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  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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介護円滑導入臨時特例交付金が過大に交付されているもの


(63)(64) 介護円滑導入臨時特例交付金が過大に交付されているもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)厚生本省 (項)社会福祉諸費

部局等の名称 (1) 岩手県
(2) 山梨県
交付の根拠
予算補助

交付先
(保険者)
(1) 岩手県下閉伊郡川井村
(2) 山梨県北巨摩郡長坂町
交付金の概要
平成12年度の介護保険制度の導入に当たり、その円滑な実施を図ることを目的として、高齢者の保険料軽減措置による保険料収入の不足分に充てるなどのため、11年度限りの特例として交付するもの

上記に対する交付金交付額 (1) 58,055,000円
(2) 59,913,000円
  117,968,000円
不当と認める交付金交付額 (1) 6,352,000円
(2) 1,893,000円
  8,245,000円

1 交付金の概要

(介護円滑導入臨時特例交付金)

 介護円滑導入臨時特例交付金(以下「交付金」という。)は、市町村(特別区、広域連合及び一部事務組合を含む。以下同じ。)を保険者とする介護保険制度を平成12年度から導入するに当たり、その円滑な実施を図ることを目的として、65歳以上の者(以下「第1号被保険者」という。)の保険料(以下「第1号保険料」という。)について12年4月から9月までの半年間は徴収せず、また、同年10月から13年9月までの1年間は半額とする措置を執ることによる保険料収入の不足分を国が負担するなどのため、11年度限りの特例として交付するものである。

(交付金の交付額)

 交付金の交付額は、次の(ア)及び(イ)により算定された額などの合計額とすることとされている。
(ア) 保険料軽減分
 介護保険制度において、第1号保険料は、介護給付に要する額などの費用の見込額(以下「費用見込額」という。)から、国、都道府県及び市町村の負担金や国から交付される財政調整交付金(以下「調整交付金」という。)などの収入の見込額(以下「収入見込額」という。)を控除した額(以下「保険料収納必要額」という。)を賄うこととして、第1号被保険者の所得に応じて定めることとなっている。
 そのため、前記の保険料軽減措置による第1号保険料の収入の不足分に充てるものとして交付される額(以下「保険料軽減分」という。)は、12年4月から9月までの間の保険料収納必要額に相当する額と同年10月から13年9月までの間の保険料収納必要額の2分の1に相当する額の合計額とされている。
 そして、この保険料軽減分の交付額の算定に当たり、費用見込額は、市町村があらかじめ都道府県の意見を聴するなどした上で定めた介護保険事業計画(以下「事業計画」という。)による介護給付等の量の見込み等に基づいて算定することとなっている。また、収入見込額のうち調整交付金の額は、調整交付金が市町村間で第1号被保険者の所得の分布状況(以下「所得分布状況」という。)に格差があることにより生じる保険財政の不均衡を是正するなどのために交付されるものであることから、当該市町村における所得分布状況を全国の所得分布状況と比較し補正するための係数(以下「所得補正係数」という。)を算出し、これを用いるなどして算定することとなっている。
(イ) 特別加算分
 人口規模が小さいなどの事由により第1号保険料が高額となる市町村に対しては、上記の保険料軽減分に加えて、13年10月から15年3月までの1年6箇月間につき第1号保険料を軽減するための費用として、次の額(以下「特別加算分」という。)が交付される。
〔1〕 12年度から14年度までの各年度の第1号被保険者の見込数の平均が1,500人以下であるなどの要件に該当する市町村については、小規模市町村加算として、保険料収納必要額等を用いて算定した加算額
〔2〕 地域内に離島、振興山村等一定の地域を有する市町村については、離島等市町村加算として、所得補正係数等を用いて算定した加算額

2 検査の結果

 北海道ほか10府県の59市町村について検査した結果、岩手県ほか1県の2町村において、費用見込額を過大に算定したり、収入見込額のうちの調整交付金の額を過小に算定したりなどしていたため、交付金交付額計117,968,000円のうち計8,245,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、2町村において交付金の額の算定方法を十分理解していなかったこと、県において実績報告書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを県別・交付先別に示すと次のとおりである。

  県名 交付先(保険者) 交付金交付額 左のうち不当と認める額
      千円 千円
(63) 岩手県 下閉伊郡
川井村
58,055 6,352
 下閉伊郡川井村では、保険料軽減分及び特別加算分の額の算定に当たり、次のとおり費用見込額等の算定を誤っていた。
〔1〕 策定した事業計画ではなく、その策定の途中段階における資料により、費用見込額を過大に算定していた。
〔2〕 同村における所得分布状況を把握せず、全国の所得分布状況により所得補正係数を算出し、これにより調整交付金の額を過小に算出し、収入見込額を過小に算定していた。
 これらの結果、保険料収納必要額が過大に算出されたため、保険料軽減分の交付額及び特別加算分のうち小規模市町村加算の交付額が過大に算定されていた。また、離島等市町村加算についても、上記の所得補正係数を用いていたため交付額が過大に算定されていた。
 したがって、適正な交付金の交付額を算定すると、51,703,000円となり、6,352,000円が過大に交付されていた。
(64) 山梨県 北巨摩郡
長坂町
59,913 1,893
 北巨摩郡長坂町では、保険料軽減分の額の算定に当たり、同町における所得分布状況を把握せず、全国の所得分布状況により所得補正係数を算出し、これにより調整交付金の額を過小に算出し、収入見込額を過小に算定していた。
 この結果、保険料収納必要額が過大に算出されたため、保険料軽減分の交付額が過大に算定されていた。
 したがって、適正な交付金の交付額を算定すると58,020,000円となり、1,893,000円が過大に交付されていた。
(63)(64)の計 117,968 8,245