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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

プログラム改修に係る委託に当たり、コンサルティング業務の内容を明確にするなどして委託費の積算を適切なものとするよう改善させたもの


(3)プログラム改修に係る委託に当たり、コンサルティング業務の内容を明確にするなどして委託費の積算を適切なものとするよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)海上保安庁 (項)海上保安官署
部局等の名称 海上保安庁
委託契約の概要 情報共有や電子申請書類の受付等を行う各種システムの機能充実を図ることなどを目的にプログラム改修をするもの
契約の相手方 財団法人港湾空間高度化環境研究センターほか8法人
委託費の積算額 3億5880万余円(平成15、16両年度)
低減できた委託費の積算額 3290万円(平成15、16両年度)

1 委託契約の概要

(委託契約の内容)

 海上保安庁では、海上の安全及び治安の確保を図ることなどを目的に、同庁内における情報共有や港湾諸手続等の電子申請書類の受付等をコンピュータで行うための各種情報システムを整備しており、これらのシステムの機能充実や向上を図るため、プログラムの一部を修正する作業(以下「プログラム改修」という。)を委託契約により行っている。

(プログラム改修に係る委託費の積算)

 海上保安庁では、平成15、16両年度において各種システムのプログラム改修に係る委託を19件契約し、その積算額は計3億5880万余円となっていた。
 プログラム改修に係る委託費の積算においては、同庁に積算基準等がなく、上記19件のうち、15件の契約については、刊行物である積算参考資料を参考に、計2億3144万余円と積算していた。一方、4件の契約については、委託業務の内容にコンサルティング業務が含まれているため積算参考資料によることができないとして国土交通省港湾局制定の「港湾請負工事積算基準」を参考に、計1億2736万余円と積算していた。そして、両者の積算を比較すると、コンサルティング業務が含まれているため後者の積算が割高となっている。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 海上保安庁では、前記のとおり、情報共有や電子申請書類の受付等を行うための各種システムの整備に伴い、システムの機能充実や向上を図るためのプログラム改修に係る委託費が多額に上っている。そこで、これらプログラム改修に係る委託費の積算が適切なものとなっているかなどに着眼して検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、プログラム改修に係る委託費の積算について、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、前記4件のプログラム改修については、仕様書に計画準備及び事前協議の記載があることから、コンサルティング業務が含まれているとしていたものの、海上保安庁では、コンサルティング業務の内容について明確な基準を定めてはいなかった。
 そこでコンサルティング業務についてみたところ、一般的にその内容は、新しいシステム又は現行のシステムに対し、システムの効率的、有効的な活用を行うための全般的な企画立案及びシステム全体の妥当性の検討などの業務を指すものとされていた。そして、前記4件のプログラム改修は、システム構築が既に完了し運用されているシステムの一部に電子申請の種類を追加するなどの改修を行うものであり、全般的な企画立案及びシステム全体の妥当性の検討などコンサルティング業務に該当するものは含まれていなかった。
 したがって、海上保安庁においてはプログラム改修に係る委託費の積算について、コンサルティング業務の内容を明確にするとともに、作業内容を十分に確認するなどして、その内容に即した適切なものとする要があると認められた。

(低減できた委託費の積算額)

 前記4件のプログラム改修に係る委託費の積算について、コンサルティング業務を含まないものとして積算参考資料を参考にするなどして委託費を修正計算すると9445万余円となり、前記の積算額1億2736万余円を約3290万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、海上保安庁において、プログラム改修に係る委託費の積算に当たり、コンサルティング業務の内容を明確にした積算基準等を策定していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、海上保安庁では、17年9月に、プログラム改修に係る委託費の積算について、コンサルティング業務の内容を明確にするなどした積算指針の策定を行うとともに、各管区海上保安本部等あてに通知を発する処置を講じた。