ページトップ
  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

介護保険の普通調整交付金の交付が不当と認められるもの


(111)−(128) 介護保険の普通調整交付金の交付が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)介護保険助成費
部局等の名称 厚生労働本省(交付決定庁)(平成13年1月5日以前は厚生本省)
青森県ほか9県(支出庁)
交付の根拠 介護保険法(平成9年法律第123号)
交付先 市7、町8、村2、一部事務組合1、計18市町村(保険者)
普通調整交付金の概要 65歳以上の者に占める75歳以上の者の割合等の市町村間における格差による介護保険の財政の不均衡を是正するため、市町村に交付するもの
上記に対する交付金交付額の合計 3,756,089,000円 (平成12年度)
不当と認める交付金交付額 177,906,000円 (平成12年度)

1 交付金の概要

(介護保険の財政調整交付金)

 介護保険は、介護保険法(平成9年法律第123号)に基づき、市町村(特別区、一部事務組合及び広域連合を含む。以下同じ。)が保険者となって、市町村の区域内に住所を有する65歳以上の高齢者(以下「第1号被保険者」という。)等を被保険者として、加齢による疾病等の要介護状態などに関し、保健医療サービス及び福祉サービスの給付を行う保険である。
 介護保険については各種の国庫助成が行われており、その一つとして、財政調整交付金が交付されている。財政調整交付金は、市町村が行う介護保険財政が安定的に運営され、もって介護保険制度の円滑な施行に資することを目的として、各市町村における介護給付等に要する費用の総額の5%に相当する額を国が負担し、それを各市町村に交付するもので、普通調整交付金と特別調整交付金とがある。

(普通調整交付金の概要)

 普通調整交付金(以下「交付金」という。)は、市町村における第1号被保険者の総数に占める75歳以上の者の割合及び市町村における所得段階の区分ごとの第1号被保険者の分布状況が、市町村間で格差があることによって生じる介護保険の財政の不均衡を是正するために交付するものである。

(交付金の算定方法)

 交付金の交付額は、次により算定することとなっている。

交付金の交付額は、次により算定することとなっている。
(注)
調整率 当該年度に交付する普通調整交付金の総額と市町村ごとに算定した普通調整交付金の総額とかい離を調整する割合。

 上記のうち、調整基準標準給付費額は、居宅介護サービス費の支給等の介護給付及び居宅支援サービス費の支給等の予防給付に要する費用(以下「介護給付費等」という。)の前年度の1月から当該年度の12月までの合算額とされている。ただし、平成12年度の調整基準標準給付費額は、12年4月から同年12月までの介護給付費等の合算額に8分の11を乗じて得た額とされている。

(交付手続)

 交付金の交付手続については、〔1〕交付を受けようとする市町村は都道府県に交付申請書を提出し、〔2〕これを受理した都道府県は、その内容を審査の上、厚生労働省に提出し、〔3〕厚生労働省はこれに基づき交付決定を行い交付金を交付することとなっている。
 そして、〔4〕当該年度の終了後に、市町村は都道府県に実績報告書を提出し、〔5〕これを受理した都道府県は、その内容を審査の上、厚生労働省に提出し、〔6〕厚生労働省はこれに基づき交付額の確定を行うこととなっている。

2 検査の結果

 北海道ほか23都府県の167市町村において、12年度に交付された交付金について検査したところ、青森県ほか9県の三沢市ほか17市町村において、12年4月から同年12月までの介護給付費等の合算額の算出に当たり、13年分の介護給付費等を含めたり、介護給付費等を二重に計上したりなどしていたため、調整基準標準給付費額が過大に算定されていた。
 この結果、交付金交付額計3,756,089,000円のうち計177,906,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
 上記の事態について一例を示すと次のとおりである。

<事例>

 浜松市では、調整基準標準給付費額の算出に当たり、平成12年4月から12月までの介護給付費等の合算額に、誤って13年1月分の介護給付費等の額及び13年2月分の介護給付費等の見込額を含めるなどしていた。このため、調整基準標準給付費額が過大に算定されていた。
 したがって、適正な調整基準標準給付費額に基づいて交付金の交付額を算定すると、530,889,000円となり、110,378,000円が過大に交付されていた。
 このような事態が生じていたのは、市町村において、制度を十分に理解していなかったこと、県において、実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを県別・交付先(保険者)別に示すと次のとおりである。

  県名 交付先
(保険者)
年度 交付金交付額 左のうち不当と認める額
        千円 千円
(111) 青森県 三沢市 12 43,297 1,161
(112) 岩手県 二戸地区広域行政事務組合 12 171,818 8,158
(113) 栃木県 足利市 12 205,148 2,013
(114)  同 下都賀郡
藤岡町
12 20,902 1,049
(115) 千葉県 山武郡
横芝町
12 27,852 8,840
(116) 静岡県 浜松市 12 641,267 110,378
(117)  同 田方郡
戸田村
12 9,255 1,164
(118)  同 田方郡
函南町
12 21,710 2,615
(119)  同 志太郡
大井川町
12 22,214 2,299
(120) 兵庫県 神戸市 12 1,633,742 3,930
(121) 徳島県 麻植郡
鴨島町
12 80,479 6,260
(122) 長崎県 平戸市 12 88,754 5,546
(123) 宮崎県 宮崎市 12 505,892 7,716
(124)  同 北諸県郡
三股町
12 60,299 1,900
(125)  同 北諸県郡
山之口町
12 30,360 1,846
(126)  同 東臼杵郡
北浦町
12 21,901 1,149
(127)  同 東臼杵郡
椎葉村
12 16,628 1,108
(128) 鹿児島県 大口市 12 154,571 10,774
  (111)-(128) の計     3,756,089 177,906