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  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第5 農畜産業振興事業団|
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  • 補助金

BSEスクリーニング検査円滑化対策事業に係る助成金の交付が不当と認められるもの


(242) BSEスクリーニング検査円滑化対策事業に係る助成金の交付が不当と認められるもの

科目 (畜産助成勘定) (項)畜産助成事業費
部局等の名称 農畜産業振興事業団
補助の根拠 農畜産業振興事業団法(平成8年法律第53号)
事業主体 全国農業協同組合連合会ほか3団体
助成事業 BSEスクリーニング検査円滑化対策
事業の概要 BSE検査の円滑化を図り、早期にと畜体制を正常化するため、平成13年度に肥育牛等の出荷を繰り延べる生産者に助成金を交付するもの
助成金交付額 946,226,000円
上記に対する事業団の補助金交付額 946,226,000円
不当と認める助成金交付額 5,268,000円
不当と認める事業団の補助金交付額 5,268,000円

1 事業の概要

 農畜産業振興事業団(以下「事業団」という。)では、平成13年9月10日に発生が確認された牛海綿状脳症(以下「BSE」という。)の関連対策の一環として、全国農業協同組合連合会ほか4団体(注1) (以下「全国連等」という。)が事業主体となって実施しているBSEスクリーニング検査円滑化対策事業(以下「円滑化事業」という。)に対して13年度に補助金957,844,911円を交付している。
 この円滑化事業は、と畜場に出荷されたすべての牛についてBSEスクリーニング検査(以下「BSE検査」という。)が13年10月18日以降実施されることとなったため、農林水産省が定めたBSEスクリーニング検査円滑化対策事業実施要領(平成13年13生畜第4254号農林水産省生産局長通知。以下「実施要領」という。)に基づき、BSE検査の円滑化を図り、早期にと畜体制を正常化することを目的として実施されるものである。
 すなわち、と畜場においては、同日以降、BSE検査開始前に予定されていた出荷が繰り延べられることにより出荷される牛が通常よりも多くなる一方、BSE検査に不慣れなためにと畜能力が低下し、混乱の生じるおそれが見込まれたことから、肥育牛等の出荷を繰り延べる生産者に助成金を交付し、食肉流通の円滑化を図ることとしている。
 また、助成金の対象となる牛は、実施要領において、生産者が同年10月18日から11月30日までの間にと畜場への出荷を予定していた肥育牛等であって、出荷予定日より1月以上繰り延べられ、かつ、14年3月31日までに出荷されたものなどとされている。
 そして、全国連等は、13年度に肥育牛等53,351頭を対象に生産者6,792人に対して946,226,000円の助成金を交付している。
 一方、事業団では、BSE関連対策の一環として、円滑化事業に先立ち、全国連等が実施するBSEスクリーニング検査受検促進緊急対策事業(以下「受検促進事業」という。)に対しても補助金を交付している。この事業は、BSE検査開始前に出荷時期を迎える肥育牛等について、BSE検査を受検するために出荷を繰り延べる生産者を支援するもので、13年10月17日以前となっていた出荷予定日を繰り延べ、10月18日から14年3月31日までの間にと畜場へ出荷等された肥育牛等を対象として、その生産者に対し助成金を交付するものである。
 このようにBSE検査に係る出荷の繰延べに関しては、円滑化事業と受検促進事業とが実施されているが、前記のとおり円滑化事業は10月18日から11月30日までの間に出荷が予定されていた肥育牛等を対象としており、他方、受検促進事業は10月17日以前に出荷が予定されていた肥育牛等を対象とするものである。したがって、同一の牛について、円滑化事業による助成金と受検促進事業による助成金が重複して交付されることはなく、実施要領においても、受検促進事業による助成金の対象とされた肥育牛等については、円滑化事業による助成金の対象にならないことが明記されている。
 なお、円滑化事業及び受検促進事業の実施に当たっては、全国連等から農業協同組合等(以下「農協等」という。)へ、事業の一部が委託されている。

2 検査の結果

 円滑化事業又は受検促進事業による助成金の交付を受けようとする生産者は、全国連等から両事業に関する事業の一部を委託されている農協等に、対象となる肥育牛等の個体識別番号等を記載した事業実施計画書等を提出することとなっている。そして、円滑化事業等の対象となった肥育牛等の個体識別番号等については、事業団においてコンピュータにより管理されている。
 そこで、各々の事業の交付対象となった肥育牛等に係る個体識別番号等を突合して検査したところ、円滑化事業の対象とされた肥育牛等53,351頭(生産者6,792人)のうち、全国農業協同組合連合会ほか3団体(注2) が71農協等に委託して交付した助成金の対象となっていた肥育牛等264頭(生産者105人)が受検促進事業において助成金の対象となっていた。
 このような事態が生じていたのは、上記の71農協等において生産者に対し交付要件の周知徹底を図らなかったこと及び交付要件の確認が十分でなかったこと、上記の全国農業協同組合連合会ほか3団体において農協等に対する指導が十分でなかったこと並びに事業団において全国連等に対する指導が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、これらの264頭について交付された助成金5,268,000円(事業団の補助金相当額 同額)は、円滑化事業の対象とならないものに交付されたものであって、不当と認められる。

(注1) 全国農業協同組合連合会ほか4団体 全国農業協同組合連合会、全国開拓農業協同組合連合会、全国畜産農業協同組合連合会、全国酪農業協同組合連合会、社団法人全日本畜産経営安定基金協会
(注2) 全国農業協同組合連合会ほか3団体 全国農業協同組合連合会、全国開拓農業協同組合連合会、全国畜産農業協同組合連合会、社団法人全日本畜産経営安定基金協会