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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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補助金


(257)特定交通安全施設等整備事業の実施に当たり、損失の補償の対象とならない消費税相当額を補償費に計上していたため、補償費が過大となっているもの

会計名及び科目 道路整備特別会計 (項)道路環境整備事業費
部局等の名称 徳島県
補助の根拠 道路法(昭和27年法律第180号)
補助事業者
(事業主体)
徳島県
補助事業 一般国道438号特定交通安全施設等整備
補助事業の概要 特定交通安全施設等整備事業の一環として自転車歩行者道を整備するため、平成13年度に支障となる建物等の移転補償を行うもの
事業費 66,931,625円
上記に対する国庫補助金交付額 33,465,812円
不当と認める事業費 3,182,925円
不当と認める国庫補助金交付額 1,591,462円

1 補助事業の概要

(補助事業の概要)

 この補助事業は、徳島県が、一般国道438号特定交通安全施設等整備事業の一環として自転車歩行者道を整備するため、美馬郡美馬町字天神地内に所在する美馬農業協同組合(以下「農協」という。)所有の鉄筋コンクリート造り平屋建ての倉庫(床面積333.59m )等の移転に要する建物移転料、工作物移転料等の費用(以下、これらを「物件移転料」という。)として、平成13年度に66,931,625円(国庫補助金33,465,812円)を農協に補償したものである。
 同県では、上記の物件移転料を次のように算定していた。
〔1〕 建物等の移転に要する費用を消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)抜きで63,748,700円と算出した。
〔2〕 〔1〕の額から印紙税額等を除いた消費税の対象となる額を63,658,500円と算出した。
〔3〕 建物等の移転に当たり農協が負担する消費税相当額を〔2〕の額に100分の5を乗じた3,182,925円と算出した。
〔4〕 〔1〕の額に〔3〕の消費税相当額を加算した66,931,625円を物件移転料とした。

(損失の補償における消費税相当額の取扱い)

 国土交通省道路局所管の国庫補助事業の施行に伴う損失の補償においては、消費税相当額について、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて」(平成9年建設省経整発第67号の3)に準じ、次のように取り扱うこととされている。
 すなわち、補償を受けた土地等の権利者等が補償金により建物を移転先に建設する場合などには、補償金の算定に当たり、建設業者等に支払うこととなる消費税相当額を補償の対象として適正に考慮することとされている。一方、土地等の権利者等が事業者である場合において、建物の移転等に係る補償金により第三者から資産の譲渡等を受けても、これに係る消費税額が当該事業者の消費税納付税額の計算上、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額として控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)の対象となる場合は、当該土地等の権利者等は実質的に消費税を負担しないこととなるため、補償金の算定に当たり消費税相当額を積算上考慮しないこととされている。

2 検査の結果

 検査したところ、本件物件移転料の算定に当たり消費税相当額を加算したのは次のとおり適切でなかった。
 すなわち、農協は消費税法上の事業者に該当し、消費税の確定申告書等によれば、課税売上割合が95%未満(注1) で、仕入控除税額の計算方法として個別対応方式(注2) を選択していた。この方式によれば、事業者は、課税売上高に対応する課税仕入れに係る消費税額の全額を仕入税額控除することができることとなっている。
 そして、本件倉庫は生産物の保管等農協の事業を行うためのものであり、建物等の移転に当たり農協が負担する消費税相当額は、消費税納付税額の計算上、課税仕入れに係る消費税額としてその全額を仕入税額控除することができることとなる。
 したがって、農協は建物等の移転に係る消費税を実質的に負担しないこととなるので、補償金の算定に当たり消費税相当額を加算していたのは適切でない。
 このような事態が生じていたのは、同県において、補償費の算定における消費税相当額の取扱いについての理解が十分でなかったことによると認められる。
 上記により、本件事業に要する適正な費用は63,748,700円であり、消費税相当額3,182,925円が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額1,591,462円が不当と認められる。

(注1) 課税売上割合が95%未満 課税売上割合は総売上高に占める課税売上高の割合をいう。これが100分の95以上の場合には、課税仕入れに係る消費税額の全額が仕入税額控除の対象となるのに対し、100分の95未満の場合には、課税売上高に対応する部分のみが仕入税額控除の対象となる。
(注2) 個別対応方式 課税仕入れ等に係る消費税額のすべてについて〔1〕課税売上げのみに対応するもの、〔2〕非課税売上げのみに対応するもの、〔3〕課税売上げと非課税売上げに共通するものに区分が明らかにされている場合には、〔1〕に係る課税仕入れ等の消費税額と〔3〕に係る課税仕入れ等の消費税額に課税売上割合を乗じた額の合計額が仕入税額控除の対象となる方式

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