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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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補助金


(247)新世代下水道支援事業制度におけるリサイクル推進事業の実施に当たり、管路工の施工が著しく粗雑となっていたため工事の目的を達していないもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)北海道都市計画事業費
部局等の名称 北海道
補助の根拠 下水道法(昭和33年法律第79号)
補助事業者
(事業主体)
北海道札幌市
補助事業 新世代下水道支援事業制度におけるリサイクル推進
補助事業の概要 下水処理水を利用して融雪を行う融雪槽と既設の下水管を接続するため、平成14年度に管路工等を施工するもの
事業費 101,443,650円  
(うち国庫補助対象額84,300,000円)
上記に対する国庫補助金交付額 42,150,000円  
不当と認める事業費 36,949,000円  
(うち国庫補助対象額35,658,000円)
不当と認める国庫補助金交付額 17,829,000円  

1 補助事業の概要

 この補助事業は、札幌市が、新世代下水道支援事業制度におけるリサイクル推進事業の一環として、同市の下水処理施設である新川処理場において、下水処理水を利用して融雪を行う融雪槽と既設の下水管を接続するため、平成14年度に、管路工等を工事費101,443,650円(うち国庫補助対象額84,300,000円、国庫補助金42,150,000円)で実施したものである。
 この管路工は、総延長144.1mにわたり、開削工法により内径1,000mmの遠心力鉄筋コンクリート管(以下「ヒューム管」という。)60本の布設等を行うものである。
 そして、本件管路工は、「下水道管渠工事仕様書」(札幌市下水道局制定)、「下水道施設計画・設計指針と解説」(社団法人日本下水道協会編)、設計図書等に基づき、次のように施工することとしていた。
(ア) 所定の場所を掘削し、その底面に基礎砕石を敷均して転圧し、所定の基床厚(25cm)を確保した上でヒューム管を布設する(参考図参照) 。その際、ヒューム管の布設は、管底高が基準高(注1) の±50mmの範囲となるように施工する。
(イ) ヒューム管の両側に基礎砕石を投入し、ヒューム管に密着するように締め固めた上で、現状地盤まで土砂を埋め戻す。その際、ヒューム管に作用する土圧等の荷重に対し所要の安全度を確保するため、ヒューム管を支持する基礎砕石の支承角(注2) は、設計計算に基づく所定の角度(90度又は180度)を満たすように施工する(参考図参照)
(ウ) ヒューム管の継手部は、管種及び継手の構造に応じ正確かつ入念な接合を行って水密性のあるものとし、継手部は、地震時の震動等により継手部に生じる抜出しを考慮した場合でも、抜出し量(注3) が最大抜出し量(注3) を上回らないように施工する。
(エ) ヒューム管を布設する中間に、マンホールを1箇所設置する。

2 検査の結果

 検査したところ、管路工の施工が次のとおり適切でなかった。
(ア) 基礎砕石の敷均し及び転圧を十分に行わないまま土砂を埋め戻していたため、60本のヒューム管のうち36本については管底高が−51mmから−128mmとなっていて、前記基準高の許容範囲を超えていた。
(イ) 上記(ア)と同様の理由から、掘削して調査したヒューム管9本のうちの4本については、基礎砕石の厚さが不足していて、前記の設計計算に基づく所定の支承角が満たされておらず、そのうちの2本については、所要の安全度が確保されていない状態になっていた。
(ウ) 上記(ア)のとおり、ヒューム管の管底高が随所で基準高の許容範囲を超えていたことなどから、57箇所の継手部のうち6箇所については、地震時の震動等により継手部に生じる抜出しを考慮した場合の抜出し量が最大抜出し量を上回ることとなり、所要の水密性が確保されていない状態になっていた。
(エ) ヒューム管とマンホールを接合するに当たり、ヒューム管の先端の一部がマンホールの内壁側まで十分に達しておらず、その接合が不十分なものとなっていた。
 このような事態が生じていたのは、管路工の施工が著しく粗雑となっていたのに、これに対する同市の監督及び検査が適切でなかったことによると認められる。
 したがって、本件管路工(工事費相当額36,949,000円、うち国庫補助対象額35,658,000円)は、施工が著しく粗雑となっており、所要の安全度や水密性が確保されていないことなどから工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額17,829,000円が不当と認められる。

(注1) 基準高 設計図書において管の位置する高さをいう。
(注2) 支承角 管が基礎によって支持されている角度をいう(参考図参照) 。この支承角が大幅に不足する場合、所要の安全度が確保されないこととなる。
(注3) 抜出し量・最大抜出し量 「抜出し量」とは、地震時の振動や地盤のひずみなどにより管の継手部がずれる場合の当該ずれの長さをいう。また、「最大抜出し量」とは、継手部にずれが生じたとしたとしても管の流下能力が保たれる場合における当該ずれの最大値をいう。

(参考図)

(参考図)

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