平成16年度
第3章 個別の検査結果
第1節 省庁別の検査結果
第11 国土交通省
不当事項
補助金(231)―(246)
1 補助金の概要
国土交通省(平成13年1月5日以前は、北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省)所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省では、この事業に要する経費について、事業主体に対して補助金を交付している。
2 検査の結果
北海道ほか44都府県及びその管内の市町村等を検査した結果、8府県及び7府県管内の8市町計16事業主体が実施した公営住宅家賃対策補助、緊急地方道路整備事業等の16事業に係る国庫補助金172,972,526円が不当と認められる。
これを不当の態様別に示すと次のとおりである。
| 〔1〕 補助金の交付額の算定が適切でないもの | |||
| 6事業 | 不当と認める国庫補助金 | 62,456,000円 | |
| 〔2〕 工事の設計が適切でないもの | |||
| 3事業 | 不当と認める国庫補助金 | 72,616,050円 | |
| 〔3〕 工事の設計及び施工が適切でないもの | |||
| 3事業 | 不当と認める国庫補助金 | 25,701,500円 | |
| 〔4〕 用地費及び補償費の算定が適切でないもの | |||
| 3事業 | 不当と認める国庫補助金 | 7,871,476円 | |
| 〔5〕 工事費の積算が過大となっているもの | |||
| 1事業 | 不当と認める国庫補助金 | 4,327,500円 | |
また、これを個別に示すと次のとおりである。
(231)通常砂防事業の実施に当たり、鉄線籠型多段積護岸の基礎部の保護工の設計及び施工が適切でなかったため、工事の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、宮城県が、通常砂防事業の一環として、宮城県栗原郡花山村字坂下地内の御番沢において、洪水時に発生する土砂が下流域に流出するのを防止するなどのため、平成15、16両年度に、床固工、護岸工等を工事費104,300,700円(国庫補助金52,150,350円)で実施したものである。
このうち、護岸工は、洪水時に流水が河岸に強く当たる右岸側4箇所に、割栗石(粒径が15cm〜20cm)を中に詰めて製作した鉄線籠(縦0.5m、横1.0m、長さ15m〜39m)を多段に積み重ねて、連結した一体構造とし、高さ3m〜5mの鉄線籠型多段積護岸(以下「多段積護岸」という。4箇所、延長計84m)を築造するものである。
そして、多段積護岸については、基礎部の前面河床が洗掘されると、護岸全体の安定が損なわれるおそれがあるので、「鉄線籠型多段積護岸工法設計・施工技術基準(試行案)」(社団法人全国防災協会編。建設省河川局防災・海岸課編集、以下「技術基準」という。)に基づき、基礎部の保護工法については、鉄線籠を多段積護岸本体の前面に並べて接するように設置する並列式として、設計し、施工していた(参考図1参照)。
また、技術基準によれば基礎部の保護工法を並列式とする場合は、多段積構造本体に影響を与えないために、前面の鉄線籠は護岸本体との連結を避け、分離して設けるものとされている。
2 検査の結果
検査したところ、多段積護岸の基礎部の保護工の設計及び施工が、次のとおり適切でなかった。
すなわち、前記のとおり、技術基準では、多段積護岸の基礎部の保護工法を並列式とする場合には、多段積護岸本体に影響を与えないために前面に並べて設置する鉄線籠と多段積護岸本体を分離して設けるものとするよう明記されているのに、これが設計図書には明確に記載されていなかった。また、施工に当たって、請負業者が多段積護岸の基礎部の保護工についての理解が十分でなかったため、前面に設置された基礎部の保護工である鉄線籠と多段積護岸本体をコイル(らせん状に巻いた鉄線)で連結していた(参考図2参照)。
このため、鉄線籠と多段積護岸本体とが一体構造となっている状況であり、河床が洗掘を受け基礎部の保護工である鉄線籠に沈下等の変状が生ずると、多段積護岸本体に影響を及ぼし護岸全体の安定が損なわれるおそれがあるものとなっていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、設計図書に多段積護岸の基礎部の保護工法を明確に記載していなかったこと、また、請負業者が多段積護岸の基礎部の保護工法についての理解が十分でないまま施工していたのに、これに対する同県の監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件多段積護岸(工事費相当額10,402,000円)は設計及び施工が適切でなかったため、その安定が損なわれるおそれがあり、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額5,201,000円が不当と認められる。
技術基準による多段積護岸の基礎部の保護工法(並列式)
(232)公共下水道事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、水管橋の橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、山形県西村山郡大江町が、大江町公共下水道事業の一環として、同町大字左沢地内の月布川に下水道の水管橋(橋長42.1m)を新設するため、平成15、16両年度に、橋台2基、護岸等の築造、鋼製の上部工(トラス形式)及びステンレス鋼製の下水道管(内径20cm)の製作・架設等を工事費68,067,300円(国庫補助金34,033,650円)で実施したものである。
このうち、左岸側及び右岸側の両橋台は鉄筋コンクリート構造の逆T式橋台となっている(参考図1参照)。
そして、左岸側橋台のつま先版の下面側に配置する主鉄筋については、配筋図によると、径16mmの鉄筋を25cm間隔で配置することとなっており、これにより施工していた(参考図2参照)。
2 検査の結果
検査したところ、左岸側橋台のつま先版の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、本件橋台の設計の基礎となっている設計計算書では、橋台の設計計算を「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編)に基づき行っている。この設計計算書によると、左岸側橋台のつま先版の下面側に配置する主鉄筋については、径16mmの鉄筋を、12.5cm間隔で配置すれば、主鉄筋に生ずる引張応力度(注)が許容引張応力度(注)を下回ることから、応力計算上安全であるとしていた(参考図2参照)。
