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  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

精神保健対策費補助金の経理において、補助対象事業費の精算が過大となっているもの


(106)−(110) 精神保健対策費補助金の経理において、補助対象事業費の精算が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)精神保健費
〔平成11年度以前は、(組織)厚生本省 (項)精神保健費〕
部局等の名称 青森県ほか4県
補助の根拠 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)
補助事業者 青森県ほか4県
間接補助事業者
(事業主体)
社会福祉法人3、医療法人2、計5事業主体
補助事業 精神障害者社会復帰施設運営事業
補助事業の概要 精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、精神障害者社会復帰施設を運営するもの
上記に対する国庫補助金交付額 217,671,102円 (平成10年度〜12年度)
不当と認める国庫補助金交付額 26,785,092円 (平成10年度〜12年度)

1 補助金の概要

 精神保健対策費補助金(精神障害者社会復帰施設運営事業分)は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)等に基づき、市町村、社会福祉法人等が行う精神障害者生活訓練施設、精神障害者地域生活支援センター等の精神障害者社会復帰施設の運営事業に対し、都道府県又は政令指定都市(以下「県等」という。)が補助する場合などにその補助に要する費用の一部として交付するものである。
 この補助金の補助対象経費は、上記の施設を運営するために必要となる職員の給料、職員手当などの人件費、委託費、需用費、備品購入費等で、その交付額は次のように算定することとなっている。
(ア) 所定の月額単価を用いるなどして算出される基準額と補助対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
(イ) (ア)により選定された額と県等が補助した額とを比較して少ない方の額を補助対象事業費とし、これに2分の1を乗じて得た額を交付額とする。
 なお、補助対象経費には、入所者の給食費等は含めないこととされている。

2 検査の結果

 北海道ほか22都府県及び横浜市ほか2市が補助した59事業主体について検査した結果、青森県ほか4県の5事業主体が実施した精神障害者社会復帰施設運営事業に係る補助対象事業費が過大に精算されていて国庫補助金26,785,092円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主体において補助制度の内容についての理解が十分でなかったこと、県において事業主体から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
これを県別に示すと次のとおりである。

  県名 事業主体
(所在地)
施設の種類 年度 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金
          千円 千円 千円 千円
(106) 青森県 社会福祉法人花
(弘前市)
精神障害者生活訓練施設、精神障害者地域生活支援センター 10〜12 156,093 78,046 20,471 10,235
 
 上記の社会福祉法人では、当該施設の運営事業に係る補助対象経費の実支出額の人件費等に、法人本部に係る経費を含めるなどしていたため、補助対象事業費が計20,471,841円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると計67,810,700円となり、交付額との差額計10,235,922円が過大となっていた。
 
(107) 奈良県 医療法人向聖台会
(北葛城郡當麻町)
精神障害者生活訓練施設 11、12 71,023 35,511 8,014 4,007
 
 上記の医療法人では、当該施設の運営事業に係る補助対象経費の実支出額の委託費等に、入所者の給食費を含めたり、顧問医の人件費を二重に計上したりなどしていたため、補助対象事業費が計8,014,402円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると計31,504,698円となり、交付額との差額計4,007,202円が過大となっていた。
 
(108) 岡山県 医療法人梁風会
(高梁市)
精神障害者生活訓練施設、精神障害者福祉ホーム 11、12 82,448 41,224 13,870 6,935
 
 上記の医療法人では、当該施設の運営事業に係る寄附金その他の収入額に、入所者から徴収していた食事代等の収入を計上していなかったため、補助対象事業費が計13,870,000円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると計34,289,000円となり、交付額との差額計6,935,000円が過大となっていた。
 
(109) 福岡県 社会福祉法人つつみ会
(遠賀郡岡垣町)
精神障害者入所授産施設 12 39,849 19,924 3,482 1,741
 
 上記の社会福祉法人では、当該施設の運営事業に係る総事業費のうちの備品購入費等に、実際には購入していない備品等の費用を含めていたため、補助対象事業費が3,482,000円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると18,183,500円となり、交付額との差額1,741,000円が過大となっていた。
 
(110) 長崎県 社会福祉法人共生会
(大村市)
精神障害者生活訓練施設、精神障害者地域生活支援センター 11、12 85,928 42,964 7,731 3,865
 上記の社会福祉法人では、当該施設の運営事業に係る補助対象経費の実支出額の需用費等に、入所者の給食費を含めるなどしていたため、補助対象事業費が計7,731,934円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると計39,098,112円となり、交付額との差額計3,865,968円が過大となっていた。
 
(106)-(110)の計 435,342 217,671 53,570 26,785