平成13年度
第3章 個別の検査結果
第1節 省庁別の検査結果
第6 財務省
本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項
(1) 普通財産の貸付けに当たり、貸付料の改定等に伴う債権管理事務が適切に行われるよう改善させたもの
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1 制度の概要
(普通財産の貸付け)
国有財産は、国の行政目的に直接供用される行政財産とそれ以外の普通財産に分類されている。このうち、普通財産は、売払い、貸付け等の対象となる財産であり、その管理及び処分は国有財産法(昭和23年法律第73号)により、原則として財務省が行うこととなっている。
そして、財務省では普通財産である土地及び建物(以下「土地等」という。)を時価で貸し付けており、その貸付件数は平成13年度末で土地33,257件、建物1,639件、計34,896件に上っている。これらの貸付けのうち、継続して貸付け(以下「継続貸付」という。)を行っている土地等がその大半を占めており、また、金銭納付が困難な納税者が金銭納付に代えて納付した土地等の権利付物納財産(注1)の引受けに伴う貸付けも含まれている。
| (注1) | 権利付物納財産 相続税法(昭和25年法律第73号)の規定に基づき、金銭納付に代えて国に物納された借地権等の権利が付いた不動産 |
(貸付契約と貸付料の改定)
財務(支)局、沖縄総合事務局、財務事務所及び出張所(以下「財務局等」という。)では、土地等を貸し付ける場合には国有財産有償貸付契約書(以下「契約書」という。)により貸付けの相手方(以下「借受人」という。)と契約を締結しており、これには貸付期間や国の定める貸付料算定基準に基づき算定した貸付料の年額などが記載されていて、その後引き続き継続貸付する土地等の貸付料については、定期的に改定することとしており、原則として3年分を一括して算定し、これを借受人に通知することとしている。
また、財務局等は税務署から権利付物納財産を引き受けた場合は、国を貸主とした賃貸借に係る変更契約を借受人と締結することとし、貸付料については、物納後3年間(11年度以前は物納後1年間)は従前の貸付料と同額とすることとしており、以後の貸付料改定については上記と同様に通知することとしている。
(貸付料の改定等に伴う債権管理事務)
上記貸付料の改定等を行う場合は、財務局等の契約担当官等(以下「契約部門」という。)が貸付料を算定し、借受人に貸付料の改定額を通知等するほか、同部門及び歳入徴収官等(以下「徴収部門」という。)は国の債権の管理等に関する法律(昭和31年法律第114号)等(以下「債権管理法等」という。)に基づいて、次の事務を行うこととしている(以下、これらを「債権管理事務」という。)。
〔1〕 契約部門は、借受人に貸付料の改定通知等を行った場合は遅滞なく、徴収部門に対して貸付料に係る債権発生通知を行う。
〔2〕 債権発生通知を受けた徴収部門では、債務者である借受人の住所及び氏名、債権金額等を調査、確認の上、債権管理簿にその内容を記載する。
〔3〕 徴収部門で貸付料を徴収しようとするときは、契約書等関係書類に基づいて、納付金額や借受人等について調査し、これが適正であると認めたときは、徴収の決定を行った上で、貸付料の額、納付期限等を明らかにした納入告知書を借受人に送付する(以下、これらを「調定等」という。)。
2 検査の結果
(検査の着眼点及び対象)
毎年、1万件を超える普通財産の貸付けにおいて、貸付料の改定及び権利付物納財産の引受けに伴う債権管理事務が適切に行われているかなどに着眼して北海道財務局ほか6財務(支)局等、函館財務事務所ほか13財務事務所及び立川出張所ほか4出張所(注2)について検査した。
(検査の結果)
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
北海道財務局ほか6財務(支)局等、函館財務事務所ほか10財務事務所及び立川出張所ほか2出張所(注3)において、継続貸付している土地等の貸付料の改定に際して借受人の合意が得られていないものについて、借受人の合意が得られるまでの間「改定未済事案」として、契約部門では借受人に対して貸付料の改定通知を行っておらず、債権管理法等に基づく徴収部門への債権発生通知を行っていなかった。
