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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金(60)−(221)

医療施設等施設整備費補助金の経理において、補助の対象とならない経費を補助対象経費に含めていたため、補助対象事業費の精算が課題となっているもの


(60)医療施設等施設整備費補助金の経理において、補助の対象とならない経費を補助対象経費に含めていたため、補助対象事業費の精算が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)保健衛生施設整備費
部局等の名称 茨城県
補助の根拠 予算補助
補助事業者 茨城県
間接補助事業者(事業主体) 学校法人筑波学園
補助事業 理学療法士等養成所施設整備事業
補助事業の概要 医療従事者の養成力の充実を図るため、理学療法士等養成所の施設整備を行うもの
上記に対する国庫補助金交付額 353,537,000円(平成12年度)
不当と認める国庫補助金交付額 9,973,000円(平成12年度)

1 補助金の概要

 医療施設等施設整備費補助金(理学療法士等養成所施設整備事業分)は、医療従事者の養成力の充実を図るため、市町村及び学校法人等が行う理学療法士及び作業療法士の学校又は養成所の施設整備事業に対して、都道府県が補助する場合、その補助に要する費用の全部又は一部を国が補助するものである。
 その交付額は、所定の基準額、補助対象経費の実支出額及び総事業費から当該事業に係る寄付金その他の収入額を控除した額のうち最も少ない額を補助対象事業費とし、これに2分の1を乗じて得た額と都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額となっている。このうち、所定の基準額は、1m 当たりの基準単価と補助対象経費の実支出額から計算される1m 当たり単価とを比較して小さい方の単価に、所定の基準面積と実面積とを比較して少ない方の面積を乗じて得た額となっている。また、補助対象経費は、学校又は養成所の新築、増改築に要する工事費又は工事請負費となっている。
 学校法人筑波学園では、その経営する学校に理学療法学科と作業療法学科の2学科を新設するため、平成12年度に理学療法士等養成所施設整備事業として、既存校舎に隣接する場所に、新規に校舎を建設している。
 同法人では、本件補助事業について、基準額と補助対象経費の実支出額等を比較したところ、補助対象経費の実支出額から計算される1m 当たり単価に実面積を乗じて得た基準額707,074,608円が最も少ない額であったことから、この額を補助対象事業費としていた。そして、同県が補助した額353,537,000円が補助対象事業費に2分の1を乗じて得た額より少なかったとする実績報告書を同県に提出し、これを基に同額の国庫補助金の交付を受けていた。

2 検査の結果

 検査したところ、補助対象経費の実支出額に新規校舎の建設工事費とは認められない既存校舎に係る電気設備費や改修費等計19,947,558円が含まれていた。
 そして、これらの費用を控除した補助対象経費の実支出額から計算される1m 当たり単価に実面積を乗じた基準額は687,128,146円となり、この額が補助対象経費の実支出額などと比べて最も少なくなる。
 したがって、適正な補助対象事業費は687,128,146円となり、補助対象事業費が過大に精算されている。そして、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金額を算定すると343,564,000円となり、交付額との差額9,973,000円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同法人において補助制度の内容についての理解が十分でなかったこと、同県において同法人から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。