平成13年度
第3章 個別の検査結果
第1節 省庁別の検査結果
第11 国土交通省
不当事項
補助金(229)−(238)
1 補助金の概要
国土交通省(平成13年1月5日以前は、北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省)所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省では、この事業に要する費用について、事業主体に対して補助金を交付している。
2 検査の結果
47都道府県及びその管内の市町村等を検査した結果、3県及び6県管内の7市町村等計10事業主体が実施した流域関連公共下水道事業、河川局部改良事業等の10事業に係る国庫補助金50,388,579円が不当と認められる。
これを不当の態様別に示すと次のとおりである。
| 〔1〕 工事費の積算が過大となっているもの | ||
| 3事業 | 不当と認める国庫補助金 | 12,241,505円 |
| 〔2〕 補助金の交付額の算定が適切でないもの | ||
| 3事業 | 不当と認める国庫補助金 | 11,985,000円 |
| 〔3〕 工事の設計が適切でないもの | ||
| 2事業 | 不当と認める国庫補助金 | 11,014,074円 |
| 〔4〕 補助の対象とならないもの | ||
| 1事業 | 不当と認める国庫補助金 | 10,000,000円 |
| 〔5〕 工事の施工が設計と相違しているもの | ||
| 1事業 | 不当と認める国庫補助金 | 5,148,000円 |
また、これを個別に示すと次のとおりである。
(229) 公営住宅家賃対策補助金の経理において、近傍住宅家賃の算定等を誤ったため、補助金が過大に交付されているもの
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1 補助金の概要
公営住宅家賃対策補助金(以下「補助金」という。)は、公営住宅法(昭和26年法律第193号)に基づき、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸する公営住宅を管理している地方公共団体に対して、家賃に係る補助を行うために交付するものである。その交付額は、次のとおり補助基本額を算定し、これに2分の1を乗じるなどして算定することとなっている。

| (注) | 「近傍同種の住宅の複成価格」とは、近傍同種の住宅の推定再建築費から経過年数に応じた減価額を除いた額 |
そして、近傍同種の住宅の家賃の額(以下「近傍住宅家賃」という。)の構成要素の一つである公課(固定資産税及び都市計画税。以下同じ。)の額のうち、建物に係る公課については、当該公営住宅の固定資産税評価額を用いることができない場合は、当該公営住宅の複成価格に0.6を乗じた額に所定の税率を乗じて算定することとなっている。
栃木県日光市では、平成10年度から12年度までに建設した公営住宅(1団地2棟48戸。いずれも中層耐火構造)の家賃に係る補助金として、11年度から13年度までに計23,638,000円の交付を受けている。
2 検査の結果
検査したところ、同市では、近傍住宅家賃の算定に当たり、建物に係る公課については、前記の複成価格を用いる方法により算定していた。そして、その際、当該公営住宅の複成価格に0.6を乗じるべきところを誤って1.1を乗じて固定資産税評価相当額を算出していたため、建物に係る公課を過大に算定していた。また、入居者負担基準額についても誤って過小に算定していた。
これらのため、近傍住宅家賃が過大に算定されるなどしていて、補助基本額が過大に算定されていた。
このような事態が生じていたのは、同市において補助基本額の算定方法についての理解が十分でなかったこと、補助金交付申請書の受理、審査を行う栃木県の審査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、これにより11年度から13年度までの適正な補助金額を算定すると20,913,000円となり、交付額との差額2,725,000円が過大となっていて、不当と認められる。
(230) 河川局部改良事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、新潟県が、河川局部改良事業の一環として、南魚沼郡六日町大字大月下大月地区において、一級河川山王川に架かる県道大月六日町線の橋りょうを新橋(橋長17.2m、幅員12.0m)に架け替えるため、平成12年度から14年度までの間に、橋台2基、護岸等の築造及びプレストレストコンクリート桁(以下「PC桁」という。)の製作・架設を工事費153,967,800円(うち国庫補助対象額83,314,165円、国庫補助金27,771,387円)で実施したものである。
このうち、左岸側及び右岸側の両橋台は鉄筋コンクリート構造の逆T式橋台となっている(参考図参照)。
