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  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 貸付金

農業改良資金の貸付けが不当と認められるもの


(193)−(195)農業改良資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 農業経営基盤強化措置特別会計 (項)農業改良資金貸付金
昭和59年度以前は、
一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農業振興費
部局等の名称 農林水産本省、関東農政局、沖縄開発庁沖縄総合事務局(平成13年1月6日以降は内閣府沖縄総合事務局)
国の貸付金等 農業改良資金貸付金
(昭和59年度以前は、「農業改良資金助成補助金」)
貸付け等の根拠 農業改良資金助成法(昭和31年法律第102号)
貸付け等の内容 農業者等に対し農業改良資金の貸付けを行う都道府県に対する資金の貸付け等
貸付け等先 北海道ほか2県
道県の貸付件数 3件(3農業者)
道県の貸付金額の合計 34,219,000円
(国の貸付金等相当額 22,812,667円)
道県の不当貸付金額 30,435,388円
貸付け等の目的に沿わない国の貸付金等相当額 20,290,259円

1 貸付金の概要

 農林水産省では、農業者等における農業経営の改善等に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、当該貸付けに必要な資金の3分の2を無利子で貸し付けている(昭和59年度以前は当該額を補助金として交付している。)。
 都道府県は、国の貸付金及び補助金に自己資金等を合わせて資金を造成し、能率的な農業技術の導入に必要な施設の設置又は機械の購入等を行う農業者等に対して、その必要な資金を農業改良資金として無利子で貸し付けている。農業改良資金の貸付けの限度額は、資金の種類によって、農林水産省令で定める標準資金需要額を基準として都道府県が定める額の100分の80若しくは100分の90又は農林水産省令で定める額となっている。そして、償還期間は12年以内となっている。また、貸付対象については、農業者等が貸付申請前に完了した事業は貸付対象にならないこととなっている。
 農業改良資金の貸付けを受けようとする農業者等は、貸付申請書に事業計画を添えて貸付申請を行い、都道府県はその内容を審査の上貸付けの適否を決定することとなっている。そして、借受者は、事業完了後には事業実施報告書の提出、償還完了までの間に事業を廃止するなどしたときには変更届の提出などの手続を執ることとなっている。
 また、都道府県は、上記の報告書に基づいて事業の実施状況の確認を行うとともに、本制度の目的達成のため、農業者に対する技術・経営の普及、指導を併せて行うこととなっている。

2 検査の結果

 北海道ほか28県における農業改良資金の貸付けのうち241件の貸付けについて検査したところ、北海道ほか2県の3農業者に対する 3件34,219,000円の貸付けにおいて、借受者が、貸付けの対象とならない事業について貸付けを受けたり、事業実施後に営農を放棄したりしていた。このため、30,435,388円の貸付けが不当と認められ、ひいては国の貸付金等相当額20,290,259円が貸付け等の目的に沿わない結果になっていると認められる。
 このような事態が生じていたのは、借受者において、事実と相違した内容の貸付申請や事業実施報告を行っていたり、変更届の提出などの必要な手続を怠っていたりしたこと並びに道又は県において、貸付申請や事業実施報告の審査及び確認が十分でなかったり、借受者に対する技術・経営の指導が十分でなかったりしたことによると認められる。
 これを道県別・貸付先別に示すと次のとおりである。

道県名 貸付先 貸付対象 貸付年月 貸付対象事業費 貸付対象として適切でない事業費 貸付け等の目的に沿わない国の貸付金等相当額 摘要
同上に対する貸付金額 同上に対する貸付金相当額
千円 千円 千円
(193) 北海道 農業者 トラクタ等の購入等 10.4 13,917
(11,133)
9,187
(7,349)
4,899 貸付対象外
 この貸付けは、トラクタ等の購入及び貯蔵庫の設置に必要な資金13,917,015円の一部として、11,133,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの購入及び設置を平成10年4月から8月までに実施したとしているが、実際は、これらのうちトラクタ(貸付対象事業費9,187,500円)は、貸付申請をした10年3月より前の9年10月に購入しており、貸付対象にならないものである。
 したがって、これに対する適切な貸付金額を計算すると3,783,612円となり、本件貸付金額との差額7,349,388円が過大な貸付けとなっている。
(194) 埼玉県 農業者 鉄骨ハウス等の建設 10.2 12,894
(12,516)
12,894
(12,516)
8,344 貸付目的の不達成
 この貸付けは、青年農業者等の育成確保を目的とするもので、借受者が花木鉢物生産を行う鉄骨ハウス及び附帯施設を建設するために必要な資金12,894,479円の一部として、12,516,000円を貸し付けたものである。借受者は、鉄骨ハウス等の建設を貸付対象事業費どおりの額で実施し、平成10年5月から花木鉢物生産を開始したが、12年10月には他の市に転居の上民間会社に勤務しており、営農を放棄していた。
 したがって、鉄骨ハウス等の建設に係る貸付金12,516,000円は、貸付けの目的を達成していない。
(195) 沖縄県 農業者 種苗の購入等 10.4 10,973
(10,570)
10,973
(10,570)
7,046 貸付目的の不達成
 この貸付けは、農業経営の改善を目的としており、観葉植物の原木を生産するための種苗の購入等に必要な資金10,973,440円の一部として、10,570,000円を貸し付けたものである。借受者は、種苗の購入等を貸付対象事業費どおりの額で実施し、平成10年6月から原木の生産を開始したが、同年10月には他の市に転居しており、営農を放棄していた。
 したがって、種苗の購入等に係る貸付金10,570,000円は、貸付けの目的を達成していない。
(193)-(195)の計 37,784
(34,219)
32,273
(30,435)
20,290