平成15年度
第3章 個別の検査結果
第1節 省庁別の検査結果
第11 国土交通省
不当事項
補助金(164)−(177)
1 補助金の概要
国土交通省(平成13年1月5日以前は、北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省)所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省では、この事業に要する経費について、事業主体に対して補助金を交付している。
2 検査の結果
46都道府県及びその管内の市町村等を検査した結果、6道県及び6県管内の6市町村等計12事業主体が実施した道路改築事業、公営住宅家賃対策補助等の14事業に係る国庫補助金226,914,875円が不当と認められる。
これを不当の態様別に示すと次のとおりである。
| 〔1〕 工事の設計が適切でないもの | ||
| 5事業 | 不当と認める国庫補助金 | 71,933,150円 |
| 〔2〕 補助金の交付額の算定が適切でないもの | ||
| 3事業 | 不当と認める国庫補助金 | 87,088,000円 |
| 〔3〕 工事費の積算が過大となっているもの | ||
| 2事業 | 不当と認める国庫補助金 | 4,715,225円 |
| 〔4〕 工事の施工が設計と相違しているもの | ||
| 1事業 | 不当と認める国庫補助金 | 49,318,500円 |
| 〔5〕 補償費の積算が過大となっているもの | ||
| 1事業 | 不当と認める国庫補助金 | 9,273,000円 |
| 〔6〕 設計業務費の積算が過大となっているもの | ||
| 1事業 | 不当と認める国庫補助金 | 2,437,050円 |
| 〔7〕 工事の設計及び施工が適切でないもの | ||
| 1事業 | 不当と認める国庫補助金 | 2,149,950円 |
また、これを個別に示すと次のとおりである。
(164)公営住宅家賃対策補助金の経理において、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅に係る入居者負担基準額の算定を誤ったため、補助金が過大に交付されているもの
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1 補助金の概要
公営住宅家賃対策補助金(以下「家賃対策補助金」という。)は、公営住宅法(昭和26年法律第193号)に基づき、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸する公営住宅を管理している地方公共団体に対して、家賃に係る補助を行うために交付するものである。
その交付額は、公営住宅の団地別、管理開始年度別、入居者の収入の区分別等に次のとおり補助基本額を算定し、これらを合計した後に2分の1を乗じるなどして算定することとなっている。
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公営住宅の建設に係る土地の取得費については補助対象外となっているが、平成10年12月11日から15年3月31日までの間の公営住宅の建設に係る土地の取得費については、特例的に公営住宅等供給促進緊急助成事業費補助金(以下「緊急助成事業費補助金」という。)により対象としている。そして、この緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅については、後年度において家賃対策補助金の額から緊急助成事業費補助金に相当する額を家賃対策補助金の対象となる期間(20年)にわたって減額することとされている。この減額の方法については、上記の近傍同種の住宅の家賃の額から控除する入居者負担基準額に、土地の取得費に1,000分の5.096を乗じるなどして算出した額を加算することにより、補助基本額を減額することとなっている。
北海道では、8年度から15年度までに整備した公営住宅(3,313戸)の家賃対策補助金として、12年度から15年度までに計2,372,417,000円の交付を受けている。
2 検査の結果
検査したところ、北海道では、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅に係る補助基本額の算定に当たり、入居者負担基準額に前記の加算をしないまま算定するなどしていた。このため、入居者負担基準額が過小に算定されるなどしていて、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
このような事態が生じていたのは、北海道において、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅に係る補助基本額の算定に当たり、土地の取得を担当する部門と家賃対策補助金の交付申請を担当する部門の事務の連携が十分でなく、その対象住宅等を十分に確認しなかったことなどによると認められる。
したがって、入居者負担基準額に加算すべき額を加算するなどして12年度から15年度までの適正な家賃対策補助金の額を算定すると2,294,403,000円となり、交付額との差額78,014,000円が過大となっていて、不当と認められる。
(165)道路改築事業の実施に当たり、共通仮設費等の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、青森県が、一般国道101号道路改築事業の一環として、西津軽郡深浦町田野沢地内において、バイパスを新設するため、平成14、15両年度に、護岸工、消波工、土工等を工事費147,532,350円(国庫補助金81,142,792円)で実施したものである。
上記の事業は、工事施工以前には海岸であった場所に、護岸工として高さ3mの護岸(延長150.9m)を築造し、その前面に消波工として消波ブロック(6t)を723個据え付け、護岸の背面に道路の路体盛土工を施工するなどするものである。
同県では、工事費の積算に当たり、同県制定の土木工事標準積算基準書(以下「積算基準」という。)等により、上記工事の直接工事費を算定し、共通仮設費及び現場管理費の算定に当たっては、本件工事が道路を築造するために土工等を施工することから、工種に対応した工種区分として「道路改良工事」を選定し、これにより共通仮設費率を10.27%、現場管理費率を21.13%と算出していた。そして、直接工事費にこれらを乗ずるなどして共通仮設費及び現場管理費を算定し、一般管理費等を加えて、工事費を積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、本件工事費の積算が次のとおり適切でなかった。
