ページトップ
  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第3 総務省|
  • 不当事項|
  • 補助金

新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業の実施に当たり、光ファイバケーブル敷設工事の設計が適切でなかったなどのため、工事費が割高となっているもの


(8) 新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業の実施に当たり、光ファイバケーブル敷設工事の設計が適切でなかったなどのため、工事費が割高となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)郵政本省 (項)郵政本省
部局等の名称 郵政本省(平成13年1月6日以降は総務本省)
補助の根拠 予算補助
補助事業者 三重県
間接補助事業者 三重県多気郡多気町ほか3町村
間接補助事業者(事業主体) 松阪ケーブルテレビ・ステーション株式会社
補助事業 松阪市周辺町村新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業
補助事業の概要 ケーブルテレビ放送を実施するため、平成11年度に光ファイバケーブル敷設工事等を施工するもの
事業費 401,600,000円
上記に対する国庫補助金交付額 100,400,000円
不当と認める事業費 42,757,000円
不当と認める国庫補助金交付額 10,689,000円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、第三セクターの松阪ケーブルテレビ・ステーション株式会社(以下「CATV会社」という。)が、新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業の一環として、三重県多気郡多気町、明和町、大台町及び勢和村において、ケーブルテレビ施設を整備するため、平成11年度に光ファイバケーブル(以下「光ケーブル」という。)の敷設工事等を工事費401,600,000円(国庫補助金100,400,000円)で実施したものである。
 CATV会社では、次のような設計により上記の光ケーブル(総延長85.9km)を敷設することとしていた。
(ア) 松阪市内に設置されているヘッドエンド施設(注) から多気町、大台町及び勢和村の各町村ごとに1箇所設置した中継施設までの光ケーブル(延長67.2km)については、それぞれ4心の光ケーブルを1条ずつ計3条敷設することとし、途中の2箇所の分岐点(ヘッドエンド施設から14.3km地点及び18.8km地点)までは、光ケーブル3条又は2条を同一経路上の電柱等に共架して並行に敷設する(参考図1参照)
(イ) ヘッドエンド施設から明和町の中継施設までの光ケーブルについては、その区間18.7kmの全延長に4心の光ケーブル1条を敷設する。
 そして、これらの光ケーブルの敷設に要する直接工事費を、(ア)については78,400,000円、(イ)については20,500,000円、計98,900,000円と算定していた。

2 検査の結果

 検査したところ、光ケーブルの敷設工事の設計が次のとおり適切でなかった。
(ア) 光ケーブルには、4心のケーブル以外にも、ケーブルの太さや重量はほとんど変わらずに、より多くの心線を収納したものがあり、多数の心線を必要とする場合には、施工が簡便かつ経済的となることから、このような多心タイプの光ケーブル(参考図2参照) を使用することが一般的となっている。したがって、ヘッドエンド施設から多気町、大台町及び勢和村の各中継施設までの区間においても4心の光ケーブル3条又は2条をそれぞれ並行して敷設するのではなく、ヘッドエンド施設から最初の分岐点までは12心、同分岐点から次の分岐点までは8心の光ケーブル1条を敷設する経済的な設計にすべきであったと認められる。実際の施工においても同区間は光ケーブル1条で敷設されていた。
 したがって、上記の区間について、光ケーブル1条を敷設することとして設計し、工事費を修正計算すれば、直接工事費は53,696,000円となり、前記の設計額と比べて24,704,000円割高となっていた。
(イ) CATV会社では、ヘッドエンド施設から明和町の中継施設までの区間のうちヘッドエンド施設から約13.7kmの地点までの区間は、別工事で既に多心タイプの光ケーブルを敷設していた。そして、CATV会社は、この光ケーブルに未使用の心線があり、これを利用することが可能であることをあらかじめ承知していたのであるから、この既設の光ケーブルを利用することとして設計すべきであったと認められる。実際の施工においても、同区間は既設の光ケーブルを利用することとして光ケーブルの敷設工事(直接工事費12,344,800円)が実施されていなかった。
 このような事態が生じていたのは、CATV会社において、補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなく、委託した設計業務の成果品に対する審査及び経済的な設計とする配慮が十分でなかったこと、4町村において、町村間の連携や調査・確認が十分でなかったこと、三重県において、補助事業の実施に関する事業主体等への指導等が十分でなかったことなどによると認められる。
 前記の(ア)及び(イ)により工事費を修正計算し、さらに、誤って補助対象に含めて工事費に計上していた電力会社への共架申請等の費用1,700,000円を控除すると、諸経費等を含めた工事費総額は358,842,887円となる。したがって、本件工事費はこれに比べて約42,757,000円割高になっており、これに係る国庫補助金相当額10,689,000円が不当と認められる。

ヘッドエンド施設 放送事業者から受信した放送をケーブルテレビ加入者に再送信したり、加入者との間で双方向のデータ伝送を行うための設備を備えるケーブルテレビ事業者のセンター施設

 

(参考図1) (参考図2)
光ケーブルの敷設概念図 多心タイプの光ケーブル(12心の例)
新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業の実施に当たり、光ファイバケーブル敷設工事の設計が適切でなかったなどのため、工事費が割高となっているものの図1 新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業の実施に当たり、光ファイバケーブル敷設工事の設計が適切でなかったなどのため、工事費が割高となっているものの図2