しかし、配筋図を作成する際、つま先版下面側の主鉄筋について、設計計算どおりの間隔とすべきところを、誤って前記のとおり25cm間隔としていた。
そこで、左岸側橋台について改めて応力計算を行うと、地震時において、つま先版下面側の主鉄筋に生ずる引張応力度は435.65N/mm2となり、許容引張応力度300N/mm2を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
このような事態が生じていたのは、同町において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件水管橋は、左岸側橋台の設計が適切でなかったため、同橋台及びこれに架設された鋼製の上部工等(これらの工事費相当額52,809,000円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額26,404,500円が不当と認められる。
| (注) | 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。 |
水管橋概念図
左岸側橋台概念図
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〔 配筋図及び施工〕
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〔設計計算書〕
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(233)―(236)公営住宅家賃対策補助金の経理が不当と認められるもの
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公営住宅家賃対策補助金(以下「家賃対策補助金」という。)は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸することを目的として、公営住宅法(昭和26年法律第193号)の規定に基づき建設された公営住宅を管理する地方公共団体に対し国が交付するものである。その交付額は、公営住宅の団地別、管理開始年度別、入居者の収入の区分別等に次のとおり補助基本額を算定し、これらを合計した後に2分の1を乗じるなどして算定することとなっている。
このうち、近傍同種の住宅の家賃の額及び入居者負担基準額は、それぞれ次により算定することとなっている。
(1)近傍同種の住宅の家賃の額
近傍同種の住宅の家賃の額(以下「近傍住宅家賃」という。)は、上記のとおり、建物・土地部分の複成価格等により構成されており、このうち建物部分の複成価格については、「公営住宅法の一部を改正する法律等の運用について」(平成8年建設省住総発第135号建設省住宅局長通知)等によると、次のとおり算定することとなっている。
ア 建物部分の複成価格は、近傍同種の住宅の建設に要した費用に国土交通大臣が毎年定める率を乗じて得られる額から経過年数に応じた減価相当額を控除した額とする。
近傍同種の住宅の建設に要した費用は、当該公営住宅の近傍に存在する同種の住宅の建設に要した費用又は当該公営住宅の建設に要した費用とするが、建設に要した費用には、共同施設(児童遊園、通路、駐車場等)の工事費は含めないこととする。
イ 建設後、相当程度の年数が経過したことなどにより近傍同種の住宅の建設に要した費用の確定が困難な場合等には、事業主体が、建設年度別等の標準的な費用の額を設定することも許容されるが、標準的な費用が実際の費用を上回ることがないよう十分に配慮して適切な額を設定する。
(2)入居者負担基準額
入居者負担基準額は、入居者の収入、当該公営住宅の立地条件等に応じて毎年度算定されることとなっている。
そして、公営住宅の建設に係る土地の取得費については補助対象外となっているが、平成10年12月11日から15年3月31日までの間の公営住宅の建設に係る土地の取得費については、特例的に公営住宅等供給促進緊急助成事業費補助金(以下「緊急助成事業費補助金」という。)により補助の対象としている。この緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅については、後年度において家賃対策補助金の額から緊急助成事業費補助金に相当する額を家賃対策補助金の対象となる期間(20年)にわたって減額することとなっている。そして、この減額の方法については、入居者負担基準額に、土地の取得費に1000分の5.096を乗じた額を加算することにより、補助基本額を減額することとなっている。
2 検査の結果
北海道ほか25都府県及び管内の322市区町村、計348事業主体について検査した結果、福島県ほか3事業主体において、補助基本額の算定に当たり、建物部分の複成価格の算出方法を誤っていたり、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅に係る入居者負担基準額に前記の加算をしないまま算定したりなどしていた。その結果、補助基本額が過大に算定されており、これに係る国庫補助金計43,312,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、上記の4事業主体において補助基本額の算定に当たり、近傍住宅家賃及び入居者負担基準額の算定について理解が十分でなかったこと、事業主体内部の事務の連携が十分でなかったこと及び補助金交付申請書の受理、審査を行う府県の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
これを態様別・事業主体別に示すと次のとおりである。
| 府県名 | 事業主体 | 年度 | 国庫補助金交付額 | 不当と認める国庫補助金交付額 | |
| 千円 | 千円 |
(1)近傍住宅家賃の算定を誤っていたもの
| (233) | 大阪府 | 泉佐野市 | 13〜16 | 358,146 | 26,899 |