そして、橋台のかかと版の上面側に配置する主鉄筋については、配筋図によると、両橋台とも径16mmの鉄筋を25cm間隔で配置することとなっており、これにより施工していた。
2 検査の結果
検査したところ、橋台のかかと版の設計が、次のとおり適切でなかった。
本件橋台の設計の基礎となっている設計計算書では、橋台の設計計算を「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編)等に基づき行っている。これによると、かかと版の上面側に配置する主鉄筋について、次のとおり配置すれば、常時(注1)、地震時とも、主鉄筋に生じる引張応力度(注2)が許容引張応力度(注2)を下回ること、また、かかと版の鉄筋量が最小鉄筋量(注3)を上回ることから、応力計算上安全であるとしていた。
(ア) 左岸側橋台については、径19mmの鉄筋を25cm間隔で配置する。
(イ) 右岸側橋台については、径22mmの鉄筋を25cm間隔で配置する。
しかし、配筋図を作成する際、かかと版の主鉄筋について、設計計算どおりの径とすべきところを、誤って前記のとおり径16mmとしていた。
そこで、両橋台について改めて応力計算を行うと、次のような結果となり、両橋台は応力計算上安全な範囲を超えている。
(ア) 左岸側橋台のかかと版の主鉄筋に生じる引張応力度は、地震時で371.10N/mm2となり許容引張応力度300N/mm2を大幅に上回っている。
(イ) 右岸側橋台のかかと版の主鉄筋に生じる引張応力度は、常時では225.51N/mm2、地震時では475.27N/mm2となりそれぞれの許容引張応力度160N/mm2及び300N/mm2をいずれも大幅に上回っている。また、その鉄筋量は7.944cm2/mとなり、地震時に必要とされる最小鉄筋量12.195cm2/mを大幅に下回っている。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件橋りょうは、橋台の設計が適切でなかったため、左岸側橋台及び右岸側橋台並びにこれに架設されたPC桁等(これらの工事費相当額76,766,745円、うち国庫補助対象額22,617,230円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額7,539,074円が不当と認められる。
(231) 特定優良賃貸住宅等家賃対策補助金の経理において、入居者負担基準額の算定等を誤ったため、補助金が過大に交付されているもの
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1 補助金の概要
特定優良賃貸住宅等家賃対策補助金は、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年法律第52号)に基づき、中堅所得者等の居住の用に供する居住環境が良好な賃貸住宅(以下「特定優良賃貸住宅等」という。)の入居者の居住の安定を図るため、その家賃の減額に要する費用の一部を地方公共団体が特定優良賃貸住宅等の管理者に補助する場合などに、当該地方公共団体に交付するものである。その交付額は、都道府県知事の認定を受けるなどした特定優良賃貸住宅等の家賃(以下「認定家賃」という。)と、入居者が実際に負担する額(以下「減額後家賃」という。)又は入居者の所得等を勘案して所定の方法により算定される額(以下「入居者負担基準額」という。)のいずれか高い方との差額(参考図参照)に、当該特定優良賃貸住宅等の管理月数を乗じて補助基準額を算定し、これに補助率を乗じるなどして算定することとされている。
上記の入居者負担基準額は、入居者の所得に応じた区分(以下「所得区分」という。)により定められた金額に住宅の規模に応じた係数を乗じるなどして算定することとされている。ただし、所得の増加により上位の所得区分に移行した入居者(以下「移行入居者」という。)に係る入居者負担基準額は、移行が生じた日から3年間は、経過措置として、毎年、次のように算定することとされている。

山梨県では、平成10年度から13年度までの特定優良賃貸住宅等の入居者(10年度303戸、11年度313戸、12年度337戸、13年度333戸)に係る国庫補助金計131,747,000円の交付を受けていた。
2 検査の結果
検査したところ、同県では、補助基準額の算定に当たり、移行後の入居者負担基準額が認定家賃を上回ることとなる移行入居者(10年度21戸、11年度38戸、12年度45戸、13年度48戸)に係る入居者負担基準額について、誤って、認定家賃と移行前の入居者負担基準額との差額の4分の1に経過年数を乗じるなどして算定していた。このため、移行入居者に係る入居者負担基準額が過小に算定され、その結果、補助基準額が過大に算定されていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、入居者負担基準額の算定方法についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、適正な移行入居者に係る入居者負担基準額によるなどして10年度から13年度までの国庫補助金額を算定すると126,959,000円となり、交付額との差額4,788,000円が過大となっていて、不当と認められる。

