整備などの事業(以下「交付対象事業」という。)を行う場合の事業費の一部を助成するために交付することとされている。

(環境整備事業費の交付手続)

 環境整備事業費の主な交付手続は次のとおりとなっている。
〔1〕 所在市町村は、事業実施計画書を競馬場等を経由して6月末までに競馬会に提出する。
 その際、競馬場等は同計画書の内容を調査確認する。
〔2〕 競馬会は、〔1〕で提出された計画書を審査し、要綱で定める交付対象事業に該当し交付要件を満たす場合は、これを承認し交付額を決定する。
〔3〕 所在市町村は、事業実施後に、当該年度の事業実施報告書を競馬場等を経由して翌年度の6月末までに競馬会に提出する。その際、競馬場等では同報告書の内容を調査確認し、競馬会においてもその内容を確認する。

(限度交付額の算定方法)

 環境整備事業費の交付に当たっては、次のとおり所在市町村ごとに交付の限度額(以下「限度交付額」という。)を算定することとなっている。

 すなわち、交付対象事業の総事業費から国等の補助金や電力会社等の受託事業費を控除した額を、環境整備事業費の交付対象となる経費(以下「交付対象経費」という。)として算定する。そして、この交付対象経費に80%を乗じた額を環境整備事業費の限度交付額とする。また、交付対象経費の財源が自己財源と起債とで構成されていて、交付対象経費に80%を乗じた額が自己財源の額を超えるときは、自己財源の額を限度交付額とする。
 また、事業実施後、交付対象経費が減少したことにより限度交付額が交付済額を下回ることとなったり、交付対象経費の財源を構成する自己財源の額が減少したことにより限度交付額が交付済額を下回ることとなったりした場合は、これらの差額を翌年度以降の交付額から減額調整することとしている。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 環境整備事業費が毎年多額に上っていることから、主として限度交付額の算定及びこれに伴う減額調整等が適正に実施されているかに着眼して検査を実施した。

(検査の対象)

 中山競馬場ほか24競馬場等(注1) に係る平成7年度から11年度までの環境整備事業137件について検査した。

(検査の結果)

 検査の結果、阪神競馬場ほか2競馬場等(注2) に係る環境整備事業5件、これに係る総事業費26億4999万余円、環境整備事業費交付額11億5932万円において、限度交付額の算定及び減額調整の処理が適正に行われていない事態が見受けられた。
 これを態様別に示すと、次のとおりである。

(1) 交付済額が限度交付額を超えているもの

(ア) 交付対象経費の算定に当たり、交付対象事業に電力会社等の事業者からの受託事業が含まれているのに、当該受託事業費を控除せずに算定しているなどしたため、交付対象経費が過大に算定されているものがあった。そこで、適正な交付対象経費に80%を乗じて限度交付額を算定すると交付済額を下回ることとなり、翌年度に減額調整を行う必要があったと認められるものが3件、減額調整を要する額で計1231万余円見受けられた。
(イ) 環境整備事業費の交付を受けた後に、交付対象経費の財源を構成する起債額が大幅に増加したことなどにより自己財源の額が減少したのに、限度交付額を見直していないものがあった。そこで、この自己財源の額により適正な限度交付額を算定すると交付済額を下回ることとなり、翌年度に減額調整を行う必要があったと認められるものが1件、減額調整を要する額で849万余円見受けられた。
 上記(ア)の事態について一例を示すと、次のとおりである。

<事例>

 A市では、11年度に4652万円の環境整備事業費の交付を受けていた。そして、その事業実施報告書において、交付対象事業である道路整備工事等の交付対象経費をガス会社からの受託事業費167万余円を控除した5962万余円としていた。
 しかし、この事業の実際の受託事業費は856万余円であり、これを基に適正な交付対象経費を算定すると5273万余円となる。
 したがって、この交付対象経費に80%を乗じて限度交付額を算定すると4218万余円となり、上記の交付済額4652万円との差額433万余円について、翌年度に減額調整を行う必要があった。

(2) 既に決定していた減額調整を実施していなかったもの

 交付対象事業の一部が実施されなくなったことにより限度交付額が減少して減額調整が必要となったのに、競馬会において、減額調整を行う旨を所在市町村に通知しただけで、競馬場等との連絡調整を行わなかったため、減額調整を行っていなかったものが1件、減額調整を要する額で3824万余円見受けられた。

(減額調整を要した交付額)

 上記5件の環境整備事業において、限度交付額の算定を適正に行うなどして、計約5900万円について減額調整を行う必要があったと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、本件事業において審査すべき項目が多岐にわたっていることにもよるが、

ア 競馬場等において、事業実施報告書等に対する調査確認が十分でなかったこと
イ 競馬会において、
(ア) 事業実施報告書等に対する審査確認が十分でなかったこと
(イ) 減額調整の確認及び競馬場等との連絡調整が十分でなかったこと
(ウ) 競馬場等に対する指導が十分でなかったこと
などによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、競馬会では、12年10月、審査マニュアルを作成し、これを競馬場等に通知するなどして事業実施報告書等の調査確認及び減額調整等の処理が適切に行えるよう審査・指導体制を整備するとともに、前記の約5900万円については返還又は減額調整する処置を講じた。

(注1) 中山競馬場ほか24競馬場等 中山、京都、阪神各競馬場、札幌、静内、釧路、室蘭、横手、銀座、後楽園、錦糸町、浅草、新橋、新宿、渋谷、横浜、立川、石和、京都、梅田、難波、道頓堀、神戸、広島、八幡各場外勝馬投票券発売所
(注2) 阪神競馬場ほか2競馬場等 阪神競馬場、新橋、梅田両場外勝馬投票券発売所