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  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

衛星船舶電話料金の料金種別を使用実態に応じた経済的なものにして電話料金の節減を図るよう改善させたもの


(1)衛星船舶電話料金の料金種別を使用実態に応じた経済的なものにして電話料金の節減を図るよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)海上保安庁  (項)海上保安官署
 (項)放射能調査研究費
部局等の名称 第五管区海上保安本部ほか52官署
契約の概要 巡視艇等に専用の電話機を設置して衛星船舶電話のサービスを利用するもの
契約の相手方 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(平成12年3月31日以前はエヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社)
支払金額 1億5268万余円 (平成11年5月〜13年3月)
節減できた電話料金 5840万円

1 衛星船舶電話の概要

(衛星船舶電話)

 海上保安庁では、海上における治安の維持、海上交通の安全確保、海難救助等の業務を行うため、全国に巡視船、巡視艇等の船艇を配備している。そして、これらのうち363隻には衛星船舶電話を設置し、ファックスの送受信を行う場合や島陰などで専用無線電話が通じない場合などに使用している。このため、これらの船艇には、ファックス機能付電話機を設置するとともに、さらに福利厚生の一環として乗組員の個人使用のためのカード電話機を設置し、これらを一つの回線に接続し、切り替えることによりいずれか一方を使用する仕組みとしている。
 この衛星船舶電話については、海上保安本庁ほか63官署(注1) が株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモとその利用契約を締結している。

(衛星船舶電話の利用料金)

 衛星船舶電話の料金は、定額制である基本使用料及び端末設備使用料と、発信量に応じたダイヤル通話料などからなっている。
 この料金の種別としては、プランAとプランEの2種類がある。このうちプランAは基本使用料が月額15,000円である。一方、プランEはダイヤル通話料単価がプランAの2倍となるものの基本使用料が月額4,900円であり、プランAと異なりカード電話機は設置できないものである。このプランEは平成10年7月から新たに導入されたものであり、発信量が少なくプランAでのダイヤル通話料が10,100円未満である場合は、プランEを選択した方が利用料金は割安となる。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 衛星船舶電話については、上記のとおり発信量が少ない場合に利用料金が割安となる料金種別が新たに導入されていることから、各官署において、使用実態に応じた経済的な料金種別を選択しているかに着眼して検査した。

(検査の対象)

 前記の64官署において、363隻の船艇に設置されている衛星船舶電話を対象として、これらに係る11年4月使用分から13年2月使用分の利用料金のうち、基本使用料、ダイヤル通話料等について検査を実施した。

(検査の結果)

 検査したところ、上記363隻のうち362隻については、プランAを選択していた。このうち、日帰りの航海が多い小型巡視艇等170隻に設置している衛星船舶電話については第五管区海上保安本部ほか52官署(注2) が契約しており、これに係る利用料金(上記の期間における支払額計1億5268万余円)は、1隻当たりの月平均ダイヤル通話料が1,613円となっていた。これは、割安な料金種別を選択する際の分岐点であるプランAでのダイヤル通話料10,100円を大きく下回っていて、プランEを選択した方が利用料金が月平均で8,400円程度割安であった。そして、各船艇ごとにみても、年間の利用料金は11年度の1隻を除いていずれの船艇もプランEを選択した方が低額となっていた。
 一方、プランAをプランEに変更した場合はカード電話機が設置できなくなるが、乗組員が衛星船舶電話を個人使用する場合には付加サービスを利用することなどにより、乗組員の個人負担分を特定することが可能である。そして、小型巡視艇等に設置されているカード電話機の通話料の実績は少額であったことから、個人負担部分の特定等に伴う事務量の増加に対応することは可能であると認められた。
 したがって、小型巡視艇等に設置されている衛星船舶電話については、各官署において、使用実態に応じた経済的な料金種別を選択すべきであると認められた。

(節減できた電話料金)

 前記170隻の小型巡視艇等に設置している衛星船舶電話についてプランEを選択していたとすれば、前記付加サービスの利用料金を考慮しても、カード電話機に係る機器の使用料が不要になることもあり、11、12両年度で約5840万円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、衛星船舶電話の料金種別として新たにプランEが導入されたのに、海上保安庁において、経済的な料金種別の見直しについて十分検討していなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、海上保安庁では、13年2月に各管区海上保安本部に対して通知を発し、各官署において、小型巡視艇等に設置された衛星船舶電話の使用実態に応じた経済的な料金種別を選択することとする処置を講じた。

(注1) 海上保安本庁ほか63官署 海上保安本庁、第三、第四、第五、第七、第八、第九、第十、第十一各管区海上保安本部、小樽、留萌、稚内、函館、室蘭、釧路、根室、紋別、塩釜、青森、八戸、釜石、秋田、酒田、小名浜、横浜、東京、那珂湊、千葉、銚子、横須賀、下田、清水、名古屋、四日市、鳥羽、尾鷲、広島、水島、玉野、尾道、呉、徳山、高松、松山、今治、宇和島、門司、若松、福岡、三池、唐津、長崎、佐世保、厳原、大分、仙崎、新潟、伏木、金沢、鹿児島、三角、油津、串木野、名瀬各海上保安部
(注2) 第五管区海上保安本部ほか52官署 第五、第七、第八、第九、第十一各管区海上保安本部、小樽、留萌、稚内、函館、室蘭、釧路、根室、塩釜、青森、八戸、釜石、秋田、酒田、小名浜、横浜、東京、那珂湊、千葉、銚子、横須賀、清水、名古屋、四日市、鳥羽、尾鷲、広島、水島、玉野、尾道、呉、徳山、高松、松山、今治、宇和島、門司、若松、福岡、三池、唐津、長崎、佐世保、大分、仙崎、鹿児島、三角、油津、名瀬各海上保安部