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  • 平成14年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第18 地方公共団体に対する財政資金の流れについて|
  • 2 検査の状況|
  • (2)地方公共団体に対する補助金等の交付

地方公共団体の歳入における国庫支出金


ウ 地方公共団体の歳入における国庫支出金

 国から交付される補助金等は、地方財政の統計上、原則として地方公共団体の歳入の「国庫支出金」として整理されており、この面からみると、次のような状況となっている。

(ア)普通会計における国庫支出金の額等

 各年度の普通会計の歳入における国庫支出金の額及び構成比の推移を、地方全体についてみると、表3のとおりであり、3年度までは、国庫補助負担率が削減されたことや補助金の一部がNTT株式売払収入を活用した無利子貸付金により一時的に代替されていたことなどから、構成比が低下傾向にあったが、4年度には同無利子貸付金による代替が行われなくなったことなどから増加し、その後14%から15%の間で推移している(なお、13年度の国の補正予算においても同無利子貸付金による代替が行われている。)。

表3 普通会計の歳入における国庫支出金の額等の推移

(単位:百万円)

年度 歳入合計(A) うち国庫支出金(B) (B/A)
62 64,661,858 10,361,700 16.0%
63 68,009,463 9,911,601 14.6%
74,566,747 10,282,306 13.8%
2 80,410,014 10,629,209 13.2%
3 85,709,945 11,165,579 13.0%
4 91,423,820 12,859,152 14.1%
5 95,314,172 13,613,789 14.3%
6 95,994,493 13,704,738 14.3%
7 101,315,603 14,962,634 14.8%
8 101,350,537 14,665,676 14.5%
9 99,887,785 14,256,386 14.3%
10 102,868,902 15,628,392 15.2%
11 104,006,504 16,482,929 15.8%
12 100,275,100 14,350,300 14.3%
13 100,004,082 14,443,287 14.4%
(注)
総務省「地方財政統計年報」のデータによる。

(イ)普通会計における国庫支出金の分野別内訳

 上記(ア)の国庫支出金の分野別内訳を地方全体についてみると、図8のとおりであり、普通建設事業費関係(普通建設事業費支出金)の比率が最も高く、義務教育費関係(義務教育費負担金)、社会保障費関係(生活保護費負担金、児童保護費負担金、老人保護費負担金等)がこれに続いていて、13年度においては、それぞれ35.7%、20.8%、16.5%となっている。
 社会保障費関係の負担金の比率は近年の高齢化等を反映して増加傾向にある一方、普通建設事業費支出金の比率は国の経済対策等を反映して大きく変動している。なお、普通建設事業費支出金の比率が昭和63年度から平成3年度の間大きく低下しているのは、NTT株式売払収入を活用した無利子貸付金で代替されたことも影響している。

図8 普通会計における国庫支出金の分野別内訳

図8普通会計における国庫支出金の分野別内訳

(注)
総務省「地方財政統計年報」のデータによる。

 また、国庫支出金(都道府県のみ)の分野別内訳について、13年度における〔1〕普通建設事業費支出金の構成比、〔2〕義務教育費負担金及び社会保障費関係負担金の計の構成比をそれぞれ都道府県別にみると、図9及び図10のとおり、財政力指数(注8) の低い都道府県において〔1〕の構成比が高く、財政力指数の高い都道府県において〔2〕の構成比が高くなっている傾向が見受けられた。

財政力指数 基準財政収入額基準財政需要額 で除して得た数値の過去3箇年間の平均値をいい、地方公共団体の財政力を示す数値として用いられる。この指数が高いほど財政力が強いといえる。

 

図9
 各都道府県の財政力指数と国庫支出金に占める普通建設事業費支出金の割合

図10
 各都道府県の財政力指数と国庫支出金に占める義務教育費・社会保障費の割合

図10 地方公共団体の歳入における国庫支出金の図1

(注)
両図とも、総務省「地方財政統計年報」及び「都道府県決算状況調」のデータに基づいて作成した。

(ウ)公営事業会計における国庫支出金の状況

 普通会計以外の会計における国庫支出金のうち主なものは、社会保障分野の国民健康保険事業、老人保健医療事業、介護保険事業等の会計及び公営企業会計のうちの下水道事業会計等に係るものであり、その額の推移は表4のとおりである。

表4 普通会計以外の主な会計における国庫支出金

(単位:百万円)

年度\項目 62 63 2 3 4 5 6
公営企業会計 967,721 831,409 878,800 860,450 981,681 1,440,960 1,661,917 1,643,854
うち水道(簡易水道を含む。) 127,588 112,177 111,545 111,202 118,536 154,830 188,128 183,621
うち工業用水道 12,331 9,866 10,559 10,050 10,946 16,378 18,662 14,839
うち交通 46,937 47,329 69,338 44,537 65,952 70,882 64,654 65,193
うち下水道 745,776 627,852 661,826 667,220 755,999 1,168,008 1,356,008 1,339,295
その他の事業会計 3,240,655 3,188,186 3,384,397 3,477,055 3,594,329 3,756,725 3,927,504 4,185,393
うち国民健康保険事業 2,302,749 2,182,935 2,303,948 2,309,194 2,346,154 2,344,097 2,421,570 2,546,212
うち老人保健医療事業 937,786 1,004,919 1,079,710 1,167,564 1,248,043 1,412,506 1,505,814 1,639,042
うち介護保険事業
うち公立病院 120 332 739 297 132 122 120 139

年度\項目 7 8 9 10 11 12 13
公営企業会計 1,817,662 1,852,141 1,710,056 1,907,578 1,933,968 1,690,114 1,556,916
うち水道(簡易水道を含む。) 212,394 208,180 195,857 238,272 215,330 176,890 168,582
うち工業用水道 14,128 13,819 12,577 11,865 10,123 9,532 7,995
うち交通 75,802 76,358 66,582 71,041 76,060 58,594 54,105
うち下水道 1,461,543 1,500,725 1,386,950 1,533,687 1,570,160 1,384,501 1278,587
その他の事業会計 4,527,307 4,761,955 4,914,534 5,027,424 5,524,615 6,159,671 6,724,583
うち国民健康保険事業 2,678,508 2,759,526 2,796,397 2,819,986 3,099,566 3,177,895 3,468,257
うち老人保健医療事業 1,848,627 2,002,156 2,117,863 2,206,840 2,424,260 2,092,750 2,180,322
うち介護保険事業 888,962 1,075,939
うち公立病院 172 273 274 598 789 64 65
(注)
総務省「地方財政の状況」及び「地方財政統計年報」のデータによる。