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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 厚生労働省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

厚生労働省において独立行政法人労働者健康福祉機構が受け入れた貸付金の回収金等を速やかに国庫に納付させるよう改善させたもの


(2)厚生労働省において独立行政法人労働者健康福祉機構が受け入れた貸付金の回収金等を速やかに国庫に納付させるよう改善させたもの

会計名及び科目
労働保険特別会計(労災勘定)
 (款) 独立行政法人納付金
   (項) 独立行政法人労働者健康福祉機構納付金
 (款) 雑収入
   (項) 雑収入
部局等の名称
厚生労働本省
貸付金の回収金等の概要
労働福祉事業団(平成16年4月解散)が労働福祉事業の一環として行っていた貸付業務に係る元利償還金等
貸付金残高
2億6680万円
(平成18年6月末現在)
国庫に納付されていない回収金等の額
7805万円
(平成18年6月末現在)

1 貸付金の回収金等の概要

 厚生労働省では、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に基づき、労働者の業務上の事由又は通勤による負傷、疾病等に対し療養の給付等の保険給付を行うほか、労働者等の福祉の増進を図るため労働福祉事業を行っており、その業務の一部を労働福祉事業団(平成16年4月解散。以下「事業団」という。)に行わせていた。
 そして、事業団では、労働福祉事業の一環として業務災害又は通勤災害による重度の障害を有する者に対する各種の資金の貸付けを行っていた。この貸付けは、労働保険特別会計からの交付金及び貸付金の元利償還金等を原資として、貸付日から2箇月の据置期間経過後15年以内に元利均等額を月賦により償還するなどの貸付条件により行われていた。しかし、独立行政法人労働者健康福祉機構(以下「機構」という。)への移行に伴い、事業団が行っていた貸付業務は、他の独立行政法人に移管されるものを除き、15年度をもって廃止することとされ、機構は、事業団が行っていた在宅介護住宅資金貸付金、社会復帰資金貸付金及び自動車購入資金貸付金(以下、これらの貸付金を「援護関係貸付金」という。)の貸付けに係る債権管理及び回収業務を行うこととされた。
 この援護関係貸付金の貸付件数及び残高は、機構設立時の16年4月1日現在でそれぞれ計231件、3億3189万余円、18年6月末現在で計187件、2億6680万余円となっている。
 そして、援護関係貸付金に係る元利償還金等(以下「回収金等」という。)については、「労働福祉事業団業務方法書に基づき貸し付けた貸付金の取扱について」(平成16年基労発第0401001号厚生労働省労災補償部長通達)により、機構から国庫に納付することとされている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 機構が受け入れた回収金等について、経済性・効率性等の観点から、その国庫納付が適時適切に行われているかに着眼し、決算関係書類等により検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 機構が回収業務を始めてから現在までに受け入れた回収金等の額は、16事業年度3631万余円、17事業年度3196万余円、18事業年度976万余円(18年6月末現在)、計7805万余円となっていた。
 そして、機構では、回収金等の全額を他の資金と区分して専用の銀行預金口座で管理するとともに、国庫納付を予定して各事業年度末において回収金等に相当する額を預り金勘定に計上していた。
 しかし、厚生労働省では、回収金等を国庫に納付させることとしていたものの、国庫納付の時期については特に指示していなかった。このため、機構において回収金等を国庫に納付することが困難な事情は認められないのに、回収金等が国庫に納付されない事態が継続していた。
 したがって、今後も回収金等の受入れが見込まれるのに、これらの資金が早期に国庫に納付されない事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、厚生労働省において、回収金等については速やかに国庫に収納する必要があるとの認識が十分でなかったため、機構に対し、回収金等を国庫に納付すべき時期について適切な指示を行っていなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、厚生労働省では、18年8月に機構に対し通達を発し、16、17両事業年度に機構が受け入れた回収金等については、同年9月に国庫に歳入として収納し、また、18事業年度以降の各事業年度における回収金等については、翌年度の4月末までに回収金等の額を報告させるとともに、速やかに国庫に納付させることとする処置を講じた。