すなわち、積算基準によれば、工種区分は、工事名にとらわれることなく工種によって適切に選定することとされ、道路を築造する工事であっても、海岸で行われる工事で、護岸工、消波根固工等が主たる工種である場合には「海岸工事」を選定することとされている。そして、本件工事は、護岸工費及び消波工費が直接工事費の大部分を占めるものであることから、工種区分として「海岸工事」を適用すべきであった。
したがって、本件工事の工種区分を「海岸工事」とすると、共通仮設費率は8.86%、現場管理費率は15.84%となって、工種区分を「道路改良工事」とした場合の率を大幅に下回ることとなり、工事費は141,607,015円となる。
このような事態が生じていたのは、同県において、積算基準に示されている工種区分についての理解が十分でなかったこと及び積算内容に対する審査が十分でなかったことによると認められる。
上記により、本件工事費を修正計算すると、積算過小となっていた切土工におけるダンプトラック運搬費572,000円を考慮しても、工事費総額は142,421,030円となり、本件工事費はこれに比べて5,111,000円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額2,811,050円が不当と認められる。
(166)道路改築事業の実施に当たり、設計及び施工が適切でなかったため、ボックスカルバート上部に設置した地覆・壁高欄が工事の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、栃木県が、一般国道408号道路改築事業の一環として、真岡市亀山地内において、一般国道408号と北関東自動車道に設置される真岡インターチェンジ(仮称)との連絡道路を新設するなどのため、平成13年度から15年度までの間に、ボックスカルバート(以下「カルバート」という。)及びその上部の地覆・壁高欄の築造、盛土等を工事費589,197,000円(国庫補助金324,058,350円)で実施したものである。
このうち、カルバート(延長15.5m、高さ8.1m、幅24.1m)は、その内部を国道本線とし、その上部をインターチェンジとの連絡道路として使用するものである。そして、カルバート上部には、車両の路外への転落防止などのために鉄筋コンクリート構造の地覆・壁高欄(高さ1.55m)を上り下り両線にそれぞれ38.1m、計76.2mを設置することとし、これにより施工している(参考図参照)。
上記の地覆・壁高欄のようなコンクリート構造物は、セメントの水和熱(注1)、外気温などによる温度変化や乾燥収縮などによりひび割れが発生することがあり、ひび割れの程度によっては、雨水等の浸透によりコンクリートの中性化(注2)や鉄筋腐食等の進行を速め、構造物の耐久性等の低下を著しく加速する可能性がある。
このため、コンクリート標準示方書(社団法人土木学会編)では、コンクリート構造物にこのようなひび割れが発生するのを防ぐために伸縮目地(以下「目地」という。)を設けることとし、設計図には目地の位置及び構造を明示しなければならないとしている。また、同県制定の土木工事共通仕様書では、目地について設計図等で特に明示していない場合であっても、請負者は瀝青(れきせい)系目地材料を厚さ1cm、施工間隔10m程度で施工することとしている。
2 検査の結果
検査したところ、本件地覆・壁高欄の設計及び施工が次のとおり適切でなかった。
すなわち、前記のとおり、コンクリート標準示方書では設計図には目地の位置及び構造を明示しなければならないとしているのに、本件地覆・壁高欄の設計図には目地の記載がなく、また、施工に当たっても土木工事共通仕様書に定めるような目地を全く設置していなかった。
このため、地覆・壁高欄の縦断方向の中央部付近に集中して26本のひび割れ(最大幅0.5mm)が生じており、中には車道側から路外側まで回っているものも見受けられ、出来形が著しく粗雑となっていて、鉄筋コンクリート構造物の耐久性等に大きな影響を与えるものとなっていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、設計図等に目地の位置及び構造を明示していなかったこと、施工が適切でなかったのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件カルバート上部の地覆・壁高欄(工事費相当額3,909,000円)は、設計及び施工が適切でなかったため、鉄筋コンクリート構造物としての耐久性等が著しく低くなっており工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額2,149,950円が不当と認められる。
| (注1) | セメントの水和熱 セメントの成分と水が化学反応してコンクリートが硬化する際、発生する熱のことをいう。 |
| (注2) | コンクリートの中性化 コンクリート表面から内部に侵入した大気中の二酸化炭素がコンクリートの主成分である水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムが生じ、これがコンクリートのアルカリ度を弱めて中性化させることをいう。中性化したコンクリートは、鉄筋を錆から守る機能が低下する。 |

(167)公営住宅家賃対策補助金の経理において、近傍住宅家賃の算定を誤ったため、補助金が過大に交付されているもの
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1 補助金の概要
公営住宅家賃対策補助金(以下「補助金」という。)は、公営住宅法(昭和26年法律第193号)に基づき、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸する公営住宅を管理している地方公共団体に対して、家賃に係る補助を行うために交付するものである。
その交付額は、次のとおり補助基本額を算定し、これに2分の1を乗じるなどして算定することとなっている。

そして、近傍同種の住宅の家賃の額(以下「近傍住宅家賃」という。)の構成要素の一つである土地部分の複成価格については、「公営住宅法の一部を改正する法律等の運用について」(平成8年建設省住総発第135号建設省住宅局長通知。以下「運用通知」という。)等によると、次のとおり算定することとなっている。
(ア)土地部分の複成価格については、1m2当たりの固定資産税評価額相当額に戸当たり敷地面積を乗じて算定する。
(イ)戸当たり敷地面積は、工事設計要領書作成要領(昭和50年建設省住建発第38号住宅局住宅建設課長通知)に定める1戸当たりの床面積を容積率で除して算出する。
(ウ)容積率は、公営住宅の総床面積を総敷地面積で除して算出する。この総敷地面積には、児童遊園等の共同施設の敷地に相当する部分は含めないこととなっている。
