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  • 平成13年|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 外務省|
  • 平成12年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

報償費の執行について


(3) 報償費の執行について

(平成12年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善及び改善の処置

(検査結果の概要)

 報償費は、国が、国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じその都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費とされており、外務省では、これを「情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開するため」に使用することとしている。

 本院では、報償費の経理処理が適正に行われているか、その確認や監査は十分に行われているか、また、その使途は適当かなどに着眼して検査したところ、次のような事態が見受けられた。
(1) 経理処理について、支出に関する決裁が事前になされていなかったり、請求書払ができるものを立替払したりなどしたもの
(2) 確認、監査について、書類の不備等により確認が十分できなかったり、監査が十分に行われていなかったりしたもの
(3) 報償費の使途について、定型化、定例化するなどしてきており、当面の任務と状況に応じ機動的に使用するとの報償費の趣旨からすると、報償費ではなく庁費等の他の費目で支出するよう改善する必要があったもの

 このような事態が生じているのは、主として次のようなことによると認められた。
(ア) 報償費に関する会計手続等を遵守することが職員に対して徹底されていないこと
(イ) 本省において、支払手続や精算手続は適切に執られているか、必要な書類が十分に整備されているかなどの内部での確認が十分でないこと、報償費に係る内部監査システムが十分に整備されていないこと、また、在外公館に対する査察が報償費の執行を十分に確認する内容とはなっていないこと
(ウ) 報償費の支出に際して真に報償費を使用する必要があるかについての検討が十分でないため、他の費目で支出するよう改善する必要がある経費についても使用されていること

(検査結果によリ要求した是正改善及び改善の処置)

 報償費の執行が適正に行われるよう、次のとおり、外務大臣に対し13年9月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求し、及び同法第36条の規定により改善の処置を要求した。
(ア) 報償費の使用に当たり、事前決裁を必ず受けること、やむを得ない場合を除いて立替払を行わないことなどの報償費に関する会計手続等を、職員に対して周知徹底し、これを遵守させること
(イ) 報償費の使用後に会合等を行った者から報告を求めたり、必要な書類を十分に整備させたり、在外公館の証拠書類を本省に提出させたりするなどして、内部の確認が十分に行えるようにするとともに、実効ある内部監査を実現するための具体的方策を早急に検討・確立すること
(ウ) 報償費の使途について見直しを行い、庁費等の他の費目から支出するよう改善する必要がある経費については他の費目での予算措置を講ずるなどし、今後は報償費として真に支出する必要があるものに使用していくこと

2 当局が講じた是正改善及び改善の処置

 外務省では、本院指摘の趣旨に沿い、14年4月に報償費の取扱責任者等に通知を発するなどして、報償費の執行が適正に行われるよう、次のような処置を講じた。
(ア) 報償費を使用しようとするときは、使用目的、金額等を記載した文書を起案し、取扱責任者等の決裁を事前に必ず受けること、やむを得ない場合を除いて立替払を行わないことなどの報償費に関する会計手続等を、職員に対して周知徹底し、これを遵守させることとした。
(イ) 報償費により支弁することとされた会合等を行ったときは、その報告書を作成して取扱責任者に提出することとしたり、在外公館の証拠書類を本省に提出させることとしたりなどして、内部の確認が十分行えるよう体制を整備するとともに、在外公館に対する査察制度に加えて新たに本省に対する監察制度を設けて、その担当者に外部からの専門家を任用するなどして、内部監査を実効あるものとした。
(ウ) 報償費の使途について見直しを行い、14年度予算において、近年、定型化、定例化しているものについて、可能な場合には、庁費等の他の予算費目に関連経費と併せて計上するなどして、報償費は報償費として真に支出する必要があるものに使用することとした。