| (注) | 補助基準月額 認定家賃と減額後家賃又は入居者負担基準額のいずれか高い方との差額 |
(232) 公営住宅整備事業費補助金の交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、鳥取県鳥取市が、公営住宅法(昭和26年法律第193号)に基づき、平成11、12両年度に、市営湖山団地の公営住宅24戸(中層耐火構造4階建て1棟)の建設を、事業費508,805,250円(国庫補助基本額479,980,000円)、国庫補助金239,990,000円で実施したものである。
補助金の額は、国土交通大臣(13年1月5日以前は建設大臣)が公営住宅の構造別、地区別等の区分ごとに毎年度定める1戸当たりの主体工事費及び附帯工事費(以下「1戸当たり工事費」という。)に建設戸数を乗じて主体工事費及び附帯工事費(以下「主体附帯工事費」という。)を算定するなどして国庫補助基本額を算定し、これに補助率を乗じて算定することとされている。そして、上記区分のうち構造別区分については、中層・高層、耐火構造・準耐火構造、地上階数等に応じて区分されている。
同市では、同団地の主体附帯工事費を331,440,000円と算定していた。
2 検査の結果
検査したところ、同市では、主体附帯工事費の算定に当たり、同団地の住戸の間取りが階により異なることから、1、2階部分(2LDK12戸)と3、4階部分(3DK12戸)とに分けた上、3、4階部分については、1戸当たり工事費として中層耐火構造地上階数3階建ての区分に相当する14,130,000円を適用し、これにその部分の建設戸数を乗じるなどしていた。
しかし、前記の構造別区分によれば、中層耐火構造4階建てである同団地の場合は、中層耐火構造地上階数4〜5階建ての区分に該当することとなり、その1戸当たり工事費である13,440,000円に全体の建設戸数24戸を乗じて主体附帯工事費を算定すべきであった。
そこで、本件主体附帯工事費を適正に算定すると322,560,000円となる。
このような事態が生じていたのは、同市において、1戸当たり工事費の適用を誤ったことなど、また、補助金交付申請書の受理、審査を行う鳥取県の審査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、これにより適正な補助金額を算定すると235,518,000円となり、国庫補助金4,472,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
(233) 通常砂防事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、床固本体の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、島根県が、通常砂防事業の一環として、隠岐郡西ノ島町大字美田地内の普通河川スワダ川において、洪水時に発生する土石流が下流域に流出するのを防ぐなどのため、平成12年度に、床固工、砂防林植栽工等を工事費32,650,800円(国庫補助金16,325,400円)で実施したものである。
このうち床固工は、床固本体、水叩き、側壁等を築造するもので、砂防指定地(注)の最下流に設置し、砂防林植栽工と組み合わせることによって、洪水時に発生する土石流を減勢させるとともに、土砂の堆積等を促し貯留しようとするものである(参考図参照)。
床固本体の設計に当たっては、「建設省河川砂防技術基準(案)同解説」(社団法人日本河川協会編。以下「技術基準」という。)等に基づき同県が制定した「砂防事業設計指針」(以下「県指針」という。)によることとしている。同県では、県指針において流路工の一部として整備する床固本体(以下「流路工内床固本体」という。)について、その断面の基準値を定めた標準図を示しており、この標準図を適用して設計する場合は、安定計算を省略することとしている。
そして、本件床固本体について、河川の流水を円滑に流下させる必要があることなどから、現況河川の河床面の高さに合わせて床固本体中央に箱状の開口部を設けることとした上で、この標準図を適用して設計すれば安全であるとして、これにより施工していた。
2 検査の結果
検査したところ、床固本体の設計が次のとおり適切でなかった。
(1) 本件床固本体は、前記のとおり、砂防林植栽工と組み合わせて土砂を貯留するものであり、渓岸崩壊防止のための護岸工と組み合わせて整備される流路工内床固本体ではないのに、安定計算を行うことなく県指針による標準図をそのまま適用していた(参考図参照)。
そこで、本件床固本体について、安全度を確認するため、技術基準等に基づき安定計算を行うと、次のとおりとなる。