そして、本趣旨の周知徹底を図るために、国土交通省では、「公営住宅家賃対策補助金の取扱いについて」(平成12年建設省住公発第1号、建設省住事発第1号建設省住宅局住宅総務課公営住宅管理対策官、住宅整備課公共住宅事業調整官通知)を発しており、特に容積率については当該通知において、都市計画法(昭和43年法律第100号)に基づく都市計画で用途地域別に定められた容積率の数値をそのまま用いると、土地部分の複成価格が過大に算定されることがあるので注意することとされている。
群馬県前橋市では、公営住宅の家賃に係る補助金として、平成13年度62,559,000円(7棟補助対象戸数220戸)、14年度58,363,000円(8棟同277戸)、計120,922,000円の交付を受けている。
2 検査の結果
検査したところ、同市では、補助基本額の算定に当たり、土地部分の複成価格を算出する際の容積率について、運用通知に定める方法で算出した容積率(379%〜661%)によることなく、用途地域別に定められた容積率(第1種中高層住居専用地域の200%)をそのまま用いるなどして算出していた。このため、近傍住宅家賃が過大に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
このような事態が生じていたのは、同市において、補助金の交付申請に当たり、補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと及び補助金交付申請書の受理、審査を行う群馬県の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、適正な近傍住宅家賃により補助金額を算定すると、13年度57,266,000円、14年度58,102,000円となり、交付額との差額13年度5,293,000円、14年度261,000円、計5,554,000円が過大となっていて、不当と認められる。
(168)道路改築事業の実施に当たり、高架橋の詳細設計業務費の積算を誤ったため、事業費が割高となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、千葉県が、一般国道126号山武東総道路国道道路改築(その2)事業の一環として、平成14年度に、取立高架橋の鋼橋上部工等の詳細設計等業務(以下「詳細設計業務」という。)を事業費87,150,000円(国庫補助金47,932,500円)で実施したものである。
同県では、本件詳細設計業務の直接人件費については、同県制定の積算基準「計画調査編」に基づき、次のとおり積算していた。
〔1〕 鋼橋上部工の設計については、本件橋りょうが橋長481mの12径間連続PC床版鋼2主桁橋として、橋長補正式により算出するなどした補正係数3.9を標準歩掛によって得られる直接人件費に乗じて15,585,570円と積算していた。
〔2〕 橋脚下部工の設計については、橋脚が逆T式として、11橋脚のうち上部反力等が同一である5橋脚を1橋脚とみなし、残りの6橋脚と併せた7橋脚分を基に算出した補正係数を標準歩掛によって得られる直接人件費に乗じて2,564,000円と積算していた。
〔3〕 橋台・橋脚基礎工の設計については、場所打杭として、標準歩掛によって得られる直接人件費を橋台基礎工の場所打杭2基680,100円、橋脚基礎工の場所打杭11基3,612,800円、計4,292,900円と積算していた。
そして、上記〔1〕から〔3〕までの直接人件費22,442,470円に関連施設設計等の直接人件費を加えて計29,021,542円と積算していた。
その後、同県では、本件詳細設計業務の対象となる設計内容を次のとおり変更していた。
〔1〕 鋼橋上部工の設計については、12径間連続PC床版鋼2主桁橋から8径間連続PC床版鋼2主桁橋と4径間連続PC床版鋼2主桁橋に変更していた。
〔2〕 橋脚下部工の設計については、逆T式から張出式に変更していた。
〔3〕 橋台・橋脚基礎工の設計については、場所打杭から鋼管杭に変更していた。
2 検査の結果
検査したところ、詳細設計業務費の積算が次のとおり適切でなかった。
すなわち、同県では、本件詳細設計業務の対象となる設計内容を前記のとおり大幅に変更していたのに、これに対応した積算の見直しを行っていなかった。
したがって、変更した詳細設計業務の内容に対応した直接人件費を改めて積算すると次のとおりとなる。
〔1〕 鋼橋上部工の設計については、補正係数2.86を標準歩掛によって得られる直接人件費に乗じると11,429,418円となる(なお、当初の積算に用いた補正係数3.9は誤りであった。)。
〔2〕 橋脚下部工の設計については、11橋脚の上部反力がそれぞれ異なっているため、すべての橋脚を基に算出した補正係数を標準歩掛によって得られる直接人件費に乗じると5,413,600円となる。
〔3〕 橋台・橋脚基礎工の設計については、標準歩掛によって得られる直接人件費が橋台基礎工2基574,260円、橋脚基礎工11基2,936,000円、計3,510,260円となる。
そして、上記〔1〕から〔3〕までの直接人件費は20,353,278円となり、これに関連施設設計等の直接人件費を加えると、その他積算過小となっていた動的解析費を考慮しても、計27,268,081円となり、当初の直接人件費29,021,542円はこれに比べて1,753,461円過大に積算されていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、高架橋の設計内容を大幅に変更しているのに、その対応が十分でなかったことなどによると認められる。
上記により、本件事業費を修正計算すると、諸経費及び技術経費等を含めた事業費総額は82,719,000円となり、本件事業費はこれに比べて4,431,000円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額2,437,050円が不当と認められる。
(169)港湾環境整備事業の実施に当たり、共通仮設費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、千葉県が、千葉港港湾環境整備事業の一環として、袖ヶ浦市南袖地内の袖ヶ浦海浜公園において、レジャー施設を整備するため、平成13、14両年度に、大型遊具(すべり台、トンネルなどいくつかの遊具を組み合わせたもの)の製作、据付け等を工事費40,950,000円(国庫補助金20,475,000円)で実施したものである。
上記の大型遊具は、同公園の景観に配慮した形状にするなどのため、工場で特別に製作された注文品である。
同県では、県が制定した「積算基準(共通編・その1)」(以下「積算基準」という。)に基づき、工事費のうち、共通仮設費は直接工事費を対象とし、これに所定の率を乗ずるなどして算出することとしている。
そして、本件工事費については、専門業者から徴した見積書を参考にして算定した大型遊具の製品価格、据付費等の全額を、共通仮設費の算出の対象となる直接工事費とし、これにより共通仮設費を3,722,000円と積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、共通仮設費の積算が次のとおり適切でなかった。
