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  • 平成13年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第1 金融システムの安定化のための緊急対策等の実施状況について|
  • 3 検査の状況|
  • (2) 金融システムの安定化のための緊急対策等の実施状況

金融機能安定化法の枠組みの実施状況


ウ 金融機能安定化法の枠組みの実施状況

 預金保険機構は、10年3月、金融機能安定化法に基づき、株式会社整理回収銀行(当時。以下「整理回収銀行」という。)に委託して、21金融機関(注11) に対して計1兆8156億円の資本注入を実施した。
 上記の資本注入を承認するための審査は、預金保険機構に設置された金融危機管理審査委員会(以下「審査委員会」という。)が行った。そして、資本注入は、審査委員会の上記の承認に係る決議後、大蔵大臣(当時)の承認、閣議決定を経て実施された。
 資本注入を受ける金融機関の財務状況等の審査基準としては、当該金融機関の経営が著しく悪化していないこと、資本注入後、相当の期間が経過しても、優先株式等を処分することが著しく困難と認められる場合でないことなどが定められた。そして、審査委員会は、上記の審査基準を基に、前記の21金融機関が過去3年連続して赤字決算となっていないことを確認したり、10年度から12年度までの間における累計当期利益見込額と資本注入額を比較したりするなどして審査を実施した。また、資本注入を受ける金融機関の財務状況を把握するために、大蔵省、日本銀行がラインシート(注12) を精査するなどして貸出関連資産の状況を検証した。
 なお、10年10月及び12月にそれぞれ破綻して特別公的管理銀行となった日本長期信用銀行及び日本債券信用銀行も、10年3月にそれぞれ1766億円及び600億円の資本注入を受けていた。

(注11)  21金融機関 株式会社第一勧業、株式会社さくら、株式会社富士、株式会社東京三菱、株式会社あさひ、株式会社三和、株式会社住友、株式会社大和、株式会社東海、株式会社日本興業、日本長期信用、日本債券信用、株式会社足利、株式会社横浜、株式会社北陸各銀行、三井、三菱、安田、東洋、中央、住友各信託銀行株式会社(資本注入実施時における金融機関名)
(注12)  ラインシート 金融機関が貸出先ごとに、貸出金額、貸出金の使途、貸出先の財務内容、返済計画等を記載した資料