泉佐野市では、補助基本額の算定に当たり、建物部分の複成価格を算出する際に、近傍同種の住宅の建設に要した費用として、当該公営住宅の建設に要した実際の費用を用いることとしていたが、誤って、これより高額な建設工事の予定価格算定の基礎である設計金額を用いていた。このため、近傍住宅家賃が過大に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、適正な近傍住宅家賃により補助金額を算定すると、計331,247,000円となり、交付額との差額、計26,899,000円が過大に交付されていた。
| (234) | 香川県 | さぬき市 | 13、14 | 14,136 | 4,086 |
さぬき市では、補助基本額の算定に当たり、建物部分の複成価格を算出する際に、近傍同種の住宅の建設に要した費用として、当該公営住宅の建設に要した実際の費用を用いることとしていたが、誤って、杭基礎等に係る工事費を二重計上したり、共同施設である駐車場等に係る工事費を計上したり、別棟の住宅と共用している浄化槽設備等の工事費を戸数あん分しないまま全額を計上したりなどしていた。このため、近傍住宅家賃が過大に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、適正な近傍住宅家賃により補助金額を算定すると、計10,050,000円となり、交付額との差額、計4,086,000円が過大に交付されていた。
(2)入居者負担基準額に所定の加算をしていなかったもの
| (235) | 福島県 | 福島県 | 12、14、15 | 445,553 | 8,333 |
| (236) | 鳥取県 | 鳥取市 | 12、13 | 128,638 | 3,994 |
上記の2事業主体では、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅に係る補助基本額の算定に当たり、入居者負担基準額に前記の加算をしないまま算定していたため、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、入居者負担基準額に加算すべき額を加算して適正な家賃対策補助金の額を算定すると、福島県では計437,220,000円、鳥取市では計124,644,000円となり、交付額との差額、計8,333,000円、計3,994,000円がそれぞれ過大に交付されていた。
| (233)―(236)の計 | 946,473 | 43,312 |
(237)都市公園事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、排水管等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、栃木県芳賀郡益子町が、都市公園事業の一環として、同町大沢地内において、町民の多様な利用に供する総合公園を整備するため、平成16年度に、法面工及び排水工を工事費24,990,000円(うち国庫補助対象額23,404,500円、国庫補助金11,702,250円)で実施したものである。
このうち、排水工は、公園内の雨水を排水するため、前年度に造成した遊具広場等の地中に排水管として内径600mmの遠心力鉄筋コンクリート管(1種管。以下「ヒューム管」という。)を延長123.4m布設するなどのもので、ヒューム管の土被り厚は最大で3.1mとなっている。
そして、排水工の設計については、掘削底面の幅を1,300mm、法勾配(注1)を5分で掘削し、砕石を敷き均してヒューム管を布設し、砕石基礎の支承角(注2)が90度となるように管の外周に砕石を密着させて締め固めた後、元の地盤まで埋め戻すこととし、これにより施工していた(参考図参照)。
2 検査の結果
検査したところ、排水工の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、排水工の設計に当たっては、「道路土工 カルバート工指針」(社団法人日本道路協会編)に示されている「コンクリート製パイプカルバート基礎形式選定図」のうち、管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍未満などの場合(この場合の埋設形式を「溝型」という。)の選定図を適用し、前記の管の種類及び基礎であれば、最大土被り厚の箇所でもヒューム管は土圧に対して設計上安全であるとしていた。
しかし、前記のとおり掘削底面の幅1,300mm、法勾配5分で掘削した場合、管頂部における埋戻し幅は2,150mmとなり、管外径700mmの2倍以上となる。そして、このように管頂部の埋戻し幅が広い場合、管に作用する土圧は溝型の選定図で想定されている土圧より大きくなり、土圧計算の対象となる範囲も広くなることから、溝型ではなく、管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍以上あるなどの場合(この場合の埋設形式を「突出型」という。)の選定図を適用すべきであった(参考図参照)。
そこで、本件ヒューム管について、突出型として改めて応力計算を行うと、土被り厚が2.16m以上の延長37.1mの区間では、管に生ずる最大曲げモーメント(注3)が管の許容曲げモーメント(注3)を上回って応力計算上安全な範囲を超えており、土被り厚が最大となる3.1mの箇所では、管に生ずる最大曲げモーメントが3.83kN・mとなり、管の許容曲げモーメント2.59kN・mを大幅に上回っている。
そして、上記区間の一部のヒューム管の管頂部には、縦断方向にき裂が生じている状況であった。
このような事態が生じていたのは、同町において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件排水工は、設計が適切でなかったため、ヒューム管延長37.1m等(これらの工事費相当額3,245,000円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額1,622,500円が不当と認められる。
ヒューム管に作用する土圧の概念図
(238)港湾環境整備事業の実施に当たり、転落防止柵等の防錆・防食処理の設計及び施工が適切でなかったため、工事の目的を達していないもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、神奈川県が、湘南港港湾環境整備事業の一環として、藤沢市江ノ島地先において、既設の防波護岸の通路をかさ上げして遊歩道を設置するため、平成12年度から15年度までの間に、第1工区から第8工区までの区間について、順次、護岸工、転落防止柵工、門扉工、階段工、健康舗装工等を工事費計356,141,100円(うち国庫補助対象額340,470,900円、国庫補助金170,235,450円)で実施したものである。