すなわち、積算基準によれば、本件のような施工現場の状況に合わせて工場製作される大型遊具の製品価格については、共通仮設費の算出の対象となる直接工事費に含めないこととされているのに、同県では、この適用を誤って、大型遊具の製品価格22,250,000円を直接工事費に含め、これにより共通仮設費を積算していた。
したがって、大型遊具の製品価格を直接工事費に含めないこととして共通仮設費を算出すると791,000円となり、前記の積算額は2,931,000円過大となっていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、積算基準で示されている共通仮設費の算出対象となる直接工事費に対する理解及び工事費の積算に対する審査が十分でなかったことによると認められる。
上記により、本件工事費を修正計算すると、共通仮設費のほか、現場管理費等を含めた工事費総額は37,141,650円となり、本件工事費はこれに比べて3,808,350円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額1,904,175円が不当と認められる。
(170)緊急地方道路整備事業の実施に当たり、移転の対象となっていない店舗を含めて営業補償費を算定したため、補償費が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、新潟県が、都市計画道路3・4・2中通り線緊急地方道路整備事業の一環として街路を拡幅するため、南魚沼郡塩沢町大字塩沢地内に所在する会社所有の木造2階建ての店舗併用住宅等の移転に要する建物移転料、営業補償等の費用として、平成14、15両年度に86,127,100円(国庫補助金43,063,550円)を同社に補償したものである。
同県では、公共事業の施行に伴う損失の補償について、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年閣議決定)に準じて「新潟県の公共事業の施行に伴う損失補償基準」等を制定しており、本件補償はこれらに基づいて行うこととしていた。
このうち、営業補償費は、店舗の移転による休業期間中の損失として、営業用資産の減価償却費、従業員に対する休業手当相当額、休業による一時的な得意先喪失に伴う損失額、休業期間中の収益減等の各項目を合計して27,900,000円と算定し、これにより補償していた。
2 検査の結果
検査したところ、営業補償費の算定が次のとおり適切でなかった。
すなわち、本件補助事業において移転の対象となったのは、南魚沼郡塩沢町大字塩沢地内に所在する店舗であるので、この店舗の休業期間中の損失のみを営業補償費の算定対象とすべきであるのに、誤って移転の対象となっていない他の地域に所在する被補償者の複数の店舗の減価償却費や従業員の休業手当相当額を損失額に算入したり、また、移転の対象となっていない店舗を含めた売上高に対して売上減少率を乗ずるなどして得意先喪失に伴う損失額を算出したりなどしていたため、営業補償費が過大に算定されていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した営業調査積算業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
上記により、本件事業に要する適正な費用を算定すると計67,581,100円となり、本件事業費86,127,100円との差額18,546,000円が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額9,273,000円が不当と認められる。
(171)緊急地方道路整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、パイプカルバート等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、新潟県東頸城郡牧村が、緊急地方道路整備事業の一環として、同村下湯谷地内において、村道を拡幅するため、平成14年度に、土工、舗装工、横断施設工等を工事費60,589,200円(国庫補助金30,294,600円)で実施したものである。
上記のうち横断施設工は、道路の拡幅により付け替えが必要となる既存の排水管の機能を維持するなどのため、道路下を横断するパイプカルバート(以下「カルバート」という。)を4箇所(工事起点側の3号カルバートから終点側の6号カルバートまでの4箇所、延長計59.4m)に布設するもので、このうち、3号カルバートは管内径1,000mm、延長15.0m、4号カルバートは管内径450mm、延長9.0mとなっている。
同村では、カルバートの設計については、「道路土工カルバート工指針」(社団法人日本道路協会編。以下「指針」という。)により行っている。そして、その管種及び基礎形式については、指針に示されている「パイプカルバート基礎形式選定図」(以下「選定図」という。)により、管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍未満などの場合(この場合を「溝型」という。)の選定図を適用して決定している。
そして、3号カルバート及び4号カルバートについては、活荷重(注1)が作用する部分の土被り厚がそれぞれ1.50mから3.40m、0.48mから1.60mであることから、管種を遠心力鉄筋コンクリート管(1種管)、基礎形式を管の外周4分の1をコンクリートで固定する90度固定基礎とすれば、設計上安全であるとし、この管種及び基礎形式により施工していた(参考図参照)。
2 検査の結果
検査したところ、3号カルバート及び4号カルバートの設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、設計図面では、3号カルバートについては掘削底面の幅を2,400mm、法勾配(注2)5分で、4号カルバートについては掘削底面の幅を1,600mm、法勾配3分で掘削してカルバートを布設した後、所定の計画高さまで埋め戻すことにしている。このため、管頂部における埋戻し幅は3号カルバートで3,760mm、4号カルバートで2,000mmとなり、それぞれの管外径1,164mm、526mmの2倍以上となっている。そして、実際の施工においても、この設計図面に基づき、現地盤を掘削してカルバートを布設し、埋め戻していた。
しかし、このように管頂部の埋戻し幅が広い場合、カルバートに作用する土圧は溝型の選定図で想定されている土圧より大きくなり、土圧計算の対象となる範囲も広くなることから、指針によると、管種及び基礎形式の選定に当たっては、溝型ではなく、管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍以上あるなどの場合(この場合を「突出型」という。)の選定図を適用することとされている(参考図参照)。
