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  • 平成15年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第19 国が発注している調査研究事業について|
  • 2 検査の状況

(4)事業の実施についての事前調査及び見直しの検討状況


(4)事業の実施についての事前調査及び見直しの検討状況

 調査研究事業について新規に契約する場合には、予算の効率的使用の観点から、既存データの利用可能性を調査し、事業の重複を回避することは重要であり、また、複数年度にわたり同一業務に係る契約を年度ごとに締結しているものについては、事業環境の変化等に対応した見直しの検討が必要である。特に、同一の契約相手方と継続して行っている契約については、事業の透明性を確保するためにも、十分な見直しの検討が必要と考えられる。

ア 新規契約における既存データの利用可能性の調査

 新規に調査研究事業を実施するに当たり、事前に府省等内外にある既存データの利用可能性について調査を行っているかどうかをみると、図12のとおり、新規契約件数2,380件のうち、1,219件(新規契約件数全体の51.2%)についてはこれを行っているとしている。

図12 既存データの利用可能性に関する調査の有無

図12既存データの利用可能性に関する調査の有無

 そして、その調査方法をみると、図13のとおり、他府省等への照会が331件(新規契約件数全体の13.9%)、民間への照会が385件(同16.1%)、インターネットによる検索が747件(同31.3%)、文献による調査が913件(同38.3%)となっていて、文献やインターネットによる調査の割合が他の調査方法と比べて高くなっている。一方、実施する調査研究事業が先端的内容のため既存のデータがないなどとして事前に調査を行っていないとしているものが1,161件(同48.7%)となっている。

図13 調査方法の状況

図13調査方法の状況

(注)
既存データの利用可能性について複数の調査を行っているものがあるため、調査方法別の合計は、調査を行っている新規契約件数1,219件とは一致しない。

イ 同一継続契約に係る見直しの検討状況

(ア)同一継続契約の状況

 継続契約1,020件の中には、表12のとおり、調査研究事業の年度別の全体計画をあらかじめ定めて実施しているもの574件、454億余円と、全体計画をあらかじめ定めずに実施しているもの446件、746億余円とがある。このうち、全体計画を定めずに同一の契約相手方と締結している継続契約(以下「同一継続契約」という。)は、表13のとおり、431件、739億余円あり、これらについて調査したところ、次のような状況となっていた。
 同一継続契約が継続している期間をみると、10年以上実施しているものが95件、303億余円、5年以上10年未満実施しているものが79件、99億余円、2年以上5年未満実施しているものが257件、336億余円あり、10年以上実施しているものが同一継続契約全体のうち、件数で22.0%、契約金額で41.0%を占めている。

表12 継続契約における計画の有無

(単位:件、百万円)

計画の有無 契約開始年度 契約件数 契約金額
計画 有 11年度以前 172 12,518
12年度 109 8,994
13年度 293 23,890
小計 574 45,404
計画 無 11年度以前 234 42,756
12年度 73 9,235
13年度 139 22,644
小計 446 74,636
合計 1,020 120,040
(注)
統計法(昭和22年法律第18号)等の法令に基づいて毎年実施されているものも含む。


表13 同一継続契約に係る継続期間の分布状況

(単位:件、百万円、%)

継続期間 契約件数 契約金額
件数 割合 金額 割合
10年以上 95 22.0 30,316 41.0
5年以上10年未満 79 18.3 9,969 13.4
2年以上5年未満 257 59.6 33,619 45.4
合計 431 100 73,904 100

 また、同一継続契約について、契約相手方別にみると、図14のとおり、公益法人が相手方となっているものが63.1%と他の契約相手方と比べて多くなっている。

図14 同一継続契約の契約相手方別の分類

図14同一継続契約の契約相手方別の分類

(イ)同一継続契約における契約の見直しの検討状況

 同一継続契約431件のうち、13年度又は14年度において、過去の契約の実施状況を踏まえて契約の内容、実施期間、契約相手方、継続の必要性の有無等の見直しの検討をしたとしているものは、80.7%を占める348件となっている。
 そして、上記348件について見直しを検討した部局等の状況をみると、図15のとおり、担当課の担当者だけで検討しているものが22件、6.3%、担当課だけで検討しているものが278件、79.8%、担当課以外の者が参加して検討しているものが23件、6.6%、専門委員会を設置して検討しているものが21件、6.0%となっており、「調査」等のいずれにおいても担当課だけで見直しを検討しているものの割合が最も高い状況となっている。

図15 見直しを検討した部局等

図15見直しを検討した部局等

 また、前記348件について、見直しを検討した対象別の状況をみると、表14のとおり、契約の内容は312件、89.6%、実施期間は130件、37.3%、契約相手方は151件、43.3%、継続の必要性の有無は211件、60.6%となっており、「調査」等のいずれにおいても実施期間、契約相手方又は継続の必要性の有無について見直しを検討しているものの割合は、契約の内容について見直しを検討しているものの割合に比べて低い状況となっている。

表14 見直しを検討した対象

(単位:件、%)

検討対象
契約内容
契約の内容 実施期間 契約相手方 継続の必要性の有無 その他 合計
件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数
調査 165 88.2 58 31.0 69 36.8 113 60.4 5 2.6 187
統計調査 23 92.0 2 8.0 13 52.0 10 40.0 1 4.0 25
研究 78 91.7 50 58.8 44 51.7 53 62.3 4 4.7 85
検討 46 90.1 20 39.2 25 49.0 35 68.6 2 3.9 51
合計 312 89.6 130 37.3 151 43.3 211 60.6 12 3.4 348
(注)
見直しを検討した対象が複数あるため、検討対象別の件数の合計は合計欄の数字とは一致しない。