上記のうち、〔1〕転落防止柵工は、高さ1.1mの転落防止柵を延長計1,222.2m、〔2〕門扉工は、門扉を計12基、〔3〕階段工は、手すりを延長計186.6m、〔4〕健康舗装工は、手すりを延長計40.0m設置するなどして施工するもので、上記の〔1〕から〔4〕までの転落防止柵、門扉、手すり(以下、これらを「転落防止柵等」という。)については、それぞれ工場で製作、防錆・防食処理等を行った後に現地に搬入し、防波護岸上部の所定の位置に設置するものである。
そして、転落防止柵等については、当該施設が海岸線に面していて公共性の高い箇所に設置されることから、環境条件や経済性等を考慮して、鋼材の本体に、重金属を含まない有機金属不動態化塗装(注)を施し、その表面にエポキシ樹脂系塗料の中塗り及びアクリルウレタン樹脂系塗料の上塗りを施す3層からなる塗装等(以下「不動態化塗装等」という。)により防錆・防食処理を行うこととして設計し、これにより施工している。
| (注) | 有機金属不動態化塗装 転落防止柵等製作業者が海外メーカーより技術提供を受けた技術で、鉛、亜鉛等の重金属を含まない塗装処理であり、平成10年頃より国内において使用されている。 |
2 検査の結果
検査したところ、本件転落防止柵等の防錆・防食処理に係る設計及び施工が次のとおり適切でなかった。
(1)設計について
ア 同県では、本件各工事の全体設計に当たり、委託した設計業務の成果品に不動態化塗装等の塗装膜の厚さ(以下「塗膜厚」という。)等の仕様が明示されていなかったにもかかわらず、そのまま成果品を受領していた。そして、同県では、設計図書等において、転落防止柵等に係る塗膜厚等の仕様について一切示していなかった。また、実際の工事で使用する不動態化塗装等の塗膜厚に関する承諾願等も提出させていなかった。
イ 先行して発注していた区間(第1工区及び第2工区。いずれも13年度完成。)において、工事完成後に転落防止柵等に錆が発生している状況となっていた。しかし、同県では、これらの状況を認識していたにもかかわらず、その後に発注した区間(第3工区〜第8工区)の工事においても、不動態化塗装等の仕様の検討を十分行わないまま工事を発注していた。
(2)施工について
転落防止柵等の不動態化塗装等の塗膜厚は転落防止柵等の製作業者(以下「製作業者」という。)が独自に決定しており、先行区間である第1工区及び第2工区では100μm、先行区間の錆の発生後発注された区間である第3工区から第8工区までの6工区では140μmとしていた。しかし、工事完成後に製作業者が提出した施工処理完了証明書において、塗膜厚の記載があったのは第1工区のみであり、同県は、不動態化塗装等の塗膜厚の確認をほとんど行っていない状況であった。
上記(1)、(2)のことから、本件工事の8工区すべてにおいて、工事完成後1、2年程度以内に転落防止柵等の表面に錆が発生していた。そして、同県はその後全工区において再塗装を施していた。しかし、第1工区から第5工区までの5工区では、再塗装が施されていたにもかかわらず、17年2月の会計実地検査時においても、ほぼ全延長にわたり、主に転落防止柵等の海側の表面に錆が発生していたり、塗装がはく離していたりしている状況であった。
また、転落防止柵の塗膜厚を計測したところ、再塗装されていることもあり、第1工区及び第2工区では67.2μmから439μm、第3工区から第8工区までの6工区では57.9μmから389μmと不均一な状態となっており、計測した6,800箇所のうち2,200箇所(約32%)において、製作業者が独自に決定した上記の塗膜厚を下回っていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品の内容が適切でなかったにもかかわらずこれに対する検討が十分でなかったこと、転落防止柵等に対する施工管理が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件転落防止柵等の防錆・防食処理(工事費相当額31,613,000円)に係る設計及び施工が適切でなかったため、急速に錆が発生し、塗装もはく離している状況となっており、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額15,806,500円が不当と認められる。
(239)道路整備事業の実施に当たり、近傍の取引事例との比較考量を十分に行わないまま土地を取得したため、用地費が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、神奈川県伊勢原市が、市道89号線道路整備事業の一環として、駅前広場を整備するため、平成15年度に、土地(宅地)764.49m2を用地費201,825,360円(国庫補助金100,911,840円)で取得したものである。
同市では、公共事業の施行に伴う損失の補償について、「公共用地の取得に伴う損失補償基準」(昭和37年用地対策連絡会決定)等(以下「補償基準等」という。)により行うこととしている。
補償基準等によれば、公共事業の実施により土地を取得するに当たっては、正常な取引価格をもって補償することとされており、この正常な取引価格は、近傍地等の取引価格を基準として、これらの土地及び取得する土地の位置、形状、地積その他一般の取引における価格形成上の諸要素(以下「個別的要因」という。)を総合的に比較考量して算定するものとされている。
同市では、土地の取得に当たっては、取得の対象となる土地ごとに不動産鑑定業者から鑑定評価を求め、この鑑定評価に基づいて土地の価格を算定することにしている。
そして、同市では、本件土地の隣地の取得に当たっては、鑑定評価に基づいて1m2当たりの土地単価を264,000円として用地費を算定していたが、本件土地については、地方税法(昭和25年法律第226号)に基づく固定資産評価に係る土地単価が隣地とほぼ同額であるとして、鑑定評価を求めずに、隣地の1m2当たりの土地単価と同じ単価で用地費を算定していた。
2 検査の結果
検査したところ、用地費の算定が次のとおり適切でなかった。
すなわち、同市では、前記のとおり、本件土地及び隣地の取得に当たり用地費を同一の土地単価に基づき算定していたが、この同一単価の根拠とした固定資産評価に係る両土地の土地単価をみると、本件土地単価は隣地を4.0%下回っていた。