そこで、両カルバートについて、突出型として前記の土被り厚に基づいて改めて応力計算を行うと、カルバートに生じる最大曲げモーメント(注3)が、3号カルバートで12.686kN・m、4号カルバートで1.756kN・mとなり、それぞれ、許容曲げモーメント(注3)6.377kN・m、1.530kN・mを大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
そして、3号カルバートの管頂部には、縦断方向にき裂が生じている状況であった。
このような事態が生じていたのは、同村において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件両カルバートの設計が適切でなかったため、そのカルバート延長計24.0m及びその上部の舗装等(これらの工事費相当額6,927,000円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額3,463,500円が不当と認められる。

| (注) | 寸法等の記載は、上段が3号カルバート、下段が4号カルバートのもの |
(172)公営住宅整備事業費補助金の交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、富山県下新川郡入善町が、公営住宅法(昭和26年法律第193号)に基づき、平成14、15両年度に、町営東町団地の公営住宅28戸(木造2階建9棟23戸、木造平家建2棟5戸)の建設を、事業費505,372,132円(国庫補助基本額409,200,000円)、国庫補助金204,600,000円で実施したものである。
補助金の額は、国土交通大臣が公営住宅の構造別、地区別等の区分ごとに毎年度定める1戸当たりの主体工事費及び附帯工事費(以下「1戸当たり工事費」という。)に建設戸数を乗じ、主体工事費及び附帯工事費(以下「主体附帯工事費」という。)を算定するなどして国庫補助基本額を算定し、これに補助率を乗じて算定することとされている。
そして、対象となる住戸の1戸当たり平均床面積(以下「平均床面積」という。)が公営住宅の構造別に定められた1戸当たり標準床面積(以下「標準床面積」という。)未満の場合には、平均床面積に応じて1戸当たり工事費を所定の算式により減額することとなっている。
また、建設に当たって、緊急通報システムを設置する工事(以下「緊急通報システム設置工事」という。)等を行う場合には、国土交通大臣が定める限度額の範囲内で、実際に要した工事費を、主体附帯工事費に加算(以下、この加算額を「特例加算額」という。)できることとなっている。
同町では、平均床面積が、木造2階建(23戸)については62.1m2、木造平家建(5戸)については48.8m2であり、標準床面積(木造2階建79.3m2、木造平家建74.7m2)未満であることから、1戸当たり工事費を所定の算式により減額し、また、緊急通報システム設置工事分6,750,000円を特例加算額として主体附帯工事費に加算するなどして、国庫補助基本額を409,200,000円と算定していた。
2 検査の結果
検査したところ、同町では、平均床面積については、補助金の交付の決定後に、木造2階建は62.1m2を60.3m2に、木造平家建は48.8m2を50.1m2に変更して建設しており、また、緊急通報システム設置工事については、実際に要した工事費が3,844,000円であった。
したがって、1戸当たり工事費については変更後の平均床面積で算定し、また、緊急通報システム設置工事に係る特例加算額については、実際に要した工事費を加算するなどして、国庫補助基本額を算定すべきであった。
そこで、本件国庫補助基本額を適正に算定すると402,160,000円となる。
このような事態が生じていたのは、同町において、本件補助制度についての理解が十分でなかったこと、また、富山県においても、同町から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことによると認められる。
したがって、これにより適正な補助金額を算定すると、201,080,000円となり、3,520,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
(173)空港整備事業の実施に当たり、施工が設計と相違していたため、進入灯橋りょうの橋脚等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、兵庫県神戸市が、神戸空港整備事業の一環として同市のポートアイランド沖に造成した空港島に新設する神戸空港の滑走路東側に、進入灯、進入灯台等の建設を工事費計739,567,500円(国庫補助金369,783,750円)で、平成14、15両年度に実施したものである。
この進入灯及び進入灯台は、同空港に滑走路東側から着陸する航空機に滑走路への進入経路を示すためのものであり、進入灯は滑走路東端から海上に向かって滑走路の延長線上420mの地点までの間の陸上部及び海上部に60m間隔で設置し、また、進入灯台は、同様に滑走路延長線上600m及び900mの地点に設置したものである。
これらのうち、海上部に設置する進入灯は、進入灯橋りょう(橋長153.1m)を新設し、その上部に灯器を設置したもので、この進入灯橋りょうは、下部工として滑走路側から海上部に向かって順に橋台、1P橋脚、2P橋脚、3P橋脚及び4P橋脚を築造し、その上部に鋼製の桁を架設したものである。また、進入灯台は、滑走路側から海上に向かって順に5P灯台下部工及び6P灯台下部工を築造し、その上部に灯器を設置したものである(参考図1参照)。

このうち14年度に築造した3P橋脚、4P橋脚、5P灯台下部工及び6P灯台下部工は、3P橋脚では鋼桁の受台部とこれを支持する鋼管杭(外径900mm)4本、4P橋脚では同様に受台部とこれを支持する鋼管杭(外径700mm)4本、5P灯台下部工及び6P灯台下部工では共に灯器の受台部とこれを支持する鋼管杭(外径600mm)3本からなっている(参考図2参照)。そして、上記の受台部はいずれも鉄筋コンクリート構造となっている。


設計図書等によると、上記の3P橋脚、4P橋脚、5P灯台下部工及び6P灯台下部工の受台部の下面側には、それぞれ橋軸方向及び橋軸直角方向に主鉄筋を配置することとしていた。さらに、これらの受台部の下面側には、鋼管杭と受台部を結合させる目的で鋼管杭の上端をコンクリート底面から杭の外径相当分の高さまで埋め込ませることとしていた。このため、主鉄筋の中には鋼管杭に遮られて分断され、連続して1本で配筋できなくなるものがあり、これらについては鋼管杭の外側に溶接された鉄筋受プレート(以下「プレート」という。)の上面に溶接することとし、鋼管杭を介して一体化することとしていた。
