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  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 内閣府|
  • (防衛庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

エンジン等を取り外し長期に格納する航空機の国有財産法上の取扱いを適正なものとするよう改善させたもの


(2) エンジン等を取り外し長期に格納する航空機の国有財産法上の取扱いを適正なものとするよう改善させたもの

部局等の名称 航空幕僚監部
国有財産の分類 (分類)行政財産 (種類)公用財産 (区分)航空機
検査の対象とした国有財産 F-4EJ型要撃戦闘機12機及びT-2(CCV)型実用試験機1機
上記13機の平成13年度末現在の国有財産台帳価格 33億2964万円

1 F−4EJ型要撃戦闘機等の格納の概要

(航空機の管理等)

 航空自衛隊では、我が国の防衛に資するなどのため、戦闘機、練習機、輸送機等の多種多様な航空機を保有し管理、運用している。
 航空機については、国有財産法(昭和23年法律第73号)第2条の規定により、その従物とともに国有財産とされている。そして、この「航空機」は、航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に規定する航空機、すなわち人が乗って航空の用に供する飛行機、回転翼航空機等とされており、また、「従物」は、民法(明治29年法律第89号)第87条第1項に規定する従物、すなわち主物に付属しその常用に供される物とされている。
 航空自衛隊では、防衛庁所属国有財産(航空機)の取扱いに関する訓令(昭和40年防衛庁訓令第24号)に基づき、航空法第2条第1項に規定する航空機及び航空機の運用上これに付属する器具を国有財産法上の航空機及び従物として取り扱っている。そして、航空自衛隊では、各省各庁の長である内閣総理大臣から国有財産に関する事務を分掌している航空幕僚長が、国有財産法第32条の規定に基づく国有財産台帳を管理するなどして、航空機を国有財産として管理している。
 一方、航空自衛隊では、航空機の部品等を、国有財産である航空機を維持管理するための交換、修理等に用いる部品等(以下「補用部品」という。)として保管し補給するときは、物品管理法(昭和31年法律第113号)第2条第1項に規定する物品として管理している。そして、この補用部品の管理については、物品管理官である航空幕僚長の事務を分掌している補給処等の長が分任物品管理官としてこれを行っている。

(航空機の格納)

 航空自衛隊では、航空機の維持管理等のため必要に応じて、飛行しない状態の航空機を防錆処置を施すなどして格納することとしている。
 そして、航空自衛隊では、平成13年度末において、F−4EJ型要撃戦闘機(以下「F−4EJ」という。)12機及びT−2(CCV)型実用試験機(以下「T−2(CCV)」という。)1機を、将来の運用に備えるなどのため、エンジンや電子機器等の部品等(以下「エンジン等」という。)を取り外した状態で、密閉して品質低下を防ぐなどの防錆処置を施すなどして長期にわたり格納している(以下、これらのF−4EJ12機及びT−2(CCV)1機を「格納機」という。)。

2 検査の結果

(検査の着眼点及び対象)

 国有財産台帳は、国有財産の数量、価格等を記録し、国有財産を適正に経理するための帳簿であり、また、これを基に毎年度作成される国有財産増減及び現在額報告書、及び同総計算書(以下「国有財産報告書等」という。)は、国有財産の現況を国会を通じて国民に対し明らかにするという性格を有するものとされている。
 そこで、格納機について、国有財産法上適切な取扱いとなっているかなどに着眼して検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 すなわち、前記の格納機については、11、12両年度に、エンジン等が補用部品として利活用するなどのために取り外されていた。そして、これらの取り外された13機分のエンジン等計335品目、3,951個については、分任物品管理官である補給処等の長が、物品管理簿に記録するなどして、物品として管理していた。
 また、航空幕僚監部では、航空機を取得する際に製造費等により価格を国有財産台帳に登録し、その後、国有財産法施行令(昭和23年政令第246号)第23条の規定による価格の改定を行っているが、格納機については、エンジン等を取り外した後の13年度末においても国有財産として取り扱い、国有財産台帳には取り外したエンジン等を含む航空機としての価格が計上されていた。
 しかし、格納機は、取り外したエンジン等が補給処等において他の航空機の補用部品として管理され、エンジン等が取り外された機体は防錆処置を施されて格納されている現状においては、人が乗って航空の用に供する飛行機及び従物に当たらず、国有財産として取り扱う状況にないと認められた。
 これらの格納機の13年度末における国有財産台帳価格は、F−4EJ12機で計28億7438万余円、T−2(CCV)1機で4億5525万余円、計13機で33億2964万余円となっており、13年度国有財産報告書等にもこの国有財産台帳を基に同額が計上されていて、国有財産の現況が正確に表示されていなかった。
 このように、航空自衛隊において、現状における格納機を国有財産として取り扱い、国有財産報告書等に国有財産の現況が正確に表示されていない事態は適切とは認められず、改善の要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、航空幕僚監部において、エンジン等を取り外し長期に格納する航空機について、国有財産として取り扱うか、物品として取り扱うかに関する明確な基準等を定めていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、航空幕僚監部では、14年10月に、エンジン等を取り外し長期に格納する航空機の取扱いについての要領を定めるとともに、格納機については、国有財産としての用途を廃止し物品として管理することについて防衛庁長官の承認を受けるなどの処置を講じた。