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  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第37 西日本旅客鉄道株式会社|
  • 平成12年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

鉄道事業用地等の第三者占有について


 鉄道事業用地等の第三者占有について

(平成12年度決算検査報告参照)

1 本院が表示した改善の意見

(検査結果の概要)

 西日本旅客鉄道株式会社では、昭和62年4月に、旧日本国有鉄道から鉄道事業用地、関連事業用地等の土地(以下「鉄道事業用地等」という。)を承継している。これらの土地は、線路、駅等の用地であって、同会社の重要な経営資源となっているが、その一部には、第三者が正規の手続を経ずに住居用敷地、材料置場、耕作地、通路等として占有しているもの(以下「第三者占有地」という。)があり、土地を適切に管理していく上で支障となっている。
 そこで、第三者占有地の解消のための処理が適切に行われているかなどについて検査したところ、解消のための処理計画や、売却、使用貸借等の方途が十分に検討されていないなどの事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、主として次のようなことによると認められた。
(ア) 占有されている土地が事業上必要であれば建物等の撤去及び土地の明渡し(以下「撤去」という。)、不必要であれば売却又は撤去としているが、この処理方針を決めるための前提となる土地の必要性を判断する具体的な基準がないこと
(イ) 第三者占有地の処理に当たっては資産価値の高いものなどから順次行うこととしているだけで、処理計画の作成に関する明確な基準がないこと
(ウ) 第三者占有地の処理に当たって、占有者に対して売却を促進するための適切な交渉などが行われていないこと、また、耕作敷や高架下の材料置場の処理方針を撤去又は売却に限定し、使用貸借等の方途について検討していないこと
(エ) 占有者が特定できていない第三者占有地があること
(オ) 第三者占有地の処理に関して、主として保線区等の現業機関が交渉等を行っており、支社等と連携して処理に当たる体制が執られていないこと

(検査結果により表示した改善の意見)

重要な資産である土地について、適切な処分、管理及び利用が図られるよう、次のとおり、西日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長に対し平成13年11月に、会計検査院法第36条の規定により改善の意見を表示した。
(1) 本社において、
(ア) 第三者占有地が今後の事業に必要であるか否かの判断についての具体的な基準及び占有の形態、資産価値等を考慮し処理の優先順位を付すための処理計画の作成基準を策定すること
(イ) 上記の判断基準に基づき見直した結果、事業上不必要な土地となるものについては売却を進展させるための方策を検討すること、また、事業上支障がある土地については撤去するとともに、耕作敷や高架下の土地のように事業上必要であっても事業上支障がない場合には使用貸借又は賃貸借の方途を検討すること、さらに、これらを踏まえ第三者占有の解消を図るために法的措置を執るなどの方策も検討すること
(ウ) 本社、支社及び保線区等現業機関が連携して処理に当たる体制を整備すること
(2) 支社において、本社が策定する基準により処理方針の見直しを行い、優先順位を付した処理計画を作成するとともに、占有者が不明なものについては、占有者を速やかに特定するよう現業機関を指導すること

2 当局が講じた改善の処置

西日本旅客鉄道株式会社では、本院指摘の趣旨に沿い、13年12月に支社長等に対し通達を発するなどして、鉄道事業用地等における第三者占有地について適切な処分、管理及び利用が図られるよう、次のような処置を講じた。
(1) 本社において、
(ア) 第三者占有地が今後の事業に必要であるか否かの判断についての具体的な基準及び占有の形態、資産価値等を考慮し処理の優先順位を付すための処理計画の作成基準を策定した。
(イ) 上記の判断基準に基づき見直した結果、事業上不必要な土地となるものについては売却を進展させるための適正な売却価格の評定方法を定め、また、事業上支障がある土地については撤去するとともに、耕作敷や高架下の土地のように事業上必要であっても事業上支障がない場合には使用貸借又は賃貸借を行うこととし、さらに、これらを踏まえ解消のための進展が見込めないものについては法的措置を講じることとした。
(ウ) 本社、支社及び保線区等現業機関が連携して処理に当たる体制を整備した。
(2) 支社において、本社が策定した基準により処理方針の見直しを行い、優先順位を付した処理計画を作成するとともに、占有者が不明なものについては、占有者を速やかに特定するよう現業機関を指導した。