ア 転倒に対する安定については、水平荷重及び鉛直荷重の合力の作用位置が床固本体の底版の外にある計算となり、転倒に対して安全である範囲、すなわち底版幅の中央3分の1の範囲から大幅に逸脱している。
イ 滑動に対する安定については、その安全率が0.53となっていて、許容値である1.2を大幅に下回っている。
ウ 基礎地盤の支持力に対する安定については、上記アの計算結果から、床固本体の荷重を底版のつま先部の地盤のみで支持することとなるため、地盤反力度が地盤の許容支持力を著しく上回る結果となっている。
(2) 本件床固本体は、無筋コンクリート構造物であるのに、この本体中央に箱状の開口部を設けたため、開口部の上部が無筋の梁状態(長さ5m、断面の高さ1m、断面の幅0.86〜1.06m)となっており、実地検査時(14年5月)、梁状となった箇所においてほぼ全周にわたってき裂が生じている状況であった。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件床固本体(工事費相当額6,950,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額3,475,000円が不当と認められる。
| (注) | 砂防指定地 砂防法(明治30年法律第29号)に基づき、砂防設備を要する土地又は治水上砂防のため一定の行為を禁止若しくは制限する土地として主務大臣が指定した土地 |

(234) 流域関連公共下水道事業の実施に当たり、水路工の材料費等の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、島根県八束郡玉湯町が、玉湯町流域関連公共下水道事業の一環として、同町湯町地内において雨水を宍道湖に放流するため、平成11、12両年度に、水路(幅3.2mから3.5m、長さ243.3m)の築造を工事費57,750,000円(国庫補助金28,875,000円)で実施したものである。
上記の水路は、L型のコンクリート部材(高さ1.25m及び1.645m、長さ1.0mから2.0m。以下「L型部材」という。)を左右に配置して側壁とし、その間に底版コンクリートを打設してU型の水路を築造したものである(参考図参照)。
本件工事費のうち水路工費の積算についてみると、L型部材は設置箇所により寸法が異なるため、部材の規格ごとに徴した見積単価に所要数量を乗じて材料費を算定し、これに労務費を加えるなどして水路工1m当たりの施工単価を103,279円から301,060円と算定していた。そして、これにそれぞれの施工延長を乗じるなどして水路工費を27,412,098円と積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、水路工費の積算が次のとおり適切でなかった。
すなわち、同町では、L型部材の見積単価は2個の部材を左右両側に配置する1対(2個)の単価として徴していたのに、これを1個の単価と誤認して所要数量に乗じて材料費を算定していた。このため、L型部材の材料費が2倍に算出されていた。
そこで、その他の材料費等の誤りも修正して、水路工1m当たりの適正な施工単価を算定すると65,200円から259,330円となる。これにそれぞれの施工延長を乗じるなどして水路工費を修正計算すると、17,822,381円となり、9,589,717円が過大に積算されていた。
このような事態が生じていたのは、同町において、水路工費の積算に当たり、L型部材の単価に対する理解及び積算に対する審査が十分でなかったことによると認められる。
上記により本件工事費を修正計算すると、その他の積算過大となっていた仮設道路路面工費等1,656,074円及び積算過小となっていた残土処理工費等2,133,346円を考慮しても、諸経費等を含めた工事費総額は49,021,350円となり、本件工事費はこれに比べて約8,728,000円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額4,364,000円が不当と認められる。

(235) 流域関連公共下水道事業の実施に当たり、施工が設計と相違していたため、通水管の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、広島県三原市が、流域関連公共下水道事業の一環として、同市沼田東町地区の郷中川に下水道の水管橋(内径40cm、支間長10.15m)を新設するため、平成13年度に橋台2基の築造及びステンレス鋼製の通水管の製作、据付等を工事費24,878,700円(国庫補助金12,439,350円)で実施したものである。
このうち、通水管は、「水管橋設計基準」(日本水道鋼管協会制定。以下「設計基準」という。)に基づき、温度変化による伸縮に対応できるよう設計を行っている。
この設計計算書によると、通水管本体にはステンレス鋼を使用し、また、通水管の両端部を左右橋台のく体コンクリートで支持することから、管体内部に温度変化による応力が発生して管体が破損するのを防止するため、温度変化による最大伸縮量1.25cmに対応可能な伸縮可とう管を取り付ければ、構造上安全であるとしていた。
