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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 補助金(213)—(229)

新事業支援施設整備事業の実施に当たり、仕入税額控除した消費税額に係る補助金を返還していないもの


(213)新事業支援施設整備事業の実施に当たり、仕入税額控除した消費税額に係る補助金を返還していないもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)経済産業本省 (項)地域経済活性化対策費
部局等の名称 九州経済産業局
補助の根拠 予算補助
補助事業者
(事業主体)
株式会社久留米リサーチ・パーク
補助事業 新事業支援施設整備
補助事業の概要 中小・ベンチャー企業を効果的・効率的に育成するため、平成15年度に新事業支援施設を整備するもの
事業費 418,946,150円  
  (うち補助対象事業費376,000,000円)
上記に対する国庫補助金交付額 188,000,000円  
不当と認める事業費 17,904,761円  
不当と認める国庫補助金交付額 8,952,380円  

1 補助事業の概要

(補助事業の概要)

 この補助事業は、株式会社久留米リサーチ・パーク(福岡県久留米市)が、新事業支援施設整備事業の一環として、中小・ベンチャー企業を効果的・効率的に育成するため、平成15年度にバイオ分野に特化したビジネス・インキュベータ(注) を整備したものである。
 同会社では、本件補助事業を消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)を含め、事業費418,946,150円(うち補助対象事業費376,000,000円、これに対する国庫補助金188,000,000円)で実施している。そして、16年3月に九州経済産業局に実績報告書を提出し、これにより国庫補助対象事業費の精算を受けていた。

(補助事業における消費税の取扱い)

 消費税は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生じるが、生産、流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」といい、控除する額を「消費税仕入控除税額」という。)する仕組みが採られている。
 そして、補助事業の事業主体が補助対象の施設等を取得することも課税仕入れに該当し、上記の仕組みにより確定申告の際に課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除した場合には、事業主体は補助事業で取得した施設等に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。
 このため、補助事業の事業主体は、「新事業支援施設整備費補助金交付要綱」(平成14・04・25財地第1号)により、実績報告書の提出後に、消費税の申告により課税売上高に対する消費税額から補助事業に係る消費税額を課税仕入れに係るものとして控除し、補助金に係る消費税仕入控除税額が確定したときには、その金額を速やかに報告するとともに、当該金額を返還しなければならないこととなっている。

2 検査の結果

 検査したところ、同会社は16年5月に消費税の確定申告を行い、本件補助対象事業に係る消費税額17,904,761円を課税仕入れに係る消費税額として控除し、同年6月に消費税の還付を受けていた。
 しかし、同会社では、上記の消費税仕入控除税額17,904,761円のうち本件補助金に係る額8,952,380円を報告、返還しておらず、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同会社において、補助事業における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、九州経済産業局において、本件補助事業の消費税の取扱いについての指導及び確認が十分でなかったことによると認められる。

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