また、個別的要因を比較するに当たって適用することとされている「土地価格比準表」(昭和50年国土地第4号国土庁地価調査課長通達)等によれば、土地の形状については、隣地がやや不整形な長方形地であるのに対し、本件土地は間口から奥に向かって扇形に広がり、有効宅地部分がやや入り組んだ形状の不整形地であることから、隣地に対して減価する必要がある。さらに、本件土地が所在する混在住宅地域(注)の標準的な宅地面積が100m2から200m2とされ、隣地が260.75m2であるのに対し、本件土地は764.49m2と隣地の3倍程度の面積となっていて、標準的な規模の宅地として利用する場合に使用できない土地が生ずることなどから、減価する必要がある。
上記のように、両土地には差異があるのに、同市が本件土地の取得に当たって、個別的要因を比較考量せずに、隣地の1m2当たりの土地単価をそのまま本件土地の単価として採用し、これにより用地費を算定したのは適切ではないと認められた。
そして、17年4月の本件土地に係る用地費の会計実地検査の後、本院の指摘を受けて同市が不動産鑑定業者に依頼した鑑定評価によれば、本件土地の取得時における1m2当たりの土地単価は259,000円で、隣地の価格を下回るものとなっていた。
このような事態が生じていたのは、同市において用地費の算定に当たって、近傍の取引事例との個別的要因の比較考量が十分に行われていなかったことなどによると認められる。
したがって、前記の鑑定評価額に基づき本件用地費を算定すると198,002,910円となり、本件用地費はこれに比べて3,822,450円過大となっており、これに係る国庫補助金相当額1,911,209円が不当と認められる。
| (注) | 混在住宅地域 比較的狭小な戸建住宅及び共同住宅が密集する住宅地域又は住宅を主として店舗、事務所、小工場等が混在する住宅地域 |
(240)(241)公営住宅家賃収入補助金の経理において、収入超過者入居戸数を誤ったため、補助金が過大に交付されているもの
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1 補助金の概要
公営住宅家賃収入補助金(以下「家賃収入補助金」という。)は、昭和44年に公営住宅の用地取得に対する国の補助が廃止されたことに伴って生じる家賃の上昇を避け、公営住宅の家賃を低廉に維持するため、公営住宅法の一部を改正する法律(平成8年法律第55号)による改正前の公営住宅法(昭和26年法律第193号。以下「旧法」という。)の規定に基づき建設された公営住宅を管理する地方公共団体に国が交付するものである。その交付額は、公営住宅の建設事業年度別及び旧法上の種別(第1種公営住宅、第2種公営住宅)ごとに補助基本額を算出し、これらにそれぞれの補助対象率を乗じて得た額を合算して算定することとされている。そして、この補助対象率は、次の計算式により算出することとされている。
上記の計算式における基準日戸数は、毎年度、基準日である10月1日現在の管理戸数とされ、また、収入超過者入居戸数は、基準日現在において公営住宅に引き続き3年以上入居し、かつ公営住宅の旧法上の種別に応じて国土交通省が毎年度定める基準額(平成12年度から16年度において、第1種公営住宅は月収200,000円、第2種公営住宅は月収137,000円)を超える収入を有する者(以下「収入超過者」という。)が入居している住戸等の数とされている。
2 検査の結果
北海道ほか25都府県及び管内の359市区町村、計385事業主体について検査した結果、滋賀県近江八幡市及び同県草津市において、旧法上の種別が第2種公営住宅である住戸に係る収入超過者入居戸数の算出に当たり、収入超過者の基準額を137,000円とせずに200,000円とするなどして、収入超過者入居戸数を過小に算出していた。
したがって、適正な収入超過者入居戸数により家賃収入補助金の額を算定すると、計158,233,000円となり、交付額計177,377,000円との差額、計19,144,000円が過大となっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、両市において、収入超過者入居戸数の把握に当たり、収入超過者の基準額についての認識が十分でなかったこと、補助金交付申請書の受理、審査を行う滋賀県の審査が十分でなかったことによると認められる。
これを事業主体別に示すと次のとおりである。
| 県名 | 事業主体 | 年度 | 国庫補助金交付額 | 不当と認める国庫補助金交付額 | |
| 千円 | 千円 | ||||
| (240) | 滋賀県 | 近江八幡市 | 12〜16 | 116,603 | 10,878 |
| (241) | 同 | 草津市 | 14〜16 | 60,774 | 8,266 |
| (240)(241)の計 | 177,377 | 19,144 | |||
(242)道路改築事業の実施に当たり、損失の補償の対象とならない消費税額を補償費に計上していたため、補償費が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
(補助事業の概要)
この補助事業は、大阪府が、主要地方道大阪中央環状線鳥飼大橋架替事業の一環として、守口市と摂津市を結ぶ鳥飼大橋に平行して架設している鳥飼ガス管橋の撤去に伴い、同ガス管橋に添架されている大阪府水道企業管理者(以下「水道企業管理者」という。)所有の水道管等の水道施設の移設に要する費用として、平成14、15両年度に293,454,400円(国庫補助金101,759,050円)を水道企業管理者(大阪府水道事業会計(特別会計))に補償したものである。この補償金の算定に当たっては、移設に要する工事費等(以下「施設移設費」という。)279,480,349円に、これに係る消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)額13,974,016円を加算している。
(損失の補償における消費税の取扱い)
国土交通省道路局所管の国庫補助事業の施行に伴う損失の補償においては、消費税について、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて」(平成9年建設省経整発第67号の3)に準じ、次のように取り扱うこととされている。