そして、設計図書等によると、ステンレス鋼製の伸縮可とう管は、右岸側橋台のく体コンクリート内に設置することから、防護カバーを取り付けた後に、く体コンクリートを施工することとしていた(参考図参照)。
2 検査の結果
検査したところ、通水管の施工が次のとおり適切でなかった。
すなわち、伸縮可とう管の外周部には防護カバーを取り付けることとしているのに、これを取り付けないまま橋台のく体コンクリートが施工されていた。その結果、伸縮可とう管はく体コンクリートと一体化していて伸縮できなくなっており、伸縮可とう管としての機能を果たしていない状態となっていた。
そこで、両端が固定された状態で通水管の温度が上昇した場合に、管体内部に発生する軸方向圧縮応力度(注)を設計基準により算定すると178.8N/mm2となり、許容軸方向圧縮応力度(注)116N/mm2を大幅に上回ることとなる。
このような事態が生じていたのは、通水管の施工が設計と相違していたのに、これに対する同市の監督及び検査が適切でなかったことによると認められる。
したがって、本件水管橋の通水管(工事費相当額10,296,000円)は、施工が設計と相違していて、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額5,148,000円が不当と認められる。
| (注) | 軸方向圧縮応力度・許容軸方向圧縮応力度 「軸方向圧縮応力度」とは、材の軸方向に圧縮力がかかったとき、材の内部に生じる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容軸方向圧縮応力度」という。 |

(236) 離島港湾事業の実施に当たり、コンクリートブロックの海上運搬・仮置工費等の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの
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1 捕助事業の概要
この補助事業は、鹿児島県大島郡瀬戸内町が、加計呂麻港における港湾改修事業の一環として防波堤を築造するため、平成12年度に、コンクリートブロック27個(1個当たり重量18.95tから28.47t)の製作、海上運搬及び加計呂麻港内の海上への仮置きを工事費18,193,000円(国庫補助金16,373,700円)で実施したものである。
上記工事費のうち、海上運搬・仮置工費については、鹿児島県制定の「土木工事標準歩掛」、「土木工事設計単価表」及び「建設機械等損料算定表」等(以下、これらを「設計単価表等」という。)に基づき、ブロックの製作現場のある篠川港から仮置現場のある加計呂麻港までの運搬を特記仕様書で指定して、クレーン付台船等の機械損料、労務費等の合計額からブロック1個当たりの単価を算出し、これにブロックの個数を乗じて3,328,468円と積算していた。また、ブロックの製作費については、設計単価表等に基づき、材料費、鋼製型枠の損料等の合計額から1個当たりの単価を算出し、これにブロックの個数を乗じて7,759,117円と積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、ブロックの海上運搬・仮置工費等の積算が次のとおり適切でなかった。
すなわち、海上運搬・仮置工費は前記両港間の片道の海上運搬距離12.5kmによって積算すべきであるのに、誤って、往復の25kmとしたため、海上運搬距離が2倍となっていた。さらに、請負人より同町に、製作現場を篠川港から古仁屋港に変更する旨の報告があり、この変更により、海上運搬距離が7kmと短縮されるのに、同町では、工事途中において契約変更を行わず、当初契約どおりに施工されたものとして処理していた。
また、本件工事の積算に当たり適用する設計単価表等については、労務単価が一部減額されるなどの改定が行われていたにもかかわらず、誤って改定前の設計単価表等により積算をしていた。
したがって、正しい海上運搬距離、設計単価表等を適用することなどにより積算すると、ブロックの海上運搬・仮置工費は1,800,816円、ブロック製作費は7,010,794円となり、また、製作現場の変更に伴いクレーン付台船の回航費572,199円が不要となることから、差し引き3,040,489円が過大に積算されていた。
このような事態が生じていたのは、同町において、契約変更等に対する発注者としての認識が十分でなかったこと及び設計単価表等の適用に対する配慮が十分でなかったことなどによると認められる。
上記により工事費を修正計算すると、諸経費を含めた工事費総額は14,220,487円となり、本件工事費はこれに比べて3,972,000円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額3,574,800円が不当と認められる。
