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  • 平成16年度|
  • 第6章 歳入歳出決算その他検査対象の概要|
  • 第2節 歳入歳出決算等検査対象別の概要|
  • 第7 政府関係機関及びその他の団体|
  • 2 国が資本金の2分の1以上を出資している法人の決算|
  • [1]政府関係機関の収入支出決算

中小企業金融公庫


(4)中小企業金融公庫

 この公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が供給することを困難とするものを供給すること、又は一般の金融機関による供給を支援するための貸付債権の譲受け、債務の保証等を行うこと並びに中小企業者に対する貸付けに係る債務の保証等についての保険及び信用保証協会に対する資金の貸付けを行うことを目的として設置されているものである。その資本金は16年度末現在で1兆5687億7225万余円となっている。
 同公庫の会計は、融資、証券化支援買取業務、証券化支援保証業務、信用保険等業務、機械保険経過業務及び破綻金融機関等関連特別保険等特別の6勘定に区分して経理されている。このうち、証券化支援買取業務勘定及び証券化支援保証業務勘定は、「中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律」(平成16年法律第35号)に基づき、16年7月1日、新たに証券化支援保証等の業務を行うこととなり、これに関する経理を行うために設置されたものである。また、信用保険等業務勘定、機械保険経過業務勘定及び破綻金融機関等関連特別保険等特別勘定は同法律に基づき、同公庫が16年7月1日、信用保険等及び破綻金融機関等関連特別保険等の業務を中小企業総合事業団信用保険部門から承継(注) することとなり、これに関する経理を行うために設置されたものである。

 この承継に係る中小企業総合事業団信用保険部門の貸借対照表上の資産は1兆1642億4799万余円、負債は1334億4698万余円及び資本は1兆0308億0100万余円である。

 同公庫の16年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。

1 収入支出決算

区分 16年度 (15年度)
  千円 千円
(収入)    
 収入済額 453,944,850 194,218,890
(支出)    
 支出予算現額 983,455,985 140,520,358
 支出済額 587,608,883 136,807,243
 不用額 395,847,102 3,713,114

 不用額の主なものは、中小企業信用保険保険金(支出予算現額8357億4300万余円)の3793億9611万余円、機械保険経過業務保険金(同111億0989万余円)の47億6743万余円及び破綻金融機関等関連特別保険等保険金(同28億7106万余円)の28億3501万余円である。

2 損益

区分 16年度 (15年度)
  千円 千円
(融資勘定)    
  経常収益 203,999,701 221,922,985
  (うち貸付金利息) (134,278,374) (146,248,976)
  経常費用 203,957,255 221,962,769
  (うち借入金利息) (14,722,742) (21,393,854)
  特別利益 24,308 105,449
  特別損失 66,754 65,664
(証券化支援買取業務勘定)    
  経常収益 104,471  
  (うち雑収入) (100,469)  
  経常費用 122,124  
  (うち事務費) (72,080)  
  当期損失金 17,653  
 (損失金の処理)    
  翌年度に繰越欠損金として整理 17,653  
(証券化支援保証業務勘定)    
  経常収益 122,648  
  (うち保証料) (121,865)  
  経常費用 122,648  
  (うち事務費) (91,675)  
(信用保険等業務勘定)    
  経常収益 387,098,891  
  (うち保険料) (112,474,539)  
  経常費用 573,612,008  
  (うち保険金) (456,346,893)  
  当期損失金 186,516,107  
  (損失金の処理)    
 翌年度に準備基金及び融資基金を減額して整理 186,516,107  
(機械保険経過業務勘定)    
  経常収益 24,328,710  
  (うち保険料) (28,484)  
  経常費用 22,875,437  
  (うち保険金) (6,342,460)  
  当期利益金 1,452,771  
 (利益金の処理)    
  翌年度に積立金として整理 1,452,771  
(破綻金融機関等関連特別保険等特別勘定)    
  経常収益 197,116  
  (うち保険料) (9,839)  
  経常費用 197,073  
  (うち保険金) (36,049)  
  特別損失 42  

3 借入金等

区分 16年度末 (15年度末)
  千円 千円
(融資勘定)    
 借入金残高 2,434,825,000 2,438,957,000
 (財政融資資金等)    
 中小企業債券発行残高 4,604,549,000 4,702,359,000

4 主な業務実績

区分   16年度 (15年度)
(融資勘定)      
  貸付け等 件数 31,286件 31,561件
    金額 1,635,284,520千円 1,693,674,607千円
  貸付金回収等 金額 1,729,302,848千円 1,659,118,499千円
  (うち貸付金償却)   (67,564,103千円) (57,987,962千円)
  年度末貸付金等残高 件数 196,176件 192,446件
    金額 7,500,024,493千円 7,594,042,821千円
   上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に公庫において開示している債権    
    破綻先債権   139,750,367千円 167,126,589千円
    延滞債権   489,781,708千円 359,058,318千円
    3カ月以上延滞債権   382,270千円 13,871千円
    貸出条件緩和債権(注)   421,311,550千円 101,803,358千円
    計   1,051,225,896千円 628,002,137千円
  (注)  貸出条件緩和債権については、15年度と16年度では異なる基準によっているため、両年度は比較できない。
  貸倒引当金   18,184,582千円 30,191,570千円
  (貸倒引当金計上率(注) )   (2.4/1000) (3.9/1000)
  (注)  貸倒引当金に計上できる金額は、当該事業年度末における貸付金残高(貸付受入金残高を控除)に6/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。
(証券化支援買取業務勘定)
  債権買取り及び債権譲渡 件数 567件  
    金額 12,963,000千円  
(証券化支援保証業務勘定)
  債務保証 件数 1,389件  
    金額 44,922,500千円  
(信用保険等業務勘定)
(1) 中小企業信用保険事業      
  保険関係成立 件数 886,798件  
    保険価額 9,598,822,722千円  
  保険金支払 件数 71,642件  
    金額 456,346,893千円  
  支払保険金等回収 金額 162,927,293千円  
(2) 融資事業      
  貸付け 件数 299件  
    金額 472,291,000千円  
  貸付金回収 金額 534,921,000千円  
  年度末貸付金残高 件数 299件  
    金額 472,291,000千円  
(機械保険経過業務勘定)
  保険関係成立 件数 251件  
    保険価額 1,532,439千円  
  保険金支払 件数 4,659件  
    金額 6,342,460千円  
  支払保険金等回収 金額 2,318,770千円  
(破綻金融機関等関連特別保険等特別勘定)
  保険関係成立 件数 2件  
    保険価額 136,000千円  
  保険金支払 件数 3件  
    金額 36,049千円  
  支払保険金回収 金額 948千円  

 なお、この公庫について検査した結果、「第3章 個別の検査結果」に「中堅事業者に係る破綻金融機関等関連特別保険等の利用が低調となっているため、制度の在り方について検討することが必要な事態について」 を掲記した。