また、関東財務局ほか2財務局等、福島財務事務所ほか5財務事務所及び立川出張所ほか1出張所(注4)において、権利付物納財産を引き受けた後の土地等の貸付けの変更契約に際して、借受人の合意が得られていないものについて、借受人の合意が得られるまでの間「契約変更未了事案」として、契約部門では上記の改定未済事案と同様に徴収部門への債権発生通知を行っていなかった。
このため、本来の改定時期等から1年以上の間改定未済事案及び契約変更未了事案(以下、これらを併せて「改定未済事案等」という。)とされたものが、13年度末で612件、貸付料債権相当額10億2377万余円あり、このうち本来の履行期限から消滅時効の時効期間である5年を既に経過している事案が154件、貸付料債権相当額1億1863万余円となっていて、これらについては、適切な債権管理事務が行われていなかった。
これらの改定未済事案等を事由別に示すと次のとおりである。
(ア) 借受人が算定された貸付料に不満を持っているもの94件、貸付料債権相当額3億9020万余円(うち消滅時効の時効期間を既に経過しているもの33件、貸付料債権相当額5081万余円)
(イ) 借受人が死亡し、その相続人が未確定であるなど借受人の特定に問題のあるもの179件、貸付料債権相当額1億3575万余円(うち消滅時効の時効期間を既に経過しているもの52件、貸付料債権相当額2291万余円)
(ウ) 借受人が生活困窮であるなど借受人の事情に問題のあるもの92件、貸付料債権相当額8923万余円(うち消滅時効の時効期間を既に経過しているもの12件、貸付料債権相当額488万余円)
(エ) 境界が未確定であるなど貸付財産に問題のあるもの78件、貸付料債権相当額6328万余円(うち消滅時効の時効期間を既に経過しているもの39件、貸付料債権相当額2061万余円)
(オ) (ア)から(エ)以外のもの169件、貸付料債権相当額3億4530万余円(うち消滅時効の時効期間を既に経過しているもの18件、貸付料債権相当額1940万余円)
以上のような事態となっているのは、契約部門において、上記のとおり借受人が算定された貸付料に不満を持っている場合など、借受人の合意を得ないまま一方的に貸付料の改定等を通知し、納入告知書を送付すると借受人との信頼関係を損ない、今後の貸付料の改定等が困難となると考えて、借受人の合意を得た上で改定通知等と徴収部門への債権発生通知を同時に行う取扱いとしていたことによるものである。
しかし、国と借受人との間の賃貸借関係は継続しているのであるから、契約部門において、貸付料の改定等を借受人に通知するとともに、遅滞なく徴収部門に対して債権発生通知を行うなどして債権管理事務を行う要がある。
そして、改定通知等を行うことによって借受人と紛争が生じるおそれがあると認められる場合には、契約部門が徴収部門へ債権発生通知を行う際に借受人との間で必要となる交渉期間等についても併せて通知し、これを受けて徴収部門では一時調定等を留保し一方的に納入告知書を送付しないこととすることにより、その間契約部門において借受人との合意に向けた交渉を継続することが可能となると認められる。
したがって、借受人の合意が得られていない改定未済事案等については、契約部門が借受人へ貸付料の改定通知等を行うほか、遅滞なく徴収部門に対して債権発生通知を行うなどして債権管理事務を適切に行わなければならないのに、これが行われていない事態は適切とは認められない。
(発生原因)
このような事態が生じていたのは、主として契約部門において、貸付料の改定等に際し借受人の合意を得た上で改定通知等と徴収部門への債権発生通知を同時に行う取扱いとしていたことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、財務省では、14年11月に各財務局等に通達を発し、前記の改定未済事案等については、契約部門において速やかに債権発生通知を行うこととし、さらに、今後契約部門において貸付料の改定等を行う場合には、借受人に改定通知等を行うとともに、徴収部門へ債権発生通知を行うなど、貸付料の改定等に伴う債権管理事務を適切に行うこととする処置を講じた。