そして、このプレートの施工に当たっては、鋼管杭の外側を囲むように橋軸方向及び橋軸直角方向の四方に溶接することとしていた。また、これらのプレートの溶接に当たっては、橋軸方向と橋軸直角方向に配筋される主鉄筋が別々の高さに配筋されることから、これらの主鉄筋がプレートの上面に接するようにするため、次のように施工することとしていた。
(ア)橋軸方向のプレートは、受台部のコンクリート底面より134mmから139mmの高さに溶接する。
(イ)橋軸直角方向のプレートは、橋軸方向のプレートよりさらに33mmから47mm高い位置に溶接する。
上記のように施工すれば、鋼管杭に遮られている主鉄筋が鋼管杭を介して一体化されることから、設計計算では、受台部下面側の主鉄筋が途切れずに配置されているものとして計算していた。そして、地震時、暴風時等のうち、受台部下面側の主鉄筋において許容引張応力度(注)に対する引張応力度(注)の割合が最も高くなる暴風時(鋼桁及び受台部に風荷重等が作用した場合)について応力計算を行った結果、主鉄筋に生じる引張応力度は許容引張応力度(暴風時)を下回ることから安全であるとしていた。
2 検査の結果
検査したところ、受台部の施工が次のとおり適切ではなかった。
すなわち、橋軸方向のプレートは橋軸直角方向のプレートの高さに、橋軸直角方向のプレートは橋軸方向のプレートの高さに、それぞれ誤って設置していた。しかし、橋軸方向及び橋軸直角方向に配筋する主鉄筋については設計図面で示されている高さにそれぞれ施工していたため、橋軸方向に配筋した主鉄筋がプレートの下側の位置に、橋軸直角方向に配筋した主鉄筋がプレートの上側のかい離した位置になっており、プレートの上面に接していなかった。その結果、これらの主鉄筋はプレートと溶接されておらず、鋼管杭を介して一体化されていない状態になっていた(参考図3参照)。

そこで、上記について改めて応力計算を行うと、受台部の下面側主鉄筋に生じる引張応力度は、暴風時において3P橋脚が550.64N/mm2、4P橋脚が335.81N/mm2、5P灯台下部工及び6P灯台下部工が共に334.38N/mm2、また、地震時において5P灯台下部工及び6P灯台下部工が共に347.97N/mm2となり、いずれも許容引張応力度(暴風時)270N/mm2、許容引張応力度(地震時)300N/mm2を大幅に上回っており、応力計算上安全な範囲を超えている。
このような事態が生じていたのは、受台部の施工が設計と相違していたのに、これに対する同市の監督、検査が適切でなかったことによると認められる。
したがって、本件橋脚2基及び灯台下部工2基の受台部は、施工が設計と相違していて、これらの受台部、当該橋脚に架設された橋りょうの鋼桁、灯器等(工事費相当額98,637,000円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額49,318,500円が不当と認められる。
| (注) | 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生じる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。 |
(174)土地区画整理事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートの所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、北九州市上葛原第二土地区画整理組合(以下「組合」という。)が、土地区画整理事業の一環として、同市小倉南区上葛原地区において、区画整理地区内を流れる葛原川を付け替えるなどのため、平成14年度に、ボックスカルバート(延長計610.1m。以下「カルバート」という。)の築造等を工事費410,775,750円(国庫補助対象額408,057,700円、これに対する国庫補助金224,431,735円)で実施したものである。
上記カルバートは、鉄筋コンクリート構造で工場製作した上、葛原川の機能を維持するための水路として築造するもので、このうち、内空断面の幅2.0m(高さ2.5m、延長112.7m、土被り厚0.40m〜0.54m)及び幅2.5m(高さ2.0m、延長87.1m、土被り厚0.22m〜1.15m)のカルバートは、道路下にその道路に沿って施工されている。
そして、幅2.0m及び幅2.5mのカルバートについては、次のように設計し、これにより施工していた。
(1)カルバート上面には、自動車による活荷重(注1)が、カルバートの横方向と縦方向にそれぞれ次のように作用することとして、カルバートの設計計算を行っていた。
(ア)横方向については、カルバートに載荷される自動車は1台で、その片側車輪がカルバート中央に位置する場合が応力計算上最も不利な条件であるとし、この場合、左右両輪の間隔(1.75m)がカルバート中央から側壁の中心までの距離(幅2.5mのカルバートの場合1.35m)より広いことから、もう一方の車輪はカルバートの外側に位置することになるため、自動車0.5台分を基に計算した活荷重がカルバートに作用するとしていた(参考図1参照)。
(イ)縦方向については、活荷重が分布する幅をカルバート上の土被り厚にかかわりなく一律1mとしていた(参考図1参照)。
(2)カルバートの配筋図によると、底版等に配置する主鉄筋のうち、幅2.0m及び幅2.5mのカルバートの底版上面側については、カルバートの長さ1.5m当たり、次のとおり配置することとしていた。
(ア)幅2.0mのカルバートには、径13mmの鉄筋を12本配置する。
(イ)幅2.5mのカルバートには、径16mmの鉄筋を12本配置する。
2 検査の結果
検査したところ、カルバートの設計が次のとおり適切でなかった。
(1)カルバートが道路に沿って施工される場合の活荷重の計算については、「共同溝設計指針」(社団法人日本道路協会編)を用いることとされており、これによると、カルバート上面には、活荷重が次のように作用することとなる。
(ア)横方向には、自動車1台分を基に計算した活荷重が自動車の幅2.75mに均等に分布し、カルバートにはその分布した活荷重のうちカルバートの幅分だけ作用するとされている(参考図2参照)。このため、幅2.0mのカルバートには自動車0.8台分(計算上、活荷重が作用する幅である側壁の中心間隔2.22mを2.75mで除した割合分)を基に計算した活荷重が、また、幅2.5mのカルバートには自動車0.98台分(同様に活荷重が作用する幅2.7mを2.75mで除した割合分)を基に計算した活荷重がそれぞれ作用する。
(イ)縦方向には、活荷重が路面から下方に45度の角度で広がり、土被り厚に応じた幅に分布するため、カルバートに作用する活荷重の大きさは、その分布幅に応じて変化することとなる(参考図2参照)。したがって、土被り厚が小さい場合は、分布幅が小さいので単位面積当たりの活荷重は大きくなるが、土被り厚が大きい場合は分布幅が大きいので単位面積当たりの活荷重は小さくなる。
