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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金(45)—(201)

保健事業費等負担金の経理において、健康診査の単価の適用を誤るなどしたため負担金が過大に交付されているもの


(51)—(53)保健事業費等負担金の経理において、健康診査の単価の適用を誤るなどしたため負担金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)保健衛生諸費
部局等の名称 東京都ほか2県
国庫負担の根拠 老人保健法(昭和57年法律第80号)
補助事業者
(事業主体)
青梅市ほか2市
国庫負担対象事業 保健事業(健康診査)
国庫負担対象事業の概要 壮年期からの健康についての認識と自覚の高揚を図るため、住民に対し基本健康診査等の診査及び診査に基づく指導を行うもの
上記に対する国庫補助金交付額 301,505,343円 (平成14、15両年度)
不当と認める国庫補助金交付額 16,400,816円 (平成14、15両年度)

1 負担金の概要

 保健事業費等負担金(健康診査費分)(以下「負担金」という。)は、老人保健法(昭和57年法律第80号)に基づき、壮年期からの健康についての認識と自覚の高揚を図ることを目的に、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、その区域内に居住地を有する40歳以上の者に対し、基本健康診査や歯周疾患検診等の診査及び当該診査に基づく指導を行う健康診査の実施に要する経費の一部を、国が負担するものである。
 この負担金の交付額は、交付要綱に基づき、次のとおり算定することとなっている。
〔1〕 診査の種類ごとに定められている基準単価(基本健康診査については、更に集団検診、医療機関一括方式、医療機関個別方式等の実施方法ごとに定められている。)から、受診者等から徴収する額について診査の種類ごとに定められている徴収基準額(基本健康診査については、更に実施方法ごとに定められている。)を控除した額に、それぞれの受診人員数を乗じて得た額の合計額を基準額とする。
〔2〕 〔1〕により算出された基準額、補助対象経費の実支出額及び総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額を比較して最も少ない額に3分の1を乗じて得た額を交付額とする。
 そして、基本健康診査の実施方法のうち、集団検診は、市町村が医師等を雇い上げるなどして、市町村保健センターや公民館等の施設で基本健康診査を実施するものとされ、医療機関一括方式は、医療機関に委託して、その医療機関の施設において、期日、時間を定めて、その間専ら基本健康診査を実施するものとされている。また、医療機関に委託している場合であっても、基本健康診査の実施場所がその医療機関の施設でない場合には、集団検診に該当することとされている。

2 検査の結果

 北海道ほか19都府県の185市町について検査したところ、東京都ほか2県の3市において、40歳未満の住民に対して実施した基本健康診査の受診人員数を負担金算定の対象に含めたり、基本健康診査の実施方法が集団検診に該当するのに、集団検診の基準単価ではなく医療機関一括方式の基準単価を適用したりなどして、負担金の交付額を算定していたため、負担金交付額計301,505,343円のうち計16,400,816円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、3市において交付要綱等を十分に理解していなかったこと、3都県において実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを事業主体別に示すと次のとおりである。

 

 
都県名
事業主体
年度
国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金交付額 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金交付額
 
千円
千円
千円
千円
(51)
長野県
松本市
14、15
450,011
150,003
23,715
7,905

 松本市では、負担金の交付額の算定に当たり、平成14、15両年度において、40歳未満の住民に対して実施した基本健康診査の受診人員数を負担金算定の対象に含めたり、14年度において、医療機関に委託して市の出張所等を診査会場として実施した基本健康診査について、医療機関一括方式の基準単価(8,058円)を適用したりなどしていた。
 しかし、40歳未満の住民に対する基本健康診査は、負担金算定の対象とすることはできない。また、医療機関に委託して市の出張所等を診査会場としていた同市の基本健康診査の実施方法は、実施場所が委託先の医療機関の施設ではないことから、医療機関一括方式ではなく、集団検診に該当し、集団検診の基準単価(4,306円)を適用すべきであったと認められる。
 したがって、40歳未満の受診人員数を除外し、医療機関に委託して市の出張所等で実施した基本健康診査については集団検診の基準単価を適用するなどして14、15両年度の適正な負担金の交付額を算定すると計142,098,472円となり、交付額との差額計7,905,326円が過大に交付されていた。

(52)
東京都
青梅市
14、15
258,677
86,225
6,308
2,102
(53)
愛知県
安城市
14、15
195,826
65,275
19,177
6,392

 上記の2市では、負担金の交付額の算定に当たり、平成14、15両年度において、医療機関に委託して市の健康センターや保健センターを診査会場として実施した基本健康診査について、医療機関一括方式の基準単価(14年度8,058円、15年度7,933円)を適用していた。
 しかし、上記の基本健康診査の実施方法は、実施場所が委託先の医療機関の施設ではないことから、医療機関一括方式ではなく、集団検診に該当し、集団検診の基準単価(14年度4,306円、15年度4,267円)を適用すべきであったと認められる。
 したがって、医療機関に委託して市の健康センター等で実施した基本健康診査については集団検診の基準単価を適用して14、15両年度の適正な負担金の交付額を算定すると、青梅市については計84,123,046円、安城市については計58,883,009円となり、交付額との差額、それぞれ計2,102,887円、計6,392,603円が過大に交付されていた。

(51)—(53) の計
904,516
301,505
49,202
16,400