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  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 不当事項|
  • 補助金

生活保護費補助金の経理において、経費の予定額等により実績報告を行っていたため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの


(85)生活保護費補助金の経理において、経費の予定額等により実績報告を行っていたため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生本省 (項)生活保護費
部局等の名称 厚生本省(平成13年1月6日以降は厚生労働本省)
補助の根拠 予算補助
補助事業者
(事業主体)
青森県
補助事業 生活保護適正実施推進事業
補助事業の概要 生活保護行政の適切な運営の確保に資するため、福祉事務所の監査・指導等を行うもの
上記に対する国庫補助金交付額 54,834,000円 (平成10年度)
不当と認める国庫補助金交付額 3,019,000円 (平成10年度)

1 補助金の概要

 生活保護費補助金(生活保護適正実施推進事業分)は、生活保護行政の適切な運営の確保に資するため、都道府県等が福祉事務所の監査や指導、関係職員の研修などを行ったり、扶養義務調査の推進、生活保護制度の周知徹底などを図ったりする事業に対して補助するものである。この補助金の補助対象経費は、これらの各事業に必要な旅費、需用費、備品購入費等で、その交付額は、事業の区分ごとに補助対象経費の実支出額と所定の基準額とを比較して少ない方の額を補助対象事業費とし、これに2分の1又は10分の10を乗じて得た額の合計額となっている。
 青森県では、平成10年度に実施した生活保護適正実施推進事業について、補助対象経費の実支出額は計57,926,536円であるとし、これを基に補助対象事業費を57,532,000円として、厚生省に事業実績報告書を提出し、国庫補助金54,834,000円の交付を受けていた。

2 検査の結果

 検査したところ、同県では、事業実績報告書の提出に当たり、福祉事務所の指導監査や生活保護のパンフレットの作成などの規模を縮小したなどのため旅費や需用費等を予定したほど要しなかったのに、予定額をそのまま実支出額として計上したり、前年度に購入した備品の購入費を補助対象経費として計上したりしていた。
 したがって、同県が実際に要した補助対象経費は計55,386,730円であり、これに基づく適正な補助対象事業費は計51,467,783円となり、補助対象事業費が過大に精算されている。そして、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金額を算定すると51,815,000円となり、交付額との差額3,019,000円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同県において、本件補助事業に係る経費とそれ以外の経費の区別を明確にしておらず、漫然と予定額と同額を事業実績報告書に計上するなど、補助事業の実施に当たっての基本的な認識が欠けていたことなどによると認められる。