しかし、本件カルバートの設計において、活荷重を算定する際、横方向については、前記のとおり算定の基となる自動車の台数を0.8台分又は0.98台分とすべきところ0.5台分としたため、自動車の台数が過小となっていた。
また、縦方向については、上記のとおり下方に45度の角度で広がる活荷重の分布幅は土被り厚の大小により大きくなったり小さくなったりすることから、前記のとおり土被り厚にかかわらず一律とした分布幅は、土被り厚が大きい場合には、前記指針に基づいて計算した分布幅よりも小さく見込んだことになり、単位面積当たりの活荷重を過大に、また、土被り厚が小さい場合には、分布幅を大きく見込んだことになり、単位面積当たりの活荷重を過小に計算していたこととなる。
これらの結果、本件カルバートのうち土被り厚が小さい区間では、カルバートに作用する活荷重が過小に計算されていた。
(2)本件カルバートの設計の基礎となっている設計計算書によれば、底版等に配置する主鉄筋のうち、幅2.0m及び幅2.5mのカルバートの底版上面側については、カルバートの長さ1.5m当たり、次のとおりに主鉄筋を配置すれば、主鉄筋に生ずる引張応力度(注2)(常時(注3))が鉄筋の許容引張応力度(注2)(常時)を下回ることなどから、応力計算上安全であるとしていた。
(ア)幅2.0mのカルバートには、径13mm及び16mmの鉄筋をそれぞれ6本ずつ計12本配置する。
(イ)幅2.5mのカルバートには、径16mm及び19mmの鉄筋をそれぞれ6本ずつ計12本配置する。
しかし、配筋図を作成する際、誤って前記1(2)の(ア)及び(イ)のとおりに配置することとしていた。
そこで、本件カルバートについて、改めて応力計算を行うと、底版上面側の主鉄筋に生ずる引張応力度(常時)が、幅2.0mのカルバートの全延長112.7mでは、最大で243.8N/mm2となり、幅2.5mのカルバート延長87.1mのうち土被り厚が0.62m以下となっている延長32.5mでは、最大で347.7N/mm2となって、いずれも許容引張応力度(常時)180.0N/mm2を大幅に上回るなどしていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
このような事態が生じていたのは、組合において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件カルバートは、設計が適切でなかったため、幅2.0mのカルバートの全延長112.7m及び幅2.5mのカルバートのうち延長32.5m(これらの工事費相当額48,565,000円、うち国庫補助対象額48,243,000円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額26,533,650円が不当と認められる。


(175)公共下水道事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、汚泥混合槽の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、熊本県熊本市が、公共下水道事業の一環として、同市秋津町秋田地内の東部浄化センターの敷地内において、沈殿池から発生する汚泥を混合しその濃度を調整するため、平成13、14両年度に、汚泥混合槽の築造を工事費57,592,500円(うち国庫補助対象額54,553,731円、国庫補助金30,004,552円)で実施したものである。
この汚泥混合槽は、縦、横ともに11.4m、高さ4.8mの鉄筋コンクリート構造で、く体と一体となった中壁により、汚泥を混合する混合槽と汚泥排出のための機械設備等を設置するポンプ室とに仕切られている(参考図1参照)。
そして、汚泥混合槽のく体に配置する主鉄筋については、配筋図によると、中壁を挟んだ2連の中空断面の部分(以下「A断面」という。)及び中壁のない中空断面の部分(以下「B断面」という。)の2つの断面に分けて、表1のとおりに配置することとし、これにより施工していた(参考図2参照)。
| 表1 配筋図による主鉄筋の配置 |
| 断面 | 箇所 | 配筋図 |
| A断面 | 下隅角部外側 | 径16mm 25cm間隔 |
| 底版下面側 | 径16mm 25cm間隔 | |
| 中壁 | 径13mm 25cm間隔 | |
| B断面 | 上隅角部外側(左側) | 径19mm 25cm間隔 |
| 下隅角部外側(左側) | 径16mm 25cm間隔 |
2 検査の結果
検査したところ、本件汚泥混合槽のく体の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、汚泥混合槽のく体の設計の基礎となっている設計計算書によると、表2のとおりに主鉄筋を配置すれば、常時(注1)、地震時とも、主鉄筋に生ずる引張応力度(注2)が鉄筋の許容引張応力度(注2)を下回ることなどから、応力計算上安全であるとしていた。
| 表2 設計計算書による主鉄筋の配置 |
| 断面 | 箇所 | 設計計算書 |
| A断面 | 下隅角部外側 | 径22mm 25cm間隔 |
| 底版下面側 | 径22mm 25cm間隔 | |
| 中壁 | 径16mm 25cm間隔 | |
| B断面 | 上隅角部外側径 | 径29mm 12.5cm間隔 |
| 下隅角部外側径 | 径22mm 25cm間隔 |
しかし、配筋図を作成する際、隅角部や底版及び中壁の主鉄筋について、表2のとおりの径及び間隔とすべきところを、誤って、表1のような径及び間隔としていた。
そこで、隅角部や底版及び中壁の主鉄筋について改めて応力計算を行うと、表3のとおりの結果となり、それぞれ応力計算上安全な範囲を超えており、このうちA断面の底版下面側及び中壁、B断面の上隅角部外側及び下隅角部外側において応力計算上安全な範囲を大幅に超えている。
| 表3 応力計算上安全な範囲を超えている主鉄筋の配置箇所 |
| 断 面 |
箇所 | 検討箇所 | 主鉄筋に生ずる引張応力度(N/mm2) | 鉄筋の許容引張応力度(N/mm2) |
| A 断 面 |
下隅角部外側 | 右側側壁 | 284.47(地震時) | 270.00(地震時) |
| 左側側壁 | 291.29(地震時) | 270.00(地震時) | ||
| 底版下面側 | 中央 | 318.42(常時) | 160.00(常時) | |
| 中壁 | 下端 | 456.26(地震時) | 270.00(地震時) | |
| B 断 面 |
上隅角部外側 | 頂版左側 | 377.81(常時) | 160.00(常時) |
| 360.79(地震時) | 270.00(地震時) | |||
| 左側側壁 | 354.77(常時) | 160.00(常時) | ||
| 365.60(地震時) | 270.00(地震時) | |||