(237) 道路災害復旧事業の実施に当たり、現場吹付法枠工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、鹿児島県大島郡大和村が、平成10年6月の豪雨により被災した村道湯湾釜国直線を復旧する道路災害復旧事業の一環として、同村国直地内において、道路延長42mにわたって崩落した山側法面を復旧するため、11年度に土工及び法面工を工事費65,625,000円(国庫補助金64,246,875円)で実施したものである。
このうち法面工は、垂直高が最高39.3mの切土法面の崩落した箇所を整形した後に、法面の安定を図るため現場吹付法枠工及び厚層基材吹付工などを2,177m2施工するものである。
そして、現場吹付法枠工は、法面の形状に合わせて変形可能な金網でできた型枠を格子状に設置(縦横各2m間隔)してアンカーで固定し、この型枠の内部にモルタルを吹き付けて法枠(枠断面200mm×200mm)を築造するものである(参考図参照)。
同村では、現場吹付法枠工費の積算に当たり、鹿児島県制定の土木工事標準歩掛(以下「標準歩掛」という。)及び土木工事設計単価表(以下「単価表」という。)により、法枠1m当たりの単価に法面の垂直高が高いことによる補正係数(以下、単に「補正係数」という。)を乗じて得た金額を1m2当たりに換算して施工単価を11,086円と算出していた。そして、この1m2当たりの施工単価に施工面積を乗じて24,134,222円と積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、現場吹付法枠工費の積算が、次のとおり適切でなかった。
現場吹付法枠工費の施工単価については、標準歩掛によれば、法面の垂直高が30m以下の場合には単価表に定める単価をそのまま用いることとし、30mを超える場合には作業効率が低下することなどから、その超える部分について当該単価に補正係数を乗じることとされている。
しかし、同村では、前記のとおり垂直高が30m以下の部分も含めた全施工面積について当該単価に補正係数を乗じて得た金額から算出された施工単価を用いていて、現場吹付法枠工費を過大に積算していた。
したがって、法面の垂直高が30m以下の施工面積(1,814m2)に単価表に定める単価から算出した1m2当たりの施工単価8,528円を、30mを超える部分の施工面積(362m2)に補正係数を乗じて算出した施工単価11,086円をそれぞれ乗じると、本件現場吹付法枠工費は19,482,924円となり、4,651,298円が過大に積算されていた。
このような事態が生じていたのは、同村において、標準歩掛で示されている補正係数の適用の範囲についての理解及び積算内容に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
上記により、本件工事費を修正計算すると、積算過小となっていた厚層基材吹付工費等866,000円を考慮するなどしても、諸経費等を含めた工事費総額は61,230,000円となる。その結果、本件工事費はこれに比べて4,395,000円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額4,302,705円が不当と認められる。

(238) 衛星を利用したタクシーの運行管理・配車システム整備事業の実施に当たり、システム機器をリース契約により借り受けていたため、補助の対象とならないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、都市交通の安全・円滑化に資するため、衛星を利用したタクシーの運行管理・配車システム機器(以下「システム機器」という。)を整備するもので、国土交通省(平成13年1月5日以前は運輸省)では、システム機器を購入する無線共同配車センター等に対し、購入に要する経費の一部として、自動車事故対策費補助金を交付している。
そして、西鉄タクシー共同無線配車センター(福岡県久留米市)では、12年度に、システム機器を47,770,000円で購入したとして、これに対する国庫補助金10,000,000円の交付を受けていた。
2 検査の結果
検査したところ、事業主体では、上記のシステム機器を購入したとする請求書を添付した実績報告書を国土交通省に提出し、国庫補助金の額の確定を受けていたが、実際は、システム機器を購入しておらず、リース会社からリース契約(期間60箇月)により借り受けていたため、本件事業は補助の対象とならないものであった。
このような事態が生じていたのは、事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、国土交通省において事業主体から提出された実績報告書の調査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件事業に対して交付された国庫補助金10,000,000円は交付の要がなかったもので、不当と認められる。