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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 不当事項|
  • 補助金

精神保健対策費補助金の経理において、補助対象事業費の精算が過大となっているもの


(126)−(133)精神保健対策費補助金の経理において、補助対象事業費の精算が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)精神保健費
平成11年度以前は、
(組織)厚生本省 (項)精神保健費
部局等の名称 北海道ほか7県
補助の根拠 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)
補助事業者 北海道ほか6県
  仙台市(事業主体)
間接補助事業者
(事業主体)
医療法人4、社会福祉法人2、社団法人1、計7事業主体
補助事業 精神障害者社会復帰施設運営事業
補助事業の概要 精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、精神障害者社会復帰施設を運営するもの
上記に対する国庫補助金交付額 241,647,226円(平成11年度〜13年度)
不当と認める国庫補助金交付額 29,069,408円(平成11年度〜13年度)

1 補助金の概要

(精神保健対策費補助金)

 精神保健対策費補助金(精神障害者社会復帰施設運営事業分)は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)等に基づき、以下の費用の一部を補助するために交付するものである。
ア 都道府県又は政令指定都市(以下「県等」という。)が精神障害者生活訓練施設、精神障害者授産施設等の精神障害者社会復帰施設(以下「社会復帰施設」という。)を運営する場合に要する費用
イ 市町村、社会福祉法人等が行う社会復帰施設の運営事業に対し県等が補助する場合のその補助に要する費用
 この補助金の補助対象経費は、社会復帰施設を運営するために必要となる職員の給料、職員手当などの人件費、各所修繕費、需用費、賃借料等とされている。そして、施設整備の費用、入所者個人の生活に必要な給食費や光熱水費は補助対象経費には含めないことになっている。また、各所修繕費は故障や老朽化が生じたものを原状に回復するための費用とされている。

(交付額の算定方法)

 この補助金の交付額は次のように算定することとなっている。
ア 県等が社会復帰施設を運営する場合
(ア) 所定の月額単価を用いるなどして算出される基準額と補助対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
(イ) (ア)により選定された額から精神障害者措置入院費のうち費用徴収予定額等を控除した額を補助対象事業費とし、これに2分の1を乗じて得た額を交付額とする。
イ 県等が社会復帰施設の運営事業に対して補助する場合
 上記のア(ア)に準じて選定された額と県等が補助した額とを比較して少ない方の額を補助対象事業費とし、これに2分の1を乗じて得た額を交付額とする。

2 検査の結果

 北海道ほか22都府県及び札幌市ほか3市の70事業主体について検査した結果、北海道ほか6県及び1市の8事業主体が実施した精神障害者社会復帰施設運営事業に係る補助対象事業費が過大に精算されていて国庫補助金29,069,408円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主体において補助制度の内容についての理解が十分でなかったこと、道県において事業主体から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを道県別に示すと次のとおりである。

  道県名 事業主体
(所在地)
施設の種類 年度 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金
          千円 千円 千円 千円
(126) 北海道 社会福祉法人道北センター福祉会(名寄市) 精神障害者生活訓練施設 13 37,461 18,730 4,091 2,045

 上記の社会福祉法人では、補助対象経費の実支出額の需用費に、車庫の新築に係る施設整備の費用等を含めていたため、補助対象事業費が4,091,000円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると16,685,000円となり、交付額との差額2,045,500円が過大となっていた。

(127) 宮城県 仙台市 精神障害者通所授産施設 13 28,684 14,342 2,596 1,298

 仙台市では、補助対象経費の実支出額に、当該施設を原状に回復するための費用には該当しない改修工事に伴う施設整備の費用を各所修繕費として含めていたため、補助対象事業費が2,596,072円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると13,043,984円となり、交付額との差額1,298,036円が過大となっていた。

(128) 群馬県 医療法人群栄会(北群馬郡吉岡町) 精神障害者生活訓練施設 13 34,249 17,124 7,063 3,531

 上記の医療法人では、補助対象経費の実支出額の賃借料に、同法人が所有していて支払実態のない当該施設に係る賃料を含めるなどしていたため、補助対象事業費が7,063,662円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると13,592,698円となり、交付額との差額3,531,831円が過大となっていた。

(129) 埼玉県 医療法人高仁会(川口市) 精神障害者生活訓練施設 12 34,516 17,258 3,326 1,663

 上記の医療法人では、補助対象経費の実支出額に、当該施設を原状に回復するための費用には該当しない新築工事に伴う施設整備の費用を各所修繕費等として含めていたため、補助対象事業費が3,326,000円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると15,595,000円となり、交付額との差額1,663,000円が過大となっていた。

(130) 新潟県 医療法人崇徳会(三島郡越路町) 精神障害者生活訓練施設 13 40,585 20,292 2,185 1,092

 上記の医療法人では、補助対象経費の実支出額の需用費に、入所者個人の生活のために必要な光熱水費を含めるなどしていたため、補助対象事業費が2,185,000円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対策事業費に基づいて国庫補助金を算定すると19,200,000円となり、交付額との差額1,092,500円が過大となっていた。

(131) 岐阜県 社団法人岐阜病院(岐阜市) 精神障害者生活訓練施設 13 43,272 21,636 2,404 1,202

 上記の社団法人では、補助対象経費の実支出額の需用費に、入所者個人の生活のために必要な給食費を含めるなどしていたため、補助対象事業費が2,404,458円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると20,434,122円となり、交付額との差額1,202,229円が過大となっていた。

(132) 広島県 社会福祉法人尾道のぞみ会(尾道市) 精神障害者生活訓練施設、精神障害者通所授産施設、精神障害者地域生活支援センター 11、12 164,075 82,037 31,194 15,597

 上記の社会福祉法人では、補助対象経費の実支出額の算出に当たり、人件費等の額を過大に計上していたため、補助対象事業費が計31,194,622円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると計66,440,514円となり、交付額との差額計15,597,312円が過大となっていた。

(133) 沖縄県 医療法人晴明会(糸満市) 精神障害者入所授産施設 12、13 100,451 50,225 5,278 2,639

 上記の医療法人では、補助対象経費の実支出額の賃借料等に、施設の運営に要する費用ではない授産事業で使用しているビニールハウス等のリース料を含めるなどしていたため、補助対象事業費が計5,278,000円過大に精算されていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づいて国庫補助金を算定すると計47,586,500円となり、交付額との差額計2,639,000円が過大となっていた。

(126)−(133) の計     483,294 241,647 58,138 29,069