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医薬品等の購入に当たり、当該年度の予算の額を超えて契約等を行い、翌年度において事実と異なる不適正な会計経理を行って代金を支払っているもの


(50)医薬品等の購入に当たり、当該年度の予算の額を超えて契約等を行い、翌年度において事実と異なる不適正な会計経理を行って代金を支払っているもの

会計名及び科目 国立学校特別会計 (項)大学附属病院
部局等の名称 岡山大学
不適正に経理された経費の内容 病院において患者の診療に使用する医薬品、検査用試薬、診療用消耗品の購入に要する経費
不適正に経理された経費の額 6,753,170,490円(平成8年度〜14年度)

1 会計経理の概要

(病院に係る予算)

 岡山大学では、医学部附属病院、医学部附属病院三朝医療センター(平成14年3月31日以前は医学部附属病院三朝分院)及び歯学部附属病院において、臨床医学の教育、研究を行うほか保険医療機関として患者の診療を行っている。

 そして、これらに要する経費は、文部科学省(13年1月5日以前は文部省)から国立学校特別会計の(項)大学附属病院として、支出負担行為計画の示達を受けた歳出予算の範囲内で賄うこととされている。このうち、主として、教育研究経費、一般管理運営経費は(項)大学附属病院の(目)校費(以下「校費」という。)から、また、患者の診療に直接必要な経費は(目)医療費(以下「医療費」という。)等から支出されている。

(支出負担行為制度)

 国が行う契約から支払までの会計事務は、財政法(昭和22年法律第34号)、会計法(昭和22年法律第35号)等(以下「会計法令」という。)に従って処理することとなっている。

 会計法令では、予算の執行を、支出の原因となる債務負担と、その結果として発生する支出に区分し、支出の原因となる債務負担の段階において厳格な統制を実施し、予算の適正かつ計画的な執行を図る目的をもって支出負担行為制度が設けられている。

 支出負担行為制度は、示達された歳出予算の額(以下「示達額」という。)を超過して国の債務負担の原因となる行為が行われることのないようにするものである。そして、支出負担行為担当官は、当該支出負担行為が示達額を超過しないことの確認を支出官から受け、関係の帳簿に登記された後でなければ、支出負担行為をすることができないとされている。

(医薬品等の購入に係る会計事務処理)

 患者の診療に使用する医薬品、検査用試薬、診療用消耗品(以下「医薬品等」という。)の購入については、会計法令の定めるところに従い、次のように契約等の会計事務を処理することとなっている。
〔1〕 使用頻度の高い医薬品等については、年度当初などに、支出負担行為担当官が、購入の見込まれる品目を対象として単価契約を行う。そして、物品管理官は、薬剤部、各診療科等に配置された物品供用官の購入要求に基づき、支出負担行為担当官に対して取得措置請求を行い、これを受けて支出負担行為担当官は業者に発注し納品させる。その後、通常、翌月に納入業者から1箇月分をまとめた請求書が提出され、これを受けて、支出負担行為の決議書を作成し、これを支出官に送付する。
〔2〕 その他の医薬品等については、物品管理官が、物品供用官の購入要求に基づき、支出負担行為担当官に対して取得措置請求を行い、これを受けて支出負担行為担当官は、品目及び数量を取りまとめ、その都度見積書を徴し、業者と総価による契約(以下「総価契約」という。)を行い納品させる。そして、契約時に支出負担行為の決議書を作成し、これを支出官に送付する。
〔3〕 支出官は、支出負担行為差引簿を備え、予算科目別に示達額を超えることなどがないよう、支出負担行為の確認を行い、予算の執行を管理するとともに、納入業者から提出された請求書を審査確認のうえ、所定の期日までに購入代金を支払う。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 本院では、5年12月に、文部大臣(当時)に対し、国立大学の附属病院における医薬品費の予算執行に当たり、示達額を超えて購入した医薬品等に係る支払が年度内に行われず、翌年度又は翌々年度の予算から支払われている事態について、是正改善の処置を要求した。これに対し、文部省では、附属病院を置く各国立大学に対して通知を発するなどして、予算執行残額を確認した上で、その範囲内で法令に従って契約・発注を行うよう指導の徹底を図るなどの処置を講じたところである。
 一方、各国立大学は16年4月に法人化が予定されており、法人化後においても適正な会計処理を行うことが求められていることなどから、各病院における会計経理が会計法令に従って適正に行われているかに着眼して検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、岡山大学医学部附属病院(以下「病院」という。)において、次のとおり、会計法令に違背した事態が見受けられた。
 病院では、8年度から14年度までの医療費の会計経理において、各年度中に購入した医薬品等の一部について、当該年度内に支出負担行為等の会計事務処理を行うと示達額を超えることになるため、支出負担行為等の会計事務を翌年度に持ち越して処理していた。各年度において会計事務処理を行わなかった金額は、次表のとおり、合計6,753,170,490円に上っている。

(表)








事実と異なる支出負担行為による支出 処理年度における医療費全体の支出 A/B
件数 金額(A) 件数 金額(B)

8
9
10
11
12
13
14

9
10
11
12
13
14
15

2,700
2,849
2,400
2,543
3,218
3,531
1,571

763,637,895
938,688,271
900,847,385
989,371,899
1,213,683,211
1,588,454,058
358,487,771

10,975
12,623
11,099
11,788
12,576
10,066
1,657

6,004,661,000
5,874,410,000
6,154,813,000
6,228,789,000
6,163,593,000
6,222,297,000
363,917,922
%
12.7
15.9
14.6
15.8
19.6
25.5

合計 18,812 6,753,170,490 70,784 37,012,480,922
(注)
 15年度における医療費全体の支出件数及び金額は、15年4月及び5月分のみである。

 これらについては、それぞれ翌年度の医療費から支払われており、その額は、支出した年度の医療費の12.7%から25.5%(15年度を除く。)を占めている。
 そして、病院では、支出負担行為の事務処理に際し、総価契約によるものも含め、納入業者の納品書・請求書の提出を受けて、支出負担行為の内容を記載した帳票(以下「入力コード表」という。)を作成し、そのデータをコンピュータに入力して支出負担行為・支出決議書(以下「決議書」という。)を作成しているが、翌年度に持ち越したものについては、次のような方法で、翌年度に契約・納品等が行われたかのような一連の会計事務処理を行っていた。
〔1〕 単価契約分については、翌年度に、総価契約として処理することとし、予定価格調書の作成等を必要としない1件当たり100万円未満となるように分割して作り直した見積書・納品書・請求書を納入業者に提出させ、これに見合うように入力コード表を作成して、データを入力し、決議書を作成する。
〔2〕 総価契約分については、日付欄が空白の見積書・納品書・請求書を納入業者に提出させ、これに翌年度、適当な日付を記入し、これに見合うように入力コード表を書き換えたり、作成し直したりして、データを入力し、決議書を作成する。
 このように、医薬品等の購入に当たり、当該年度に行うべき会計事務処理を行わずに、翌年度の支出負担行為により処理するなど、事実と異なる会計経理を行い、年度を越えて翌年度の予算から購入代金が支払われている事態は、会計法令及び予算に違背し、著しく不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、次のようなことによると認められる。
〔1〕 医薬品等の購入に係る支出負担行為制度等の予算執行について、会計法令及び予算を遵守して適正に執行すべきことへの認識が欠如していたこと
〔2〕 校費で支出している医療機器・設備の修理や医事業務の外注等の経費が増大したのに、これに対応する支出削減等の措置を執らず、医療費で支出が可能な経費について当該年度の医療費から支出したため、医療費自体が不足したこと