| 下隅角部外側 | 左側側壁 | 211.59(常時) | 160.00(常時) | |
| 300.01(地震時) | 270.00(地震時) |
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件汚泥混合槽(工事費相当額31,850,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額17,517,500円が不当と認められる。
| (注1) | 常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。 |
| (注2) | 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。 |


(176)公共下水道事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、ポンプ室の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、熊本県熊本市が、公共下水道事業の一環として、同市龍田地内において、中継ポンプ場を建設するため、平成14年度にポンプ室、階段室等の築造を、工事費60,088,000円(うち国庫補助対象額46,679,051円、国庫補助金23,339,526円)で実施したものである。
このうちポンプ室は、全長7.6m、全幅5.1m、高さ6.8mの鉄筋コンクリート構造で、中壁によって水槽室と機械室に仕切られている(参考図参照)。
同市では、ポンプ室の水槽室側壁(以下「B側壁」という。)及び機械室側壁(以下「C側壁」という。)の外側に配置する主鉄筋については、配筋図において径16mmの鉄筋を横方向に25cm間隔に配置することとしており、これにより施工していた。
2 検査の結果
検査したところ、ポンプ室の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、B側壁及びC側壁の外側に配置する主鉄筋については、本件ポンプ室の設計の基礎となっている設計計算書において、径22mmの鉄筋を横方向に25cm間隔に配置すれば、主鉄筋に生じる引張応力度(注1)が許容引張応力度(注1)を下回ることから、応力計算上安全であるとしていたが、配筋図を作成する際、誤って前記のとおり径16mmの鉄筋を横方向に25cm間隔に配置することとしていた。
そこで、改めてB側壁及びC側壁の外側両端部の主鉄筋に生じる引張応力度(常時(注2))を計算すると、B側壁では186.76N/mm2となり、鉄筋の許容引張応力度(常時)160N/mm2を上回っており、C側壁では232.06N/mm2となり、160N/mm2を大幅に上回っていて、いずれも応力計算上安全な範囲を超えている。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件ポンプ室(工事費相当額30,416,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額15,208,000円が不当と認められる。
| (注1) | 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。 |
| (注2) | 常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。 |

(177)河川改修事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、樋門等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、宮崎県が、広域河川改修事業の一環として、宮崎郡佐土原町大字上田島地区において、追手川放水路と二級河川三財川の合流部における治水上の安全を確保するため、平成12、13両年度に、樋門、護岸等の築造を工事費110,500,000円(国庫補助金55,250,000円)で実施したものである。
このうち、樋門は、追手川放水路から三財川への通水を確保するため、三財川の河川堤防を横断して設置するもので、中央に隔壁を設けた鉄筋コンクリート構造のボックスカルバート(延長19m、内空断面が左右それぞれ幅5.7m、高さ3.1m)となっており、継手により3ブロックに分かれている(参考図参照)。
樋門の設計は、「建設省河川砂防技術基準(案)同解説」(社団法人日本河川協会編。以下「技術基準」という。)等に基づき行われている。技術基準等によると、樋門は、設計荷重に対して安全な構造となるよう、底版、側壁等の各部材にとって想定される最も不利となる荷重条件で設計する必要があるとされている。
そして、本件樋門の設計の基礎となっている設計計算書によると、第2ブロック(延長8.3m)の底版の主鉄筋については、最も不利となる荷重条件を、樋門の内部が中空で、外部の水位が頂版より上としたときとし、また、底版の厚さについては100cmとして応力計算を行っていた。
その結果、上面側に径19mmの鉄筋を、下面側に径22mmの鉄筋をそれぞれ25cm間隔に配置すれば、主鉄筋に生ずる引張応力度(注1)(常時)(注2)が許容引張応力度(注1)(常時)を下回ることから応力計算上安全であるとして、これにより施工していた。
2 検査の結果
検査したところ、第2ブロックの底版の設計が、次のとおり適切でなかった。
(1)荷重条件は、樋門の内部が中空で外部の水位が頂版より上としたとき、側壁については最も不利となるが、底版については、樋門の内部が中空で外部の水位が底版より下としたとき最も不利となることから、これにより応力計算を行うべきであった。
(2)応力計算を行う際、底版の厚さを80cmで計算すべきところ、誤って100cmとしていた。
そこで、改めて底版の主鉄筋に生ずる引張応力度を計算すると、上面側については1,856kgf/cm2、下面側については2,017kgf/cm2となり、鉄筋の許容引張応力度1,600kgf/cm2を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件樋門の第2ブロックは、設計が適切でなかったため、第2ブロック及びその上部の盛土等(これらの工事費相当額18,421,000円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額9,210,500円が不当と認められる。
| (注1) | 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生じる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。 |
| (注2) | 常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。 |
