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  • 平成14年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
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  • 2 検査の状況|
  • (2)地方公共団体に対する補助金等の交付

地方公共団体に対する補助金等の整理合理化とこれに伴う措置


オ 地方公共団体に対する補助金等の整理合理化とこれに伴う措置

 臨時行政調査会(臨時行政調査会設置法(昭和55年法律第103号)に基づいて設置された内閣総理大臣の諮問機関)は、昭和58年3月に、国の財政再建を図る見地から補助金等の整理合理化を進めるべきとの最終答申を行った。この答申等を踏まえ、60年度から各行政分野ごとに補助金等の補助負担率を引き下げる措置が講じられ、経常的経費については平成元年度に、投資的経費については5年度にそれぞれ恒久化された。
 また、10年5月29日に閣議決定された「地方分権推進計画」等においても、地方公共団体に対する補助金等について整理合理化を進めることとされている。
 さらに、11年3月26日に閣議決定された「第2次地方分権推進計画」等を踏まえ、統合補助金(国が各年度における地方公共団体ごとの配分枠を金額等のみで定め、地方公共団体は、その配分枠の範囲内で具体の事業箇所・内容等を定めて申請するもの)の拡大に取り組むこととされている。
 これらの動向を踏まえてその状況をみると、次のとおりである。
(ア)地方公共団体に対する補助金等の整理合理化の状況
 地方公共団体に対する補助金等の整理合理化に係る近年の実績を一般会計分についてみると、表6のとおりであり、整理合理化件数は10年度に1000件台となったが、その後は600件台から900件台となっている。整理合理化金額はおおむね1000億円台となっているが、介護保険制度の実施に伴い補助金等が廃止等された12年度には急増している。
 なお、この整理合理化件数の中には、廃止や統合等のように補助金等の件数の増減に直接つながる項目のほか、減額、補助負担率の引き下げ、終期の設定等のように件数の増減に直接かかわらない項目も含まれている。

表6 地方公共団体に対する補助金等の整理合理化の推移

(単位:件、億円)

年度 2 3 4 5 6 7
件数 741 570 596 406 567 431 505
金額 1,030 1,336 694 1,656 1,858 1,922 2,226

年度 8 9 10 11 12 13 14
件数 954 634 1,156 684 862 845 905
金額 1,221 1,693 2,611 1,659 13,229 1,553 1,991

 中央省庁等の再編後における府省等別の地方向けの補助金等の整理件数等を一般会計分についてみると、表7のとおりであり、新規件数が廃止等件数を上回らない形で件数は減少している。また、特別会計分については、補助金等の件数の捉え方が一般会計と異なる扱いになっていることなどもあり単純に比較することはできないものの、13年度216件から14年度205件と減少している。

表7 府省等別の地方向け補助金等の整理件数等の状況
事項
府省等
新規件数A 廃止件数B 統合・メニュー化(件数) 整理件数A-(B+C) (参考)各年度の地方向け補助金等件数
統合前 統合後 差引C 13年度 14年度
内閣 0 0 0 0 0 0 1 1
内閣府 8 9 0 0 0 △1 152 151
総務省 5 11 0 0 0 △6 44 38
法務省 0 0 0 0 0 0 10 10
外務省 0 0 0 0 0 0 2 2
財務省 0 0 0 0 0 0 4 4
文部科学省 11 13 0 0 0 △2 115 113
厚生労働省 10 10 0 0 0 0 248 248
農林水産省 22 22 23 14 9 △9 309 300
経済産業省 6 16 2 1 1 △11 52 41
国土交通省 9 17 23 12 11 △19 336 317
環境省 7 7 0 0 0 0 66 66
国会 0 0 0 0 0 0 3 3
裁判所 0 0 0 0 0 0 1 1
会計検査院 0 0 0 0 0 0 1 1
合計 78 105 48 27 21 △48 1,344 1,296
(注)
廃止件数には合理化による廃止のほか、法令の改廃等による当然廃止の件数を含む。

(イ)地方公共団体に対する補助金等の整理合理化とこれに伴う措置

 地方公共団体に対する補助金等の整理合理化に伴う地方負担の増加に対応するため、これまで次のような措置が執られてきた。
 経常的経費に係る補助負担率の引下げについては、国のたばこ税の地方交付税対象税目化、地方交付税の特例加算、地方債(調整債)の発行等の措置が講じられた。
 投資的経費に係る補助負担率の引下げについては、昭和59年度から平成4年度までの暫定措置に対しては地方債(臨時財政特例債)の発行、5年度の恒久化の際は昭和59年度の水準と比較して増加する地方負担額について地方債(公共事業等臨時特例債)の発行、平成6年度以降は地方債(臨時公共事業債)の発行の措置が講じられ、それぞれ元利償還金について後年度に地方交付税措置が講じられた。
 また、補助金等の廃止に伴い、引き続き必要があると認められる事業については、当該補助金等に代わる財源として地方交付税措置を確保するなど一般財源化の措置が講じられた。
 以上のように、補助金等の整理合理化に伴って増加する地方負担に対応する必要があることから、補助金等が削減された分については、地方交付税措置を講じたり、地方債の発行を認めた上でその元利償還に要する費用につき後年度の地方交付税措置を講じたりしてきている。