すなわち、補償を受けた土地等の権利者等が補償金により代替施設を建設する場合などには、建設業者等に支払うこととなる消費税を考慮して補償金を適正に算定することとされている。そして、土地等の権利者等が事業者である場合において、補償金により建設業者等から資産の譲渡等を受け、消費税を負担しても、当該事業者の消費税納付税額の計算上、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額として控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)の対象となるときは、当該事業者は実質的に消費税を負担しないこととなるため、補償金の算定に当たり消費税を積算上考慮しないこととされている。
そして、消費税法(昭和63年法律第108号)によれば、事業者の課税売上割合(注)が95%以上となっている場合、事業者は、課税仕入れに係る消費税の全額を仕入税額控除することができることとなっている。また、地方公共団体の特別会計に係る消費税の納付税額の計算に当たり、補助金収入など売上げ以外の収入(以下「特定収入」という。)の額を売上高と特定収入の合計額で除した割合(以下「特定収入割合」という。)が100分の5以下の場合には、特定収入により賄われる消費税額は、課税仕入れに係る消費税額として課税売上高に対する消費税額から控除できることとなっている。
2 検査の結果
検査したところ、本件補償金の算定に当たり、施設移設費に消費税額を加算したのは、次のとおり適切でなかった。
すなわち、水道企業管理者は消費税法上の事業者に該当し、大阪府水道事業会計の消費税の確定申告書等によれば、課税売上割合が95%以上であり、また、特定収入割合は100分の5以下であることから、課税仕入れに係る消費税の全額を仕入税額控除することができることとなる。したがって、水道企業管理者は水道施設の移設に係る消費税を実質的に負担しないこととなるので、補償金の算定に当たり消費税額を加算していたのは適切でない。
このような事態が生じていたのは、同府において、補償金の算定に当たり消費税の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
上記により、本件事業に要する適正な費用は279,480,349円(うち国庫補助対象額193,826,775円)であり、消費税額13,974,016円(うち国庫補助対象額9,691,000円)が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額4,845,500円が不当と認められる。
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(243)街路事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、兵庫県が、都市計画道路山手幹線(起点尼崎市戸ノ内町、終点神戸市長田区)の街路事業の一環として、尼崎市高田町地内において、橋りょう(橋長21.8m、幅員19.0mのうち1期施工分10.9m)を新設するなどのため、平成14、15両年度に、鋼管杭基礎による橋台2基の築造及びプレストレストコンクリート桁(以下「PC桁」という。)の製作等(以下、これらを「下部工工事」という。)を、16年度に、PC桁の架設等(以下「上部工工事」という。)を工事費計198,158,100円(うち国庫補助対象額180,609,381円、これに対する国庫補助金99,335,159円)で実施したものである。
このうち、上部工工事においては、橋台とPC桁の接点である支承部について、次のとおり設計図面を作成し、これにより施工していた。
〔1〕 終点側の橋台(以下「A1橋台」という。)の支承部は橋台とPC桁とを一体化する固定支承、起点側の橋台(以下「A2橋台」という。)の支承部は温度変化等によるPC桁の伸縮に追従できる可動支承とし、両橋台とPC桁との間にゴム製の支承板を設置する。
〔2〕 地震による落橋を防止するなどのため、両橋台にアンカーバー(径46mm)の下部を埋め込む(片側13箇所、計26箇所)。
〔3〕 その上部に、固定支承となるA1橋台側においては円形断面(内径60mm)のアンカーキャップを、可動支承となるA2橋台側においては小判形断面(内径133mm×63mm)のアンカーキャップを、それぞれかぶせた上、PC桁とPC桁との間に間詰コンクリートを打設する。
2 検査の結果
検査したところ、橋りょうの設計が、次のとおり適切ではなかった。
すなわち、橋りょうの施工箇所には、水道事業者の導水管が埋設されているが、同県では、同事業者の保有している資料等に基づき、その位置は橋台の施工には支障がないと推測し、当初、A1橋台側を固定支承、A2橋台側を可動支承とすることとして橋台及び支承部の設計を行っていた。しかし、下部工工事の施工に当たり、同県が現地でボーリング調査等を行ったところ、導水管がA1橋台底版の施工予定位置に埋設されていることが判明したことから、A1橋台の底版を縮小したり根入れ深さを浅くしたりするなど設計を変更する必要が生じた。このため、同県では、当初の設計とは逆に、A1橋台側を地震時において橋台に作用する水平力がより小さい可動支承、A2橋台側を固定支承とすることとして設計計算を行い、これに基づき下部工工事の両橋台を次のとおり設計し、これにより施工していた。
〔1〕 A1橋台については、基礎杭(外径800mm、杭長15.5m)は9本とし、縦壁の主鉄筋は径16mmの鉄筋を25cm間隔に配置し、底版上面側の主鉄筋は径22mmの鉄筋を25cm間隔に配置する。
〔2〕 A2橋台については、基礎杭(外径800mm、杭長13.5m)は13本とし、縦壁及び底版上面側の主鉄筋は、いずれも径32mmの鉄筋を25cm間隔に配置する。
しかし、上部工工事の支承部については、下部工工事の設計変更に伴って必要となる変更を行うことなく当初の設計と同じ図面のまま、前記のとおりA1橋台側を固定支承、A2橋台側を可動支承とし、これにより施工していた(参考図参照)。
このため、固定支承となったA1橋台側においては、地震時において、橋台に作用する水平力が、設計変更後の設計計算書において可動支承として計算していた数値より増加することになることから、改めてA1橋台について安定計算及び応力計算を行うと、次のような結果となり、いずれも設計計算上安全な範囲を大幅に超えている。
〔1〕 基礎杭1本当たりの軸方向引抜き力(注1)が799kNとなり、許容引抜き力(注1)520kNを大幅に上回っている。
〔2〕 基礎杭頭部の変位量が18mmとなり、許容変位量15mmを大幅に上回っている。
〔3〕 縦壁の主鉄筋に生ずる引張応力度(注2)が401N/mm2、底版上面側の主鉄筋に生ずる引張応力度が477N/mm2となり、いずれも許容引張応力度(注2)300N/mm2を大幅に上回っている。
