ページトップ
  • 平成15年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第19 国が発注している調査研究事業について

3 本院の所見


3 本院の所見

 国が行う調査研究事業については、近年の社会経済情勢の変化や行政組織等の減量化等に伴い、高度な技術や専門性を有した外部機関に発注して実施しているものが多数あり、これに係る契約金額も多額に上っている。
 そこで、本院において、国が発注している調査研究事業について、各府省等を横断的に検査したところ、
〔1〕 競争契約の割合は極めて低く、また、随意契約においても企画競争を実施しているものは少ない
〔2〕 予定価格の積算については、積算体系を確立しにくい側面があって相手方から徴した参考見積書により算定しているものが相当程度見受けられ、概算契約における額の確定においては契約金額と同額で精算されているものが多い
〔3〕 成果物については、半数以上がその内容を公表しているが、近年普及してきたインターネットにより公表されているものは低い割合にとどまっている
などの状況となっていた。
 今後、複雑かつ多様化する国の施策を進めていくためにも、また、基礎的、応用的な研究を推進していくためにも、国が発注する調査研究事業については、その経済的、効率的な実施とともに、質の高い成果物の取得と成果の有効な活用が一層重要となってきている。
 したがって、調査研究事業を発注している各府省等においては、次のような点に留意して、より経済的、効率的に事業を実施するとともに、事業の一層の透明性の向上を図り、その成果が様々な施策を遂行する国の機関のみならず広く国民にも活用されることが望まれる。
(1)事業の実施に当たっては、事前に他の調査研究の実施状況やその成果の把握に努め、また、継続契約においては社会経済情勢の変化に対応した見直しの検討を常に行うなどした上で、業務内容を仕様書等において具体的に提示することや履行が可能な複数の業者を把握することに努めて競争契約の拡大を図ったり、仕様書等の具体的な提示が困難なものについて随意契約によらざるを得ない場合は、質の向上に資するためにも企画競争の可能性を検討したりして、契約における競争性及び透明性を高めること
(2)積算体系を確立することが困難な側面があって、相手方から徴した参考見積書により予定価格の積算を行う場合が多い状況となっていることも踏まえ、積算の合理性の向上に努め、また、契約締結後においては、再委託の状況等を十分把握するとともに、事業終了後の額の確定を一層適正に行うこと
(3)事業の成果物については、個人情報の保護、機密保持等に十分留意しつつ、一層積極的に公表を進めるとともに、インターネットでの公表の拡大等、事業の成果が関係府省等のみならず国民にもより広く活用できるような方途を講じること