〔4〕 底版のコンクリートに生ずるせん断応力度(注3)が0.37N/mm2となり、許容せん断応力度(注3)0.26N/mm2を大幅に上回っている。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件橋りょうは、設計が適切でなかったため、A1橋台及びこれに架設されたPC桁等(これらの工事費相当額81,353,000円、うち国庫補助対象額81,071,000円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額44,589,050円が不当と認められる。
上部工工事で施工した支承部の概念図

(244)流域下水道事業の実施に当たり、設計及び施工が適切でなかったため、放流渠の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、奈良県が、吉野川流域下水道事業の一環として、五條市二見地内に所在する吉野川浄化センターにおいて、平成14、15両年度に、塩素混和池及び放流渠の築造、敷地内の造成等を工事費196,350,000円(国庫補助金130,900,000円)で実施したものである。
このうち、放流渠(延長計163.4m、内空断面の幅1.6m〜3.7m、高さ1.6m〜1.9m)は、鉄筋コンクリート構造のボックスカルバート(以下「カルバート」という。)とし、塩素混和池で処理された下水を既設の水路に放流するためのもので、上流側から土被り厚等の条件の違いにより全体を区間1から区間7までの7区間に分けて施工している(参考図1参照)。
そして、本件カルバートの配筋図によると、上記7区間のうち区間4(延長18.0m、内空断面の幅1.6m、高さ1.9m)の頂版上面側の主鉄筋及び底版端部の斜引張鉄筋(注1)、区間6(延長3.8m、内空断面の幅3.7m、高さ1.6m)の頂版下面側の主鉄筋については、次のとおり配置し、施工することとしていた。
(1)区間4について
ア 頂版上面側の主鉄筋については、頂版縦方向に径16mmの鉄筋を20cm間隔で配置する。
イ 底版端部の斜引張鉄筋については、径13mmとし、底版上面側の主鉄筋(底版縦方向に20cm間隔で配置)と下面側の主鉄筋(同10cm間隔で配置)とを垂直につなぎ、底版縦・横方向にそれぞれ20cm間隔で千鳥状に配置する。
(2)区間6の頂版下面側の主鉄筋については、頂版縦方向に径13mmの鉄筋を20cm間隔で配置する。
2 検査の結果
検査したところ、本件カルバートの設計及び施工が次のとおり適切でなかった。
すなわち、カルバートの設計の基礎となっている設計計算書によると、次のとおり主鉄筋及び斜引張鉄筋を配置することとしていた。
(1)区間4について
ア 頂版上面側の主鉄筋については、頂版縦方向に径13mmの鉄筋を100cm間隔、径16mmの鉄筋を20cm間隔で配置する。
イ 底版端部の斜引張鉄筋については、径13mmとし、底版上面側の主鉄筋と下面側の主鉄筋とを垂直につなぎ、底版縦方向に50cm間隔、底版横方向に10cm間隔で千鳥状に配置する。
(2)区間6の頂版下面側の主鉄筋については、頂版縦方向に径13mm、径16mmの鉄筋を交互に10cm間隔で配置する。
そして、上記のように配置すれば、主鉄筋については引張応力度(注2)(常時(注3)、地震時)が許容引張応力度(注2)(常時、地震時)を下回り、斜引張鉄筋については負担するせん断力(注4)(常時、地震時)が許容するせん断力(注4)(常時、地震時)を下回っていることから、応力計算上安全であるとしていた。
しかし、区間4は配筋図の作成及び施工の際に、区間6は配筋図の作成の際に、それぞれ誤って次のようにしていた。
(1)区間4について
ア 頂版上面側の主鉄筋については、配筋図を作成する際に、前記1(1)のアのとおり、100cm間隔で配置する径13mmの鉄筋を書き入れないまま配筋図を作成し、これにより施工していた。
イ 底版端部の斜引張鉄筋については、配筋図を作成する際に、前記1(1)のイのとおり、底版縦・横方向にそれぞれ20cm間隔で千鳥状に配置することとしていた。
しかし、この配筋図では、主鉄筋の配置間隔は上面側が20cmであるのに対して下面側が10cmであることから、下面側の主鉄筋に取り付けた斜引張鉄筋については上面側の主鉄筋に取り付けることができるものとできないものが交互に生ずることになる(参考図2の〔1〕参照)。このため、実際の施工に当たっては、区間4に比べて土被り厚が小さい上流側の区間と同様に、底版縦方向に40cm間隔、底版横方向に20cm間隔で千鳥状に配置することとして施工していた(参考図2の〔2〕参照)。
(2)区間6の頂版下面側の主鉄筋については、配筋図を作成する際に、前記1(2)のとおり、径13mmの間に配置する径16mmの鉄筋を書き入れないまま配筋図を作成し、これにより施工していた。
そこで、これらについて、改めて応力計算を行うと、次のような結果となり、いずれも応力計算上安全な範囲を超えている。
(1)区間4について
ア 頂版上面側の主鉄筋に生ずる引張応力度が293N/mm2(地震時)となり、許容引張応力度270N/mm2(地震時)を上回っている。
イ 底版端部の斜引張鉄筋が負担するせん断力が108.1kN(常時)となり、許容するせん断力57.0kN(常時)を大幅に上回っている。
(2)区間6について、頂版下面側の主鉄筋に生ずる引張応力度が218N/mm2(常時)となり、許容引張応力度180N/mm2(常時)を大幅に上回っている。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったこと及び施工が設計と相違していたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件カルバートは、区間4については設計及び施工が適切でなかったため、区間6については設計が適切でなかったため、放流渠の区間4及び区間6(これらの工事費相当額7,041,000円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額4,694,000円が不当と認められる。
放流渠の縦断図
(参考図2)
底版端部の鉄筋の配置
(245)緊急地方道路整備事業の実施に当たり、吹付法枠工費等の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、島根県が、緊急地方道路整備事業の一環として、簸川郡斐川町直江地内において、一般国道9号と山陰自動車道に設置される斐川インター(仮称)との連絡道路を新設するなどのため、平成14、15両年度に、吹付法枠工、植生基材吹付工、モルタル吹付工等を工事費82,201,350円(国庫補助金41,100,675円)で実施したものである。
このうち、吹付法枠工等は、法面の形状に合わせて変形可能な金網でできた型枠を格子状に設置(縦横各2m間隔)してアンカーで固定し、この型枠の内部にモルタルを吹き付けて法枠(枠断面300mm×300mm)2,494m2を築造し、法枠内に植生基材を吹き付けるなどするものである。
同県では、吹付法枠工費等の積算に当たっては、県制定の建設工事積算基準(以下「積算基準」という。)に基づき、物価調査機関が積算参考資料において公表している市場単価を用いる方式により積算することとしている。この市場単価は、標準的な施工規模である場合などの単価(以下「標準施工単価」という。)であり、施工規模が標準より小さい場合などには、この単価を加算・補正して適用することとされている。
そして、本件吹付法枠工費の積算に当たっては、吹付枠工の1m当たりの標準施工単価は11,600円であるが、本件工事の場合、崩れやすい土質における施工のため小規模に区分した段階的な施工になると想定したことから、上記の標準施工単価に、施工規模が小さく法枠の延長が250m未満の場合に適用される20%加算を行うなどして1m2当たりに換算した施工単価を15,571円と算出し、これに施工面積を乗じて38,834,074円と積算していた。そして、植生基材吹付工費、モルタル吹付工費等を加えて、本件工事の直接工事費を52,253,043円と積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、吹付法枠工費等の積算が次のとおり適切でなかった。
すなわち、積算基準によれば、前記吹付法枠工費の積算における施工規模が250m未満の場合の20%加算は、実際に施工する際の作業工程にかかわりなく、1工事全体の法枠総延長で判定することとされている。そして、本件工事における法枠の総延長は2,643mであることから、施工規模が小さい場合の20%加算を行ったのは誤りであった。
したがって、施工規模が小さい場合に適用する20%加算を行わずに、上記1m当たりの標準施工単価11,600円を1m2当たりに換算すると施工単価は13,112円となり、これに施工面積2,494m2を乗じると、本件吹付法枠工費は32,701,328円となり、差し引き6,132,746円が過大に積算されていた。これに植生基材吹付工費及びモルタル吹付工費の積算においても、施工規模による加算率又は枠内吹付を行う場合に乗じる補正係数の適用を誤ったために過大となっていたものを合わせると、計6,530,777円が過大に積算されていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、積算基準で示されている施工規模による加算率及び補正係数の適用についての理解が十分でなかったこと並びに積算内容に対する審査が十分でなかったことによると認められる。
上記により本件工事費を修正計算すると、諸経費等を含めた工事費総額は、73,546,120円となり、本件工事費はこれに比べて8,655,000円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額4,327,500円が不当と認められる。
(246)道路改築事業の実施に当たり、私道を宅地として評価して土地を取得したため、用地費が過大となっているもの
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1 補助事業の概要
この補助事業は、長崎県が、一般国道499号道路改築事業の一環として、道路を拡幅するため、平成15年度に、長崎市竿浦町地内に所在する土地(宅地及び私道)574.79m2を用地費43,684,025円(国庫補助金21,842,012円)で取得したものである。
同県では、公共事業の施行に伴う損失の補償について、同県が制定した「公共用地の取得に伴う損失補償基準」(昭和39年長崎県訓令第61号)等(以下「補償基準等」という。)に基づいて行うこととしている。
補償基準等によれば、公共事業の実施により土地を取得するに当たっては、正常な取引価格をもって補償することとされており、この正常な取引価格は、近傍地等の取引価格を基準とし、これらの土地及び取得する土地の位置、形状、その他一般の取引における価格形成上の諸要素を総合的に比較考量して算定するものとされている。そして、これらの諸要素の比較を行うに当たって適用することとされている「土地価格比準表」(昭和50年国土地第4号国土庁地価調査課長通達)によれば、公衆用道路として利用されている私道については、その私道の系統、幅員、建築線の指定の有無等の事情に応じて一定の率で土地の価格を減価することとされており、このうち、共用私道の場合は50%から80%の減価率とすることとされている。
同県では、本件土地の取得に当たり、近傍地等の取引価格を参考とするなどして、宅地の1m2当たりの土地単価を77,000円と算定し、この宅地に隣接する私道については、その利用実態等からみて共用私道に該当することから、当該宅地の1m2当たりの土地単価を50%減価して38,500円と算定していた。そして、これらの土地単価に宅地面積559.86m2及び私道面積14.93m2をそれぞれ乗じて用地費を算定していた。
2 検査の結果
検査したところ、用地費の算定が次のとおり適切でなかった。
同県では、前記のとおり、本件土地574.79m2のうち私道面積を14.93m2としていたが、このほか57.91m2の土地についても、利用実態等からみて共用私道であるのに、用地費を算定する際に、誤ってこの土地を宅地として評価していた。
このような事態が生じていたのは、同県において、用地費の算定に当たって利用実態の把握が十分でなかったこと及び用地費の算定内容に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
上記により、宅地及び私道の適正な面積を算定するとそれぞれ501.95m2、72.84m2となり、これにそれぞれの土地単価77,000円、38,500円を乗じて用地費を算定すると計41,454,490円となり、本件用地費はこれに比べて2,229,535円過大となっており、これに係る国庫補助金相当額1